電力の全面自由化がスタート!登録制なので新電力でも安心!

一般家庭も好きな電力会社から電気を買えるように
2016年4月から電力の全面自由化がスタートしますが、これによって一般家庭やコンビニといった小規模な需要家も、好きな電力会社から電気を購入できるようになります。
ちなみに工場やデパート、オフィスビルといった、50kW以上の需要家に対しては先に自由化がおこなわれていて、そうした事業所はすでに好きな電力会社から電気を買えるようになっています。今回の自由化では、それが一般家庭などにも広がるというわけです。
新電力の登録数は600社を突破
一般家庭や商店など、今回の自由化の対象となる件数は8400万件。総電力使用量の残りの約38%がすべて開放されることになります。7.5兆円ともいわれる大きな市場を前に、「新電力(PPS)」と称される新たな電気事業者の市場参入が相次いでいます。
メジャーどころでは、日産自動車や伊藤忠商事、ミサワホームといった企業がすでに新電力としての登録を済ませていて、これまでに届け出された企業の数はなんと600社以上! ほとんどは異業種からの参入になるわけですが、そうした新電力はそもそも送電網がありませんし、販売する電気を生み出すための設備もほとんどの場合、持ち合わせていません。
新電力はどうやって事業を成り立たせるかというと、送電網は東京電力や北陸電力といった大手電力会社から有料にて借り受けます。そして、販売するための電力は大手電力会社から購入したり、あるいは一般家庭などが太陽光発電システムで発電した電気を買い取ったりしてまかないます。
ここで気になるのが「もし新電力に乗り換えた場合、電力は安定的に供給されるの?」ということではないでしょうか。
全電気事業者は登録制になっているから安心
政府は需要家の不安をなくすため、全面自由化においてはさまざまな規制や基準を設け、電力の安定供給を図ります。
そのための規制の一つが、「全電気事業者を登録制にする」ということ。2015年4月、政府は「電力広域的運営推進機関」という機関を立ち上げ、東京電力や九州電力などの一般電気事業者から、日産自動車や伊藤忠商事をはじめとする新電力(特定規模電気事業者)まで、すべての電気事業者をこの機関に登録させることにしています。
厳しいチェックによって電気の供給力を確保
さらに政府は需要家を保護するため、電気事業者が登録を申し出た際には電気の調達計画を提出させ、安定的に電気を供給できるかどうかをチェックします。もし、それが難しいと判断されれば、登録は認められません。また、これまでの事業活動において法令違反がないかといった、電気事業者の経営体制まで調べます。
そしていざ登録許可がおりたとしても、電気料金や電気の供給条件について説明する義務も課します。仮に需要家がその説明に納得がいかなかったり、疑問が生じたりした場合には問い合わせることができ、電気事業者はそれに対して説明責任を負うことになります。
このように、さまざまな規制やチェック基準を設けることで、今までよりも安定的に電気を供給できるような体制を政府は整えていきます。したがって、新電力と呼ばれる新しい会社に乗り換えたとしても、わたしたちは安心して電気を買うことができます。