原発再稼動で電気代は安くなるのか?

「原発が再稼働したら、大手電力会社の電気代は安くなる可能性がある」と言われています。
というのも、原発はその殆どが設備費用にかかっていて、発電を再開したからといって追加費用は殆ど無いからです。
関西電力は、「原発を再稼働したら電気料金の値下げを予定している」と発表していたのは記憶に新しいですよね。
しかしその後、高原原発の3、4号機の稼働を止める仮処分が下されてしまい、電気料金の値下げは当分の間見合わせとなってしまいました。
原発が再稼動してもすぐに電気代は安くならない…
原発が再稼働すれば、電気料金の値下げの可能性はあると言いました。
しかし再稼働したからといって、来月からの電気代が格安になるというわけでもないようです。
というのも、福島第一原子力発電所事故を起こした東京電力以外の電力会社の電気料金は「原発稼働を前提にして算出」されているからなんですね。
冒頭でもお話したように、原発は設備費用がかかるだけで発電コストは比較的安いです。
石油火力が1キロワットを発電するのに10円程度かかるのに対して、原子力発電所はたったの1円のコストで済ませることが出来るのです。
だからこそ電力会社は、1日でも早く原発を再稼働させたいと強く希望しているのです。
しかしながら、原子力規制委員会による審査が思うように進まず、再稼働が見送りとなっているのが今の現状です。
原発の魅力は、既に説明したように発電時のコストが安い点にあります。
もし原発が再稼働すれば、大手電力会社はコストの安い電気が原価に反映されるわけですから、私達消費者からすれば嬉しい限りです。
ですが、電力自由化によって新規参入する事業者は原発を持っていませんから、料金面で圧倒的に不利な立場となってしまいます。
なので、別の方法でコスパの高い電気を生産もしくは調達しなければいけなくなりますよ。
そこで原発で発電した電力を市場へ提供すれば、電力業界全体の活性化に繋がります。
東日本大震災によってこの案は一時的にストップしてしまいましたが、今後の原発再稼動に合わせて、「新規参入の事業者も原発で発電した電気を調達できるような仕組み」を考えているようです。
それを実現するためにも、大手電力会社が原発で発電した電気の供給を義務付けることが議論されているようです。
原子力再稼働のメリットとデメリットってなに?
原子力発電は、「事故が起きた際に想定される被害」が大規模なものとなります。
実際に東日本大震災によって引き起こされた原子力発電の被害は散々たるものでした。
しかし、原子力発電所は日本に50基以上、アメリカには100基以上、世界では400基以上設置されており、現在進行形で原子力発電所が建てられています。
危険を伴うと分かっていても世界各地に数多く設置、作られているということは、原子力発電にはそれなりのメリットがあるからなんです。
原発での発電はとにかくコストが安い!
まずは1つ目に、低コストで電気を作り出すことが出来る事です。
これは既に何度も説明していることですが、圧倒的なコストパフォーマンスを誇っているのが原子力発電の強みです。
一度に大量の電力を作り出せるので、その分コストを抑えられます。
しかも一度燃料を補充すれば、約1年間は交換する必要もないので手間がかかりません。
⇒脱原発にあなたは賛成?電気料金との兼ね合いは?
原発は環境に優しい!
原子力発電は、環境汚染が懸念される声も多いのですが、むしろ火力発電のように二酸化炭素の排出が大量に排出されることはありません。
比較的環境汚染がすくない発電方法と言えます。
原発の燃料であるウランは価格辺土に強い!
原子力発電は、ウランを燃料に使用されます。
ウランは政情が安定している国から仕入れているため、価格が急激に高騰するリスクが少ないので「安定した電気の供給」が可能です。
これに対し石油は政情が不安定な中東から仕入れているので、価格が大きく変動するリスクが有り安定していません。
原子力を作り運営するには、高度な技術力が必要となります。
自国の技術だけで原子力発電を作ることが出来る国はまだまだ少なく、日本も数少ない国の1つに挙げられます。
ということは、技術力の高さを世界に証明できるということになり、これは大きな強みと言えます。
他国へ原子力発電の機材はもちろんの事、技術も輸出することが出来るんです。
このように、原子力発電によって生み出される経済効果は、非常に大きいです。
雇用が生み出されるのはもちろんの事、交付金や税金など地元の収入が増加します。
実は地域によっては、原子力発電に経済依存しているところもあるぐらいなんです。
原発のデメリットはやはり事故の危険性!
では、逆にどんなデメリットがあるのかも見ていきましょう。
原子力発電は、コストが安いことがメリットと言いましたが、場合によっては「コスト高」とも捉えることが出来てしまうんです。
どういう事かといいますと、原発事故が発生した時です。
原子力発電は事故が起きた際の被害は、莫大なものと想定されます。
もしも事故が起きれば、賠償金や補償金、核燃料の処理など、これらの事を考えるとコスト高になります。
また、環境汚染が少ないとも言いましたが、それはあくまでも発電中の話であって、事故が起きれば大量の放射能を大気に放出することになります。
放射能の威力はとてつもなく、大気だけでなく「土壌や海洋も汚染」してしまうほど危険なものなのです。
チェルノブイリ事故や福島の原子力発電の事故は大きく取り上げられ、今もなお大きな爪痕を残しています。
そもそも原発の再稼動って簡単にできるの?
東日本大震災によって国内の原発は全て運転を停止、今もなお全てが運転を停止しています。
⇒電力自由化で原発を止められる!?原発メルトダウン危機の88
「電気料金が安くなるだけでなく、安定した供給ができるなら直ぐにでも再稼働すれば良いのに…」こう思う方も多いのではないでしょうか?
しかし実際のところ、それだけの理由で簡単に原発の再稼働を出来るわけではないようです。
事故を起こした福島第一原発は分かりますが、事故を起こしていない他の原発も止まっているのは何故なのか疑問に思うところですね。
実のところ、原発を再稼働してはいけないと政府が命令したわけではないのです。
そもそも、そのような命令をする法的根拠が存在しないんですね。
定期検査を完了すれば、「安全基準を満たしている」と役所からお墨付きをもらったことになります。
ですから検査が終わっていれば、直ぐにでも運転は可能なんです。
ただし、この「定期検査」とは別に、原子力規制委員会が新しい安全基準を定めました。
ですが、これはあくまでも新しく設置される設備が安全基準を満たしているかを審査するものであり、再稼働の審査とは何の関係もありません。
そもそも再稼働の審査なんて、法的に必要とされていないのです。
定期検査に合格さえすれば運転ができるわけであり、原子力規制委員会には運転を許可する権限自体無いのです。
そして、民主党政権が全国の原発を止めてしまったことが、大きな原因と言えるかと思います。
「世間の空気的に稼働させるのはマズイだろう」という理由で原発を止めてしまい、自民党政権は稼働させたいのです。
しかし、この空気が怖いがために、定期検査ではなく「安全審査」が終わってから稼働させる事になってしまったのです。
「じゃあどんどん審査して稼働させれば良いじゃん」と思うところですが、原子力規制委員会の審査は「半年に3基」という驚くべきスローペースで行なわれています。
日本にある全ての原発を稼働させるのに、約8年はかかってしまう計算なんですね。
⇒電力自由化と脱原発に関して
非原発を売りにしている弾力会社も出てくる!
原発が再稼働すれば電気料金が安くなる可能性はありますが、中にはそれを求めていない方も一定数います。
原発以外の方法で発電された電力を求める消費者がいる事から、これから参入する企業の中には原発と無縁であることを前面に出し支持をつかもうと考えているところもあります。
これによって、一定の需要家を囲い込む可能性は十分に考えれます。
例えばドイツでは「原発を一切使用せず電力を供給する電力会社」があり、消費者から高い支持を得ています。
その一方で、100%原発で発電した電気を購入し消費者へ提供する小売事業者もあり、こちらも消費者に一定の支持を得ているという事例もあります。
電力自由化によって、消費者の多様なニーズに柔軟に応えることが可能となります。
原子力発電によって電気料金が安くなるのは消費者にとって嬉しいことですが、必ずしも皆がそれを求めているわけではないということです。
電力自由化で原子力発電以外の電力会社も色々!すぐに比較してみましょう
原子力発電を利用している方の中には、出来たら原発の電気を使用したくないという人もいるかと思います。そのような方は、原発ではないエネルギーで発電している電力会社のプランに切り替えてみてはどうでしょうか?
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