Looopでんきエリア拡大!記者会見潜入レポート
太陽光発電×お得な電気で大好評!期待の新電力「
Looopでんき」がサービスエリアを拡大すると聞き、タイナビスイッチスタッフは記者会見に潜入してまいりました!
Looopはエネルギーをフリーにしたい
Looopでんきの供給エリア拡大記者会見は中村創一郎社長の挨拶からスタート。Looopを「知られていない会社」とし、まずはLooopという会社の事業概要を紹介しました。
Looopは東日本大震災時のボランティア活動が創業のきっかけとなりました。現地で目の当たりにした自然のエネルギーの凄まじさをエネルギーに変えることはできないかと考え、太陽パネルは一枚一枚の発電量は多くはないものの、たくさん繋げて継続的に発電し続ければ多くの発電量が得られるとして決意したLooop創業後は、自然エネルギーを活用するべく多くの発明が行われました。
当時は太陽光発電といえば家庭の屋根に付けるもので野立ての太陽光発電所を見かけることはほぼ無かったこともあり、まず行われたのは発電所を作ることの敷居の高さを解消すること。ここで生まれた「MY発電所キット」は自力で発電所を作れることで太陽光発電所の敷居が下がり、費用も定価を出すことで透明化され、また大幅な下落を可能にしたために好評を博しています。
その後「風力発電キット」もリリースし、現在では全国1800箇所に100MW強の設備が設置されているようです。
すると今度は「本当に発電しているのかが分からない」と顧客から要望が上がり、発電データが携帯からも見える「みえるーぷ」が開発されました。「みえるーぷ」はLooop以外の発電所からも引き合いを受け、今日では3000ヶ所以上に設置されているとのことです。
こうして全国に広まった「みえるーぷ」は太陽光発電にとって予想外の効果を発揮し、全国3,000箇所からリアルタイムで集まる日射量のデータを分析して発電所から得られる電力と需要を予測できるようになりました。
数々の発明品の中でも大ヒットした「ソラシェア」は太陽光発電と農業を同時に行うことを可能とし、ソーラーシェアリングという概念を生み出しています。高い架台に太陽光パネルを屋根のようにまばらに設置することで作物に適した太陽光を送りつつも太陽光発電ができるなど、農業と自然エネルギーを共存させることが可能になりました。
ソーラーシェアリングは驚きの方向に発展しつつあり、なんとケニアのジョモ・ケニヤッタ農工大学から「ソラシェア」を導入したい、共同研究したいとオファーが来たというのです。
ケニアという土地は太陽光が強すぎて干ばつを起こす土地柄で、日光を調節できる「ソラシェア」設置で干ばつ防止効果が得られれば収穫量が増え、同時に発電までできるなどメリットが多く、ジョモ・ケニヤッタ農工大学とは「ソラシェア」をアフリカで広げていきたいとして現在共同研究を行っています。
日本の1800箇所に太陽光発電設置を済ませたところで、「景観を壊す」「木を切り山を崩して森を壊している」と言われるように。景観・環境に配慮したものを作っては来たものの、さらに自然エネルギーと森は共生できるのではないかというコンセプトで、光と影、日射量全てを計算て日射量が少ないところには木を切らずパネルを設置しないなど、デザインと建築の全てが融合する施設で発電を行う企画が進んでいるようです。
さらに注目の新商品であるNEXTOUGH(ネクスタフ)は、太陽光発電の寿命を従来の20年から50年に伸ばし、FIT期間後もずっと発電し続けていられる発電所作りを実現します。
Looopは設立から5年という若い企業でありながらも様々な挑戦をしてきたと語る中村社長。発電所を作る部材を開発し、パネルメーカーであり、施工もメンテナンスも保険屋でもあるLooopは2016年にLoooopでんきとなり、自分たちで作った電気を顧客に届ける試みをしています。これらを全て行うことでコスト削減を行える国内唯一の企業であり、大きな強みでもあります。
そして目指すものはエネルギーがフリーな未来。電気代がタダ、ガス代がタダ、ガソリン代もタダという未来にしていきたい。その可能性を自然エネルギーが持っているとしています。太陽光、風力、地熱など、全てのエネルギーは原価が0円。
発電設備の価格を安くし、自然の恵みを最大限に活用することで将来的にはエネルギーを限りなくフリーにすることが目標であり理念。子どもたちに誇れる未来を目指していくと語りました。
新電力の革新性がなければ電力自由化は収束してしまう
ゲストスピーカーとして株式会社船井総合研究所 スマートエネルギーチームから山本翼氏が登壇し、俯瞰的に電力自由化後の現状を客観的に解説しました。
はじめに小売電気事業者の登録数と実態には乖離があるとして、実売量ランキングを見ても供給実績がある会社は136社に留まり、かつ参入が進んでいるように思えば上位15社は変動なし。参入したは良いものの規模はそれほど多くないのが現状と振り返りました。
ただし電力小売市場のマーケット全体は拡大しているとし、新電力最大シェアを誇るエネットの販売量が電力自由化前後で変わりないのは東京ガス大阪ガスNTTファシリティーズがそれぞれ動いているため。エネットの販売量が増えてはいないし減っても居ない、ということで電力自由化以前からマーケットが拡大傾向にあったと分析しています。
さらには地方の中小企業と話すとまだまだ新電力のことを知らない人が多い傾向にあり、もっと新電力はシェアを取れる可能性はあると話しました。
次に低圧向けの切り替え率を見てみると、全国でおよそ2%の家庭が切り替えているとされながらもエリアの格差が非常に大きいことを指摘しました。切り替えを済ませた2%の半数以上が東京電力管内の家庭で、次が関西電力管内とのこと。関東は人口と企業が多く事業者も多いことが要因とされています。
関西電力管内の次に切り替え件数が多い北海道が意外なところですが、元々の電気代が非常に高かったために削減幅が広く、切り替えが広がっていると見られています。
また各エリアの小売電気事業者数と切り替え率には一定の相関関係にあるとしており、10社以上の事業者が進出している東京・関西・北海道などは切り替えが進んでいますが、それ以外の地域では全然切り替えが進んでいないという結果が出ています。すなわち、現在の電力小売のマーケットは事業者が作っているのが現状だと語ります。
この現状をマーケティングのイノベーター理論で見ると、電力市場の間近の架台が見えてきます。現在、電力会社を切り替えている人はイノベーター層にあたり、今後の電力切り替えはアーリーアダプターまでは間違いなく浸透するということ。その次のアーリーマジョリティに届くには電力自由化の制度設計の問題、新電力の革新性が密に関わるとしました。
今のところは電源構成を見ずに切り替えている人が多く、ユーザー間で電気のリテラシーは変わりないため、新電力からドラスティックな改革をしなければならない。電力自由化が広まらず、収束してしまう可能性があるとしています。
全国7エリアに拡大、新しいことにチャレンジしたい
株式会社Looop執行役員の小嶋祐輔氏からは電力自由化からあっという間に4ヶ月が経過し、Looopのビジネスが現在どうなっているかの概要を説明。そこから新エリア拡大に話が展開しました。
特高・高圧は2015年12月に開始し、東京電力で供給を開始し、順次エリア拡大を続けて7エリア。のこる北陸の2エリアも2016年注に開始できる見通し。家庭向けには現在東京・関西・中部の3エリアでおうちプランとビジネスプランを提供しており、それぞれは従量電灯B・Cに相当しますが何より特徴的な基本料金0円を打ち出すなど、独自性の高いプランを提供しています。
一時は基本料金0円が適用されるには申込期間などの制限がありましたが無期限延長し、現在は基本的に基本料金0円で電気を供給しています。
従来の電気料金には基本料金があり、電気を使わなくても一定の料金を支払わなければなりません。電気料金も従量料金で使うほど電気料金が上がっていきますが、Looop電気はどれだけ使っても同じ単価で電気を使えるという分かりやすさが1つの売りです。
さらに電力会社によっては違約金を設けていますが、Looopはかけない方針。これはまさに新しいことにチャレンジしたい姿勢の現れで、解約金を設けなくてもユーザーが離れていかないようなサービスを提供したいという気持ちを持っているそうです。
また「太陽光のビジネスとのつながり」が1つのポイントであるとし、太陽光の発電所を安く作って電気を調達すること、みえるーぷで需要量を正確に予測しているため、業界最安水準で電気を売ることができるとしています。
太陽光発電を応援したい人に多く入って欲しいというポリシーをもち、今後は太陽光をより普及させるために、電気と太陽光のセット割を考えたり、昼間の電気代は夜の電気代よりも高いと体現するようなプランを提案するなど、将来的にエネルギーがフリーになるような社会に一歩一歩近づいていく通過点と考えているとのことです。
低圧は3月11日に3エリアで申し込みを開始し、既に2万1000件を超える申し込みを受けて1万5千件にスイッチングが完了し、供給が開始されているとのこと。特高・高圧は現在7エリアで供給していますが、低圧は現在3エリア。残りの4エリアに対しての開示が今回の会見で行われました。
Looopでんきが新しく低圧の供給を開始するのは東北・九州・北海道・四国の4エリア。基本料金0、従量料金1段を引き続き続けるとのことです。
Looopでんき供給エリア拡大の概要
申込受付開始 | 基本料金 | おうちプラン 従量料金 |
ビジネスプラン 従量料金 |
|
---|---|---|---|---|
東北電力管内 | 9月9日 | 0円 | 26円 | 27円 |
九州電力管内 | 10月9日 | 0円 | 23円 | 24円 |
北海道電力管内 | 11月9日 | 0円 | 近日発表 | 近日発表 |
中国電力管内 | 12月9日 | 0円 | 近日発表 | 近日発表 |
エリア拡大にあたってキャンペーン実施
Looopの起源にあたる東日本大震災、熊本大震災の被災地を中心に、申し込みから各1,000名(→申し込み者全員に変更)に対し、電気料金を初月無料にするというキャンペーンが行われます。応募期間中に特設ページ経由で申し込んだ方が対象となり、キャンペーンへの応募期間はそれぞれエリアでの申し込みがスタートしてから2週間です。
抽選対象
①福島県・宮城県・岩手県に在住の方(2016年9月9日~)
②熊本県に在住の方(2016年10月9日~)
質疑応答では太陽光+電力小売のビジネスモデルに焦点
Looop電気の料金について、基本料金0円従量料金の部分が安いのを実現できるのはなぜ?
収益を損ねる原因になるインバランス単価をできるだけ少なくするオペレーションを行っている。その技術を「みえるーぷ」で持っており、可能な限りのローコストでできるのも1つの要因。
太陽光が伸び悩むと難しいのでは?今後のビジョン・電源構成を教えてください
今後も構成比率を伸ばしていかなければならない。太陽光だけで増やすのも難しいのも理解しているが、自家消費用の例えば工場にFITに依存しない設置を行い、家庭向けの設置でも太陽光発電を伸ばしていきたい。日本の場合他の風力とか地熱などのエネルギーも有用なので増やしていきたいし、伸ばしていきたい。
3エリアで2万件を超える申し込み。エリアごとの内訳は?
比率は東京電力管内・関西電力管内・中部電力管内でそれぞれ70:15:15。東京電力管内は1万5000件。
国内の太陽光パネルメーカー内でLooopブランドをどう打ち出す?買取価格が下がっていく中、どう開発を進める?
太陽光発電所を作るコストをとにかく下げて、発電期間を長くしていく。20年間ではなく50年間発電できる「NEXTOUGH」。メンテナンスコストなどの運用コストを下げる。
FIT価格が下がっていく中でも同様。発電をし続けていく、発電所を作る人にメリットがあるような価格や他サ-ビスを提供する。20年目以降の発電所はどうする?という問題には電力会社として、20年目以降も発電する電気を買うことができないかを考えていく。20年ではなく50年、100年のスパンでエネルギーをフリーにしていく。
何割ぐらいが自前の発電所からの調達?電源の規模はこれからどのぐらい増やす?
電源構成はFIT20。その中の4分の3がLooop製品、あるいは監視装置が付いているところからの調達なので、おそらく15%くらいが自前。今後はエネルギーミックスで太陽光が約24%と予定されているので、これよりは多い形を維持していかなければならない。
プレミアム売電のキャンペーンについて、販売価格より大分高いけど供給はこの価格を維持できる?
(Looop Homeの購入者に対し、余剰電力をFIT価格に+10円で買い取るキャンペーンについて)家庭用の太陽光の余剰電力を買い取っていくという宣言であり、1つのパターン。既設で太陽光発電を付けている人には別の条件を考えており、買取価格は市場を見ながら決めていく。
以上、2016年8月に行われたLooopでんき潜入レポートを終わります。