ガス自由化だから都市ガスの料金の仕組みを知っておこう!!

毎月一回決まってくるものの一つに、ガスや電気の使用量を知らせる検針票があります。ただ名称は「使用量のお知らせ」とか「ご請求予定金額のお知らせ」などという風になっている場合が多く、検針票とはなってはいません。
このお知らせはガスや電気を使っていさえすればどの家庭へも必ず届けられるものです。でもはっきり言って、ほとんどの人が目を通すのは請求金額のところだけで、その他の項目は素通りしているのではないでしょうか。
つまり金額だけ見て、他の項目には目を通さずに済ましてしまうのです。実はこのお知らせには請求金額の他にもいろいろな項目があり、中には大切な情報も含まれているのです。
ガス料金のお知らせ(検針票)には多くの項目がある
例えば東京ガスの「ガス料金のお知らせ(検針票)」を見てみますと、
①お客様番号
②ガス使用者情報
③検針月日
④今回検針日・使用期間・使用日数
⑤今回使用量・今回指示数・前回指示数
⑥次回検針予定日
⑦前年同月使用量・先月使用量
⑧口座振替予定日
⑨契約種別
⑩請求予定金額・料金内訳
⑪当月適用単位料金・翌月適用単位料金
⑫お問合せ先
⑬口座振替領収証
などの13にも及ぶ項目で構成されています。これだけ多くの項目があるのに、ほとんどの人が請求予定金額にしか目を通さないというのが実状のようです。しかしこの検針票にはガス料金の仕組みを知るための大切な情報が載せられているのです。
例えば⑪の項目には、当月(翌月)適用単位料金という項目がありますが、この単位料金とは1㎥当たりの単価のことですが、これは毎月同じではなく、月によって異なることもあります。なぜ異なるかについては以下の項目で順次説明します。
⇒2017年にはじまるガス自由化とは?
ガス料金は毎月の使用量だけが請求されるのではない
毎月請求されるガス料金は、単純に考えれば前月使用したガスの量に対する料金ということになります。でも実際はそれだけでなく、請求金額は他の要素を加えて計算されるのです。
それを知るためには、ガス料金がどういう仕組みになっているかを知る必要があります。前述のように、毎月請求されるガス料金は前月の使用量に対するものだけではありません。それはガス料金が次のような仕組みになっているからです。
⇒ガス代節約方法おすすめ厳選17選!!
毎月請求されるガス料金の仕組みはこうなっている!!
前述のように都市ガスユーザーのほとんどの人は毎月支払うガス料金について、その内訳を知ろうとしません。と言うか、ガス料金のお知らせに書かれている請求金額が前月の使用量に対する金額であり、他のことは知る必要がないと思っている、と言った方が良いかもしれません。
つまり請求額イコール前月使用量という考え方なのです。
しかしそれは大きな誤解で、ガスの料金はそれほど単純ではなく、他のいろいろな要素によって構成されているのです。
ガス料金を構成する要素は大きく分けて基本料金・従量料金・原料費調整費の3つになります。おそらくこの3つのうち、多くの人が説明なしに理解できるのは基本料金だけで、料金のもう一つである従量料金についてははっきり分からず、ましてや聴いたこともないような原料費調整費はまったく理解できないのではないでしょうか。
そうした方々のために、ここではまず、基本料金、従量料金、原料調整費についての説明から始めることにします。
基本料金とは?
基本料金は都市ガスを契約している人が毎月支払わなければならない料金で、ひと月のガス使用量によって決まります。例えばガス使用量が20㎥までなら第一段階の◯◯円、50㎥までなら第二段階の△△円、といった具合ですね。
ガス使用量の区切り方や金額は各ガス会社・ガス料金プランによって異なりますが、基本料金が段階性で決定されることは概ね共通しているようです。
⇒都市ガスの基本料金が安い理由に驚かないで下さい。
従量料金とは?
従量料金は基本料金のように一定額のものではなく、その月のガス使用量に単位料金を掛けて計算されますから、計算式は次のようになります。
従量料金=(その月のガス使用量)×単位料金)
これに数字をあてはめますと、仮にガス使用量が30㎥で料金単価が100円の場合には、
30㎥×100で、3000円ということになります。これに基本料金を併せたものが請求金額になります。なお単位料金とは1㎥当りの単価のことで、あらかじめ決められた基準単価の料金に原料費調整による調整額を加減されて計算されます。
これで上にあげた東京ガスの料金のお知らせの⑪にある「当月適用単位料金・翌月適用単位料金」の意味がお分かりのことと思います。
原料費調整費とは?
上で太字で示したように、ガス料金の仕組みは、原料調整費を知ることなしに理解することはできません。上述のように原料費調整費は単位料金に反映されるものですから、どういうものであるのかをはっきり知っておく必要があります。
ご存知のように都市ガスの主な燃料はLNGとも呼ばれる液化天然ガスですが、このガスはすべて輸入に頼っています。ということは価格は為替レートの変動によって絶えず変動することになります。
しかもガス会社によって輸入時期が異なりますから、当然輸入価格も異なってきます。その結果、同じLNGでもガス会社によって料金が異なってきますから、それが料金に反映され会社によって単位料金が異なってくるのです。
原価費調整費は為替変動で上下する原料のコストを調整するためにある
為替変動によってガスの原料であるLNGのコストは変動しますが、単位料金に反動分を加減することによって調整するのが原料費調整費なのです。したがって、為替変動により円安になってLNGの輸入コストが高くなるにつれて原料調整費は上昇し、逆に円高になるとコストが下がりますから下降へと転じます。
原料調整費を低く抑えるために、円高局面ではなるべく多くのLNGを輸入しようとしますから、円高が長く続くと備蓄量は次第に増えてきます。原料調整費が単位料金に反映されるのにはタイムギャップがありますが、それは3ヶ月ごとにまとめて計算されるからです。つまり3ヵ月ごとの原料単価がその後の単位料金に組み込まれるのです。
これを分かりやすく言えば、例えば3~5月までの原料価格の平均は3ヵ月後の8月の単位料金に反映されます。以下はそれを示す表です。
原料費調整費のガス料金への反映時期はこうなっている
LNGなど原料価格算定期間 | 単位料金への反映 |
---|---|
前年8月~10月 | 1月検針分 |
前年9月~11月 | 2月検針分 |
前年10月~12月 | 3月検針分 |
前年11月~当年1月 | 4月検針分 |
前年12月~当年2月 | 5月検針分 |
当年11月~当年1月 | 4月検針分 |
まとめ
都市ガスユーザーの多くの人たちは、毎月請求されるガス料金は、前月に使用したガスの量に対するものだけが請求されているものと思っています。
しかしガス代の仕組みはそれほど単純ではありません。ガスはLNGと呼ばれる海外から輸入した液化天然ガスで作られますが輸入には為替変動による価格の変動が避けられません。
仮に円安が続けば価格の上昇は避けられませんが、実はこうした価格の上昇分は原料調整費の名目で私たち消費者が負担しているのです。