電力自由化で注意したい7つのトラブル
電力自由化について、まだよくわからないという人は多いですよね。新しい制度が始まり、私たち消費者の理解できていない事をいい事に、訪問販売や、電話勧誘販売などの様々な便乗商法が近づいてきます。トラブルが起きてからでは遅いですよね。
では、未然に防ぐためには、どうしたら良いでしょうか?
こちらでは電力自由化で特に注意したいトラブルについて解説していきます。
トラブルその1 電力自由化詐欺
「ブレーカーやメーターが電力自由化により、交換が必要になります。」
「電力自由化により新しい機器の取り付けが必要なので、工事費がかかります。」
このような事を話すセールスマンは、要注意です!これは、電力自由化詐欺です。電力自由化が行われても、ブレーカーやメーターなどの機器は今あるものを使用することができます。
さらに、「スマートメーター」という、耳慣れない機器の取り付けの料金を請求する詐欺も横行するかもしれません。今使用されているメーターは、人の手により検針され、電力の請求を行っています。従来型がマンパワーなのに対して、この「スマートメーター」は、デジタル式の次世代型電力量計です。
この「スマートメーター」への交換は、基本的に無料(設置場所の強度に問題がある場合を除く)となっています。そういった不当な請求があった場合は、詐欺に狙われている可能性があります。相談窓口や消費者ホットライン「188」で相談しましょう。
トラブルその2 訪問販売や電話勧誘販売などの便乗商法
電力自由化となり、多くの企業が電気を販売することが可能になりました。一般消費者にしてみれば、すべての企業を把握することは難しく、訪問販売や電話勧誘販売で企業名を聞いて瞬時に判断することは容易ではありません。
「電気代が安くなります。」「太陽光パネルで売電すれば儲かる」など言って、契約をさせるという便乗商法の相談は、国民生活センターにも多く寄せられています。
電気は生活に密接に関わる部分なので、「少しでもお得に!」と思う気持ちは理解できます。しかし、セールスマンなどがやってきた場合、一旦冷静に判断する時間を持ちましょう。
各社の情報を収集し、セールスマンの情報をうのみにしていいのか、考える時間をもちましょう。また、セールスマンの提示した情報と、家庭の状況が合うのか見極める必要があります。
もしも、自分の家庭とは合わない契約をしてしまった場合、「クーリング・オフ」で解約しましょう。「突然の訪問販売で、しかも長時間のセールストークにより、冷静に判断できずに契約してしまった。」という場合は、適応できます。契約日を含めて8日間以内ならば無償で解約することが可能です。
しかし、以下のものは、対象にならないので、注意が必要です。
- 電力会社のホームページでの契約
- 電力会社比較サイトなどのインターネットを通じての契約
- 店頭での契約
ご覧頂いた通り、「クーリング・オフ」を適用できるのは、不意打ち的な勧誘にあった場合の消費者保護のための制度です。詳しくは、国民生活センターのホームページで確認してください。
とくに高齢者の方がは便乗商法に注意しましょう。
トラブルその3 セット契約で起こるトラブル
電力自由化により、様々な企業が電気事業に参入しています。そして、携帯電話やガス、インターネット回線などとセットでの契約で割引になるプランを提示している企業もあります。
しかし、これらのプランは契約期間があるので要注意です。セット契約で起こる問題と、回避術を見ていきましょう。
契約内容の説明・確認不足で自分の電気の使い方とあっていない
契約は、生活にあった料金プランを選ばなければいけません。電力会社側はお得なプランをすすめますが、私たち消費者は契約の説明をしっかりと確認し、理解する必要があります。そのためにも、まず必要なのは、自分の情報を再確認することが大切です。
自分自身の電気料金を把握し、家族がどのような電気の使い方をしているのか、「夜型」「昼型」のどちらなのかを理解する必要があります。家計全体のバランスを把握し、携帯電話とのセットや、インターネット回線、ケーブルテレビなど、どことセットで契約するとお得なのかを比べることをおすすめします。
違約金が発生するプランだった
途中で解約すると違約金が発生するプランもあります。例としてソフトバンクとauを見てみましょう。
【ソフトバンク】
- 携帯電話orインターネット回線契約で2400円割引
- 契約解約時、手数料540円
- 2年契約の場合、契約期間満了2ヶ月前までの解約は違約金2500円
【au】
- au携帯とセット契約で「auウォレット」に電気料金の最大5%キャッシュバック
- 1年未満では解約違約金2000円
電力会社による解約違約金は高額なものでは20,000円というものもありました。しかし、セットの割引率が高いものや、キャッシュバックがあるものは、申し込みしておく方が、解約金を払う事を考えてもお得になる場合があります。
キャンペーンなどもあるので、気になる電力会社がある場合はチェックすることをおすすめします。
トラブルその4 解約で起こるトラブル
解約といっても自分自身で違約金を払い解約する場合と、引っ越しなどで解約する場合もあります。さらに、滞納などによりセット契約を解約される場合もあります。
引っ越しでの解約
たとえば2年契約で契約している方が、急な仕事で引っ越しをすることになったとします。引っ越しした先には、今契約している電力会社がサービスを展開していなかったという事も起こります。
そういった場合の解約は、契約期間内の解約でも違約金はかからないしくみになっています。引越し先のエリアで、サービスを展開しているならば、そのまま利用できます。
滞納や解約に関するトラブル
携帯電話やインターネット回線などとのセット契約の場合、電気料金と一括で料金を支払う事になります。料金の支払いを滞納した場合、セット契約が解約されてしまう場合もあります。
さらに、「ソフトバンクでんき」のホームページには、携帯料金、インターネット契約を滞納している人は加入できないと明記されています。
また、支払期限をすぎても支払いがなかった場合は14.5%ほどの滞納利息がついた支払いになるそうです。さらに、携帯と電気料金の契約が両方共解約となるので、両方の違約金が発生することになります。
払い忘れを防ぐためには、まず電気料金を口座振替やクレジットカードでの支払いにすることをおすすめします。もしも経済上の理由がある場合は、できるだけ早い段階で一度電力会社に相談してみてみましょう。
トラブルその5 停電等のトラブル
電力会社が変わったので、停電しやすくなるという事はありません。しかし、どの地域でも、自然災害などで停電する可能性は充分あります。
「台風で電柱が倒れた」「強風で電線が切れている」という事が起こった場合、住居地域の送配電会社が担当することになります。
しかし、どういった原因で停電になっているのか分からない場合は、契約の電力会社に問い合わせる事をおすすめします。家庭のメーターが「スマートメーター」の場合、停電を検知し、自動で電気を復旧させる事もできるので、便利ですね。
トラブルその6 電力会社の倒産
電力自由化で参入する企業は100社以上と言われています。電力会社間の競争により、中小企業は倒産などという事も考えられます。
そういった場合、契約がないため、今日から電気が使えなくなるという事はありません。消費者保護のセーフティーネットが用意されています。
もし、電力会社が倒産した場合、自動的に住居地域の送配電会社の今までと似たようなプランに切り替えられます。その後に、そのまま契約するのは、他を選ぶのかを決めることができます。
トラブルその7 契約エリアによる価格差異
関東や関西の大都市は、多くの電力会社があります。地方によっては、選択肢がないので、「今までとサービスも料金も変わらない」「お得感がない」と、お悩みの方は、少し待ってください!
じつは、電気料金は地方によっても、価格はバラバラなのです。全国的に電気料金は震災後に大幅に値上げしていきました。
しかし、九州電力は安値を保っています。例えば、月間300kWhの電力使用量を基本として考えた場合、基本料金が最も高い北海道電力で9,353円となります。
一方、九州電力は、7,708円となります。この2つの地域で、1,645円も差が出てしまうのです。電力料金の地域格差を感じてしまいますが、もともとの電気料金が高い場所こそ、この電力自由化の価格競争で受ける恩恵は大きくなります。
電力自由化による電力会社と備考の地域別
電力会社数 | 備考 | |
---|---|---|
北海道 | 57社が届け出を行い、12社がサービスを提供している。 | 多くの新電力会社の参入により、新たなサービスが期待できる。 |
東北地方 | 63社が届け出を行い、15社がサービスを提供している | |
関東地方 | 85社が届け出、25社はサービスを提供している。 | 電力自由化の関心が高く、様々なプランがあるので選ぶのが大変 |
中部地方 | 70社が届け出を行い18社がサービスを提供している。 | 料金に変化が大きくないため、様子を見ていてもいい |
北陸地方 | 51社が届け出を行い、9社がサービスを提供している | 電気料金の水準が最も安いので、参入する電力会社が少ない。 |
関西地方 | 72社が届け出を行い、18社がサービスを提供している。 | 参入する電力会社が多く、電力自由化の関心が高い。様々なプランがあるので選ぶのが大変 |
中国地方 | 57社が届け出を行い、12社がサービスを提供している。 | 料金に変化が大きくないため、参入企業が増えるまで様子を見ていてもいい |
四国地方 | 53社が届け出を行い、11社がサービスを提供している。 | 電気料金の水準が最も安いので、参入する電力会社が少ない。料金に変化が大きくないため、様子を見ていてもいい |
九州地方 | 70社が届け出を行い17社がサービスを提供している。 | 電気料金の水準が安い。料金に変化が大きくないため、様子を見ていてもいい |
沖縄・離島 | これまでの電力会社と同じ |
多くの地方が、新しい電力会社の参入により、価格競争が起こります。見て分かる通り、これから増えていくので早急に決めずに、じっくりゆっくりと考えるのも一つの手ですね。