楽天がガス会社クレアールエナジーと協力してガス自由化市場へ!

楽天がガス会社と合弁で「クレアールエナジー」を設立へ
「楽天市場」や「楽天カード」などで有名な楽天株式会社が、2015年12月に株式会社クレックスの子会社である「クレアールエナジー株式会社」に出資し、共同で運営していく方針を明らかにしました。
今回は、楽天が今後展開する、ガスを含む「エネルギー事業」について、なぜ参入に至ったのか、どんなサービスが展開されるかなど解説していきます。
なぜ楽天がガス会社と提携するの?
楽天がエネルギー事業に本格的に参入したのは、ガス事業を含むエネルギー事業と、楽天がもつ独自のサービスを組み合わせることによって、より顧客のニーズを掴んだサービスを提供できるとにらんだからです。
楽天とクレックスは、もともと出資が決定する前段階として、2015年夏ごろより募集したモニターに対し「楽天スーパーポイント」とクレックスが持つガスの販売チャネルの組み合わせがどう事業展開に影響していくかを調査していました。
調査には、簡易HEMSと呼ばれるIT技術やセンサーを活用した「おうちのエネルギー管理」を行うシステムを導入し、得られたエネルギーの使用状況などのデータと、顧客にWEB上でマイページを提供してエネルギーデータと連携させ、得られるメリットなどを調査し、共同出資に至ったと発表されています。
楽天独自のサービスとは?支援サービスをご紹介
現時点で、クレアールエナジーが公式に楽天と連携して提供すると発表しているサービスは、2種類あります。
楽天スーパーポイントをエネルギー使用料に適用する
楽天スーパーポイントとは、楽天が提供するサービスに共通で利用できる「ポイント」のサービスを指します。
他のエネルギー事業者で楽天スーパーポイントと提携しているところは多くありませんので、利用料金に応じて楽天スーパーポイントが付与されるサービスは「楽天」ユーザーにとって魅力的と言えます。
HEMS機器を利用したサポートサービスを提供
クレアールエナジーは、HEMS機器を利用し、需要家のエネルギーデータを「見える化」することで、顧客のエネルギー利用をもっと「お得」で「便利」に提供できるサポートサービスを提供していくという方針を示しています。
まだ具体的なサービス内容は発表されていませんが、クレックスグループのガス、クレアールエナジーの電気という2種類のエネルギーを同時にチェックし、エネルギー利用を効率よくできる方法を提案されることが予想されます。
また、顧客のマイページを用意して過去の電気料金やガス料金を月別にグラフ化して確認できるなど、すでに大手電力会社では採用されているサービスも盛り込まれるほか、「このプランで今契約すると楽天トラベルで割引!」などの楽天独自のマーケットを利用したサービスも期待できますね。
クレアールエナジーの「セット割」とはどんなものになるの?
楽天がガス会社とタッグを組んで設立した「クレアールエナジー」ですが、現段階では公式に電気料金サービスは発表されていません。
あくまで予想になってしまいますが、今後クレアールエナジーは「ガス」と「電気」のセット割りはもちろん、楽天スーパーポイントや楽天の事業と絡めたセット割り展開が行われていくと考えられます。
例えば、楽天は「楽天市場」ほか、旅行事業や電子書籍サービス、保険の総合サイトの運営など様々な事業を展開しておりますので、クレアールエナジーと電気料金の契約をすれば「3か月間電子書籍料金が半額」や、「楽天スーパーポイントが今なら2倍」などのセット割りも出てくる可能性があります。
どんなセット割りプランが出てくるかは分かりませんが、今後の展開に注目していきたいところですね。
中小LPガスの強力なサポートを行う「組合」設立も参加
楽天がガス会社と提携した電気事業を展開しているのは、クレアールエナジーだけではありません。
楽天は、2016年4月に設立許可された「エネルギー需要開発協同組合」と提携し、中小のLPガス事業者に向けた電力小売事業を支援するとも発表しています。
現段階での具体的な内容としては、以下の4つのサポートが行われます。
- 電力小売りの取次サポート
- LPガスと電力をセットで販売するサポート
- 事業展開に必要な情報提供
- 滞留債権リスクの解消
(全国のLPガス事業者が「電力の小売事業者から電気を小売り」してもらい、買った電力を「自社名義で需要家向けに電力を小売り」する契約を取り持つ)
(需要家より電気料金が期日を6か月過ぎても支払われなかった場合に、組合より代理で組合加入者に支払うサービス)
上記以外に次の内容も、楽天の協力のもと組合加入事業者へサービス提供されます。
- ガスと電気をセット販売した際の電気料金に「楽天スーパーポイント」を付与
- HEMS機器を利用したエネルギーデータ利用のサポート
これらのサービスは、LPガス事業者が電力自由化に参入しようという動きを促進させ、強力にバックアップしてくれると言えます。
楽天とタッグを組む「クレアールエナジー」とは?
クレアールエナジーとは、株式会社クレックスによって2015年に設立された電気小売事業者です。
親会社の株式会社クレックスとは、1955年に設立されたガス事業をメインで行っている会社です。
事業内容としては、ガスおよびガス器具などの販売、ガス供給施設の設計、施工、不動産賃貸、ガソリン、灯油の販売など様々です。
クレックスグループ全体では、関東から北海道にかけて広いエリアでガス事業を展開しており、クレアールエナジーの事業展開にも既存の顧客を利用して、ガスと電気のセット販売を視野に入れた動きをとっています。
また、今後クレアールエナジーは電力の小売ノウハウを確立した後、新規参入のほかの事業者向けに「電力小売りの取次」サービスや、環境に配慮したFIT電気、水力発電、再生可能エネルギー(FIT電気以外のもの)の開発などにも力を入れていくと発表されています。
会社ジャンルの垣根をこえた協力体制も
今回ご紹介したクレアールエナジーの設立は、従来ではあまり関わりのない「インターネット関連事業」と、「ガス関連事業」との協力体制が実現して行われたものです。
クレアールエナジーの例だけではなく、コンビニと電力、スーパーと電力など、2016年の電力自由化では電力事業とは関係の無かった事業者も参入している傾向があります。
今まで電力事業に関わっていなかったにも関わらず、電力自由化にあわせ参入する企業の特徴としては、「ユーザーの日常と近いサービスを扱っている会社」もしくは「すでにエネルギー事業の実績がある会社」のどちらかのパターンが多いと言えます。
今後は、大手電力会社に匹敵するパワーをもつ「他事業の大手企業」がどんどん新しい電気料金プランやサービスを提供していく可能性もあり、電力の小売業界でも競争がさらに激しくなっていきます。
需要家それぞれが「自分の生活にフィットする」電力会社と契約するためにも、きちんと業界の流れを知り、どのサービスを受けるかを選択していくことが大切ですね。