電力自由化の契約相談多発ニュースから読み取れること

電力小売りの契約相談が多発しているのはなぜ?
このところテレビで電力会社のCMを目にすることがやたら多くなりました。これまでなかったことだけに、「どうして?」と疑問に思っている方は多いと思います。そうした人たちは、たぶん「電気は独占企業だから宣伝なんか必要ないのでは?」と考えているのに違いありません。確かにこれまではそうでした。
でも2016年4月からはそうでなくなったのです。なぜなら電力小売が自由化されたからです。つまり、これまでは特定の電力会社しか電気の小売販売ができなかったのが、これからは申請して許可されれば、新規の会社でも電力の販売ができるようになったのです。そうしてできた会社は「新電力」と呼ばれています。電力自由化とともに新電力は増えに増え、今ではその数は700社以上に上っているのです。
「群雄割拠」という言葉がありますが、今の電力業界はまさにこれががピッタリといえます。この新電力の乱立こそが、電力小売りの契約相談を増やしているのです。
電力小売自由化で消費者は業者選択に迷っている
電力会社のテレビコマーシャルが増えるということは、電力小売の競争が始まったことを表しています。そうなのです。電力の販売はついに自由競争の時代に入ったのです。競争になれば、各社は価格とサービスを競い合います。
つまり価格については、以前の料金より安い割引料金を提示しようとするのです。またサービスについては、スマートメーターの無料設置をはじめとして、従来の会社より内容の充実したものを提供しようと努めます。そんなこんなで各社が料金割引とサービスの提供を競い合うのです。それも数社程度と少ない範囲での競争ならいいのですが、数十社にも及ぶ多数の会社が入り乱れて大競争を展開するのです。
これでは消費者は有り難い反面、混乱してどの会社を選べばいいのか分からなくなってしまいます。その結果、一人で考えられなくなり、「どこかに相談を・・・」ということになるのです。
電力小売の契約に関する相談はこんなに増えている
小口電力が自由化がスタートした2016年の今年になって、国民生活センターや各地の消費者センターに寄せられる電力小売に関する相談が急激に増えています。どれだけ増えたか分かっていただくために、相談件数の推移を調べてみました。
年度 | 相談件数 |
---|---|
2014年度 | 27件 |
2015年(4月~6月) | 16件 |
2015年(同7月~9月) | 35件 |
2015年(同10月~12月) | 64件 |
2016年(1月~3月) | 734件 |
通産省が電力の契約締結に対して注意を喚起!
電力小売自由化から2ヶ月ほど経過しましたが、ここへきて通産省は電力小売の契約締結に対して注意喚起の通達を出しています。それは今年に入って電力自由化に伴い電気小売に関する相談が急増してその数が2000件近くにも達したからです。また、その内容も単なる相談ではなくトラブルの報告に近いようなケースも少なくないのです。
相談内容の一部をご紹介すると次のようになります。
- 投資の勧誘員が電力自由化を理由に契約を迫った
- スマートメーター取替えを口実に新電力への乗り換えをすすめられた
- マンションの管理会社が電力会社の変更を伝えてきた
- 新電力の売込みが多いため、ついダブって契約をしてしまった
これらはごく一例に過ぎず、この他にも料金に関する思い違いや、電話での勧誘に対する苦情などを含めると相談の内容は多岐に及んでいます。
電力の契約締結の前にはこの点に注意しよう!
電力自由化に乗じた投資の勧誘
電力自由化に際しての発電設備や知的財産権を対象にした投資に関する甘い話には罠があります。安易に勧誘に乗ってはいけません。
スマートメーター取替え
原則として電力切り替えでスマートメーター取替えの契約はありません。何か他の契約とすり替えられていないか、内容をよく確かめなければいけません。
マンション管理会社による電力会社の変更
マンション管理会社が電力の変更を求めても、入居者が必ずしもそれに応ずる義務はありません。契約内容をよく確かめて、納得できなければ拒否することもできます。
複数の電力会社と契約
ありがちなことですが、望まない方の電力会社に解約を申し出るしかありません。もし拒まれたり、高額な解約料を請求された場合は、間に国民生活センターや消費者センターに入ってもらえば良いでしょう。
これを知っておくと騙されない!よくあるトラブル事例をご紹介
小口電力自由化は詐欺師にとっては絶好の機会かもしれません。なぜなら騙しの手口が無数にあるからです。だからといって消費者としてはまんまと引っかかるわけにはいきません。そのためには事前に相手の手口をよく知っておくことです。
「電力自由化に際して新たな手続きが必要」といわれた
電力会社から来たという営業の人に、「電力自由化に際しては新たな契約が必要で、それには手数料が必要」といわれ、いわれるままに手数料支払われたケースがあります。
しかしこれは真っ赤なウソです。電力自由化では業者の切り替えをしない限り、何の手続きも必要ではありません。
「高齢者向きのお得な電気プランがある」といわれた
高齢化社会ではお年寄りが詐欺のターゲットのされることが少なくありません。今回の電気自由化でもそうしたケースが目立ちます。高齢者宅を訪れた営業マンが「今回の自由化では高齢者に向けたお得なプランが目立っています」とかなんとか言って、自社への切り替えを迫るのです。他の商品やサービスならそれもあり得ますが、電力に限っては、特に高齢者向きのプランはありません。
「スマートメーターの買取契約が必要」といわれた
電力自由化の目玉のひとつにスマートメーターがあります。これがあると電力消費量が簡単に分かり、非常に便利です。そこに付け込んで、「スマートメーターの買取契約が必要」といって、これを販売することで利益を挙げようという詐欺商法があります。
スマートメーターは無料です。電力自由化で業者を切り換えすると、サービスの一環として無料で取り付けてくれるのです。
「シールを貼ると電気代が安く」なるといわれた
これはブレーカーに特殊なシールを張ると電気料金が安くなるというものです。つまりシールからマイナスイオンが発生し、電気抵抗を抑える効果があり、それが電気の消費を少なくして結果的に電気代が安くなる、というものです。
このシールの料金は3万円~5万円程度と高価です。しかしその効果は疑わしいことが多くの関係者から報告されています。
「電気切り替えで新たな電線を引く必要にある」といわれた
新たな電線といえば、たいそうなおおげさな話ですが、実際に「電力切り替えに際しては新たな電線が必要」といって料金を請求する営業マンがいるのです。よくできた話のようですが、実際は違います。
今回の電気自由化は発電の部分だけで、送電に関しては従来と変わらず地域の電力会社の担当になりますから、新たな電線は必要になりません。
まとめ
物事の変わり目には新しい知識の習得やいろいろ手続きなどが必要になりますから、時には混乱を招くこともあります。それに乗じて人を騙して儲けようとするのが詐欺師です。
今回の小口電力自由化ではターゲットが広いことと、変更内容が多い点で、詐欺師にとっては絶好のチャンスといえます。騙されないためには、この記事に書いた注意点をしっかり守り、防御の姿勢をくずさないことです。
相談や詐欺が多いのは、皆さんが注目している証拠です。
「怖いなあ」「騙されないようにしよう」と何もしないのは、もったいなすぎます。
日本国民や、詐欺師、全ての人が既に始まっている「電気料金競争」に深く関係しているのですから!
まずは下記高精度シミュレーションで自宅電気料金がどれだけ安くなるかを見てみましょう。
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