あの臭いプロパンガスの成分は何?

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あの臭いプロパンガスの成分は何

プロパンガスの成分

プロパンガス

世の中で使用されているプロパンガスというのは、100%プロパンで構成されているガスではなく、様々な成分が混ざっています。

主にプロパン、ブタン、プロピレン、ブチレン、エタン、エチレン、ブタジエンなどのガスが混合していることから、いわゆる多成分系混合物とも呼ばれています。

これら成分の混合割合はガスメーカー独自で決めているワケではなく、液化石油ガス法またはJIS規格で定められています。

プロパンガスは法律と規格により、下記の混合割合に分けることが出来ます。

私達が普通に生活する上でそこまで気にすることではありませんが、プロパンガスを知る上では大切なことですので覚えておきましょう。

液化石油ガス法

ガスの種類 混合割合
い号液化石油ガス プロパン及びプロピレン80%以上+エタン及びエチレン5%以下+ブタジエン0.5%以下
ろ号液化石油ガス プロパン及びプロピレン60%~80%未満+エタン及びエチレン5%以下+ブタジエン0.5%以下
は号液化石油ガス プロパン及びプロピレン60%未満+エタン及びエチレン5%以下+ブタジエン0.5%以下

ちなみに上記3種類については、主に一般家庭用に供給されるプロパンガスです。

JIS規格

1種は業務用や家庭用に用いられており、2種は工業用に用いられています。

ガスの種類 組成(mol%) 硫黄分(質量%) 蒸気圧(40℃)(Mpa) 密度(15℃)(g/cm3) 銅板腐食(40℃/1h)
1種1号 エタン+エチレン5以下、プロパン+プロビレン80以上、ブタン
+ブチレン20以下、ブタジエン0.5以下
0.0050以下 1.53以下 0.500~0.620 1以下
1種2号 エタン+エチレン5以下、プロパン+プロビレン60以上80未満、ブタン
+ブチレン40以下、ブタジエン0.5以下
0.0050以下 1.53以下 0.500~0.620 1以下
1種3号 エタン+エチレン5以下、プロパン+プロビレン60未満、ブタン
+ブチレン30以上、ブタジエン0.5以下
0.0050以下 1.53以下 0.500~0.620 1以下
2種1号 プロパン+プロビレン90以上、ブタン
+ブチレン10以下
0.0050以下 1.55以下 0.500~0.620 1以下
2種2号 プロパン+プロビレン50以上90未満、ブタン
+ブチレン50以下
0.0050以下 1.55以下 0.500~0.620 1以下
2種3号 プロパン+プロビレン50未満、ブタン
+ブチレン50以上90未満
0.0050以下 1.25以下 0.500~0.620 1以下
2種4号 プロパン+プロビレン10以下、ブタン
+ブチレン90以上
0.0050以下 0.52以下 0.500~0.620 1以下

様々な混合割合が存在する理由

ではどうしてプロパンガスに含まれる成分の混合割合に、種類があるのかを簡単にご説明します。

その大きな原因が使用している原料自体が天然の資源であることが挙げられ、冬場の寒い時期を迎えると液化石油ガス独自の物性から、ガスそれぞれの蒸気圧を下回ってしまうことがあります。

また、配管の途中でガスが液体へと戻ってしまうことも考えられます。
このことから、液状化し難いプロパンやプロピレンなどの混合割合を人工的に増やしているというワケです。

蒸気圧が高ければ高いほど気体化し易いので、ブタンやブチレンよりもプロパンの混合割合を増やすことによって、外気が寒くても気体化しやすいプロパンガスになるのです。

例えば、主に工場などで使用されるフォークリフトを動かすために使うプロパンガスの場合、東京など関東エリアでは、ブタン70%、プロパン30%といったように、ブタンの割合を大きくしていますが、東北や北海道などの寒冷地では、ブタン50%、プロパン50%とほぼ同量の割合となっています。

このように風土によって、プロパンガスの混合割合を変えているのです。

プロパンガスの臭い

プロパンガスボンベ

鼻にツーンっとくるような独特のガスの臭いを誰もが嗅いだことがあるかと思います。

あの臭いを感じると「あっ!ガスが漏れてる!」っと気付くかと思いますが、そもそもプロパンガスの臭いの成分は何なのでしょうか?

あまりにも強烈過ぎるあの臭いについて迫っていきます。

本来プロパンガスは無臭

プロパンガスの臭い

意外と知られていないことかもしれませんが、本来プロパンガスというのは全く臭いがしない無臭のガスなのです。

実際に、プロパン、ブタン、プロピレン、ブチレンなどの資源が採れる場所でも、あの独特の臭いは一切しません。

つまり私達の元へ届けられる前に、硫黄系化合物を使い人工的に着臭をしているのです。
その臭いは、玉ねぎが腐敗したような臭いです。
この臭いの成分は事業者ごとに異なりますが、ジメチルサルファイドやターシャリーブチルメルカプタンが主です。

どうして着臭するのか、それは大事故を未然に防ぐために必要不可欠だからです。
高圧ガス保安法により、空気中に混入しても1/1000レベルで臭いが分かるように着臭することが義務付けられています。

臭いでガス漏れに気付かせる

着臭する目的はただ一つであり、「そこにガスが存在する」ことを知ってもらうためです。

もし無臭だった場合、万が一ボンベやガスストーブなどからガス漏れが発生してしまっても、それに全く気が付くことが出来ません。

普段から私達が吸っている空気と同じく無臭では、気付くワケが無いのです。

そこで着臭することによっていつもと違う臭いが漂い、ガス漏れを感知し、その原因を突き止め対応することで大きな事故を防ぐことが出来るのです。
ガスが減少してくることで臭いが容器下部に蓄積されていき高濃度になることで臭いが強くなることがありますが、安全上は問題ありません。

プロパンガスを安全に使用するためには、必要不可欠な処理が着臭なのです。

COは無臭・無色で有毒

プロパンガスには毒性はないのですが、不完全燃焼を起こしてしまうとCOが生じます。
このCOは、無臭、無色ですが非常に高い毒性を持っています。

人間が吸引することで頭痛や嘔吐、濃度が高いと死に至ることもあります。
臭いがしないので気付かないことが多く、とても危険です。

ガス機器を使用するときには必ず換気をするなど、不完全燃焼にならないように注意することが大切です。

空気中のCO濃度 ppm 経過時間 人体への影響
0.02% 200 2~3時間 軽い頭痛
0.04% 400 1~2時間 前頭痛
0.04% 400 2.5~3.5時間 後頭痛
0.08% 800 45分 嘔吐、頭痛、めまい
0.08% 800 2時間 失神
0.16% 1600 20分 めまい、頭痛
0.16% 1600 2時間 死亡
0.32% 3200 5~10分 めまい、頭痛
0.32% 3200 30分 死亡
0.64% 6400 1~2分 めまい、頭痛
0.64% 6400 10~15分 死亡
1.28% 12800 1~3分 死亡

プロパンガスの臭いがする原因

原因

プロパンガスは、爆発を起こしたり吸い込むことで窒息してしまう恐れのあるものですから、万が一ガス漏れがあると非常に危険な状態になります。

しかし皆様も一度は「あれ?なんかガス臭いな?」と感じたことがあるかと思います。

そのガスの臭い、もしかしたら貴方に危険が迫っている警報かもしれません。
警報機が作動するほどの臭いだった場合には、さらに危険ですので十分に注意して行動しましょう。

ガス機器からガス漏れ

ガステーブルやガス給湯器などの機器から、ガス漏れが生じることであの臭いが部屋中に充満し、警報機がなることがあります。

この場合、確実に危険な状態ですので、すぐにガスの元栓を閉め、窓を開けて十分に換気をしてください。

ガス機器ではなく、ガスホースが外れていたり、途中で亀裂が入りそこからガス漏れが発生している可能性も考えられます。

ご自分で臭いの原因がわかれば良いのですが、もし原因を見つけることが出来ない場合にはすぐにガス会社へ連絡し対応してもらいましょう。

ガス容器の片切れ

ガスの臭いの原因として、ガス容器の片切れも考えられます。

これは簡単に言ってしまえば「ガス容器のガス欠」のことです。

片切れを起こしても、予備のガス容器から通常通りガス供給は行われるので心配ありませんが、どうしても一時的に臭いが発生します。

この臭いの原因も、もちろんガスへ着臭したものなのですが、片切れによる臭いは正常でも発生するものですのでご安心ください。

ガス容器の中のガスが無くなってしますと、着臭の成分が上昇してくるからです。

片切れなのか、それともガス漏れなのかを確認するために、まずはガス容器の近くに設置している調整器をチェックしてみてください。

もし調整器が赤くなっていたら片切れの状態です。念のため、片切れを確認出来たらガス会社へ状況報告をしておくようにしましょう。

まとめ

今回は身近な存在であるプロパンガスの臭いによる危険性についてご説明させていただきました。

悲惨な事故を招いてしまわないよう、自分で出来ることはスピーディーに対応し、少しでも気になるようであれば、すぐにガス会社に対応してもらってください。

ガス会社も自社のプロパンガスが原因で事故を起こしてもらいたくありません。

的確、かつ敏速に行動してくれますので、万が一の時には躊躇せずに連絡をしてください。