電気料金の従量制料金とは?

電気料金従量制料金
日本の一般家庭では、その殆どが従量制に従う電気料金プランを契約しているのをご存知でしょうか?
「従量制料金」とは、「使用した電気量によって料金が上がっていく形態」のことを言います。
ひと月に「電気をどれだけ使ったか?」によってその月の電気料金が決まるということです。
従量制料金は、何も電気代に限ったことではないんですよ。
インターネットで事業者によっては従量制課金接続を採用していて、「通信するデータ量に応じて課金する」ところもあり、フレッツ光などは従量制を採用しています。
逆に高額な請求トラブルを避けるために従量制を廃止する企業もあり、携帯電話会社のauなどがそうです。
従量制料金ですと「1kWhあたり〇〇円」といったように料金単価が設定されています。
各契約プランや電力会社だったり、使用する時間帯や季節によってこの単価は変わってきます。
ですから、お住まいの地域によって料金単価は違うということになります。
実際に各電力会社のホームページにて従量制の料金単価を比較してみれば違いが分かります。
そのため、利用状況に応じて自分の家庭に最適なメニューを選ぶことが重要になってきます。
従量制料金を採用している場合、現在の料金プランを理解し、自分の家庭にあわせて料金プランを見直すことで今よりも電気料金を安くすることができます。
従量制料金は使うほどに料金が上がる?!
電気料金の従量制料金の場合は、使えば使うほど利用金が高くつくシステムになっています。
例えばある電力会社は、「電気使用量が1~150kWhまで」なら「料金単価は20円/kWh」としています。
しかし、「150~300kWh」まで電気を使うと「料金単価は25円/kWh」に値上がりし、更に「300kWhを超える部分」については「30円/kWh」と、最初よりも10円も単価が上がってしまうのです。
使えば使うほど損をするわけですから、節約したくもなりますよね。
実際に、「使用した電気の量」に「単価」をかけたものを「電力量料金」と言います。
つまり、使う電気の量を減らせば単価と電気料金の合計も安く出来るということになります。
月々の電気代は、上記の電力料金だけで決まるものではありません。
この他にも「燃料費調整単価、太陽光発電促進付加金単価、再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」とこれら3つの単価も合計されて「支払う電気代」が決まります。
電気を発電するには「天然ガスや石油」が必要となり、これらの燃料費は「燃料費調整単価」にあたります。
この燃料費はしょっちゅう変わるので、電力会社はそれに合わせて月単位で調整しています。
つまり、「燃料費調整単価は電力料金のように節約したからといって下げられるものではない」というわけなんです。
他2つも同様となりますので、電気代を安くしようと思ったら「使う電気の量を減らして安い料金単価で済ませる」しか方法はありません。
⇒知ってます?電力自由化で電気料金が高くなるケース
従量制料金が下がる=電気代が安くなる!
月々の電気代には「基本使用料と従量制料金」の他に、「燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金、太陽光発電促進付加金単価」が合計されることをお話しました。
そして、従量制料金以外の単価部分についてはコントロールすることが出来ませんので、「従量制料金を安く済ませれば電気代は安くなる」と言うことも説明しましたね。
では、「どうすれば従量制料金を安くすることができるのか?」…ここがポイントとなります。
電気料金のプランは、いくつかの種類が用意されているのを知っていますでしょうか?
そして、それぞれのプランによって実は電気料金単価が違います。
従量制電気料金を安くするためにはどうしたら良いの?
ここまでで、電気料金のしくみや内訳をだいたい理解して頂けたかと思いますが、ここからは、どうすれば従量制料金を安くできるかについてフォーカスしていきます。
契約メニューの見直しで電気料金節約に
電気料金を見直し、安くするためのチェック項目として、まず知っておきたいのが、以下の3点です。
- 一度に最大何アンペアの電気を使用するか
- 家庭全体で一か月間にどれだけの電気を使用しているか
- 特に、どの時間帯での使用量が多いのか
これらを把握することで、家庭の使用状況にあわせた一番安い電気料金プランを選択することが出来ます。
電気料金単価は各プランごとに異なる!
どういう事かといいますと、例えば「1日を日中と夜間に分けて、それぞれ異なる電気料金単価を設定しているプラン」が有ります。
日中の料金単価は30円だけど、夜間の料金単価は半分の15円で使用することが出来るといったようにです。
「え~、昼間は仕事をしていて夜しか電気を使わない人は、この料金プランのほうが絶対良いじゃん!」
まさにその通りで、冒頭でもお伝えした通り、利用状況に応じて自分のライフプランに適した料金を選ぶことが「電気代を安くするためには必要不可欠」となるんですね。
一日で一番多く電気を使う時間帯は、家庭によって違います。
「昼間は仕事で電気は殆ど夜しか使わない」と言う人もいれば、夜勤が多く日中に電気を使うことが多いという人もいます。
上記の例で言えば、「前者の方は夜間の料金単価が安いプラン」を、「後者の方であれば日中の料金単価が安いプラン」に変更すれば従量制料金を安く済ませることができ、結果的に電気代が安くなるということになります。
契約プランによって電気料金が大幅に安くなる
従量制電気料金を安くするには、電気料金プランのうち、自分の家庭が最も多く電気を利用する時間帯の従量制電気料金が安いプランに変更することが一番簡単な方法であると言えます。
例えば、日中は家庭に誰もいない状況で、夜に帰ってきてから家事をするか、洗濯物などは土日にまとめてするタイプのご家庭が契約している電力会社A社の従量制電気料金プランが以下のようであったとします。
プラン別特徴 | |
---|---|
A | 従量制電気料金標準プラン(24時間電気料金単価固定) |
B | 朝の電気料金が安いプラン |
C | 夜の電気料金が安いプラン |
D | 土、日曜日の電気料金が安いプラン |
この場合、従来の料金プランのまま変更しない場合はAのプランとなり、24時間どの時間帯に電気を使用しても同じですが、家庭の生活パターンを見直し、CもしくはDのプランを選択することで、より安くより賢い選択ができますね。(細かな電気料金やプランは各社により大幅に異なるので、さらにタイナビスイッチでシミュレーションして最も適切なプランを選択することが必要です)
では「従量制料金を安くする方法」にいて、より具体的に解説していきますね。
毎月の電気代には必ず支払わなければいけない「基本料金」があります。
基本料金は契約するアンペア数によって異なり、アンペア数が大きくなるにつれて基本料金は高くなります。
頻繁にブレーカーが落ちる場合は、単純に「契約するアンペア数が足りない」と言う事になりますので、基本料金を減らすことは難しいかと思います。
逆にそうでない場合は、家庭で一度に使う電力の合計値を算出し、「今現在契約しているアンペア数」よりも少ないアンペア数へ変更できそうかどうかを、今一度見なおしてみましょう。
代表的な電化製品の使用電気量を把握しておこう!
殆どの家電製品は、使用電気量はw(ワット)で表記されています。
「1wは0.01A」ですので、例えば「100wなら1A」と言う事になります。
目安としてよく使う家電製品のそれぞれのアンペア数をご紹介しますね。
例えば、「エアコンは6.0A前後」「掃除機は10A前後」「電子レンジは15A前後」「洗濯機は13A前後」となります。
契約しているアンペア数が30Aの家庭であれば、上記の家電製品を一度に使ってしまうとブレーカーが落ちる計算になります。
ですが、もし契約しているアンペア数が60Aであれば、ブレーカーが落ちることはないどころか、使用する時間帯をずらせば40Aでも問題無いですよね?
60Aから40Aへ契約アンペア数を変更すれば、当然基本料金は下りますので節約へと繋がります。
「契約アンペア数の基本料金」は電力会社によって違いますが、「契約するアンペア数によっては1000円近くも料金が変わってくる」ということもあります。
家庭で必要なアンペア数をしっかりと把握することが出来れば、従量制料金以外の部分でも電気代を下げることにつながります。
時間帯による電気使用量もチェック!
次に、「どの時間帯で電気を使用することが多いのか?」を把握することです。
これを把握することで家庭に適した電気料金プランを選ぶことが出来ます。
御存知の通り契約プランによって電気料金は異なってきますので、選択をまちがえれば逆に電気代が上がってしまうこともあります。
既にお話したように、従量制電気料金を安くするには、「自分の家庭が最も多く電気を利用する時間帯の従量制電気料金が安いプランに変更すること」です。
「日中は家を空けていて夜しか電気はほぼ使わない」のであれば、夜間の電気料金単価が安いプランを選べば良いだけです。
電力会社によって料金プランの時間帯ごとの料金単価は違いますので、よく確認してから申し込みしましょう。
従量制電気料金の計算方法
具体的に使用電気料金を把握するために、従量制電気料金の基本の計算方法についてご説明します。
電気代の計算方法を理解することで、現在、自分の料金プランや支払っている電気料金が適切な金額なのかを知り見直すきっかけとします。
従量制電気料金の計算式
電気料金の計算式は、簡単に表記すると以下の4項目の合計になります。
電気料金(従量制)=基本料金+電力使用量料金+(燃料調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金)
ここで、電気料金の見直しにより変動するのは、基本料金と電力使用量料金の2つの料金です。次からは、それぞれの料金の説明をしていきますね。
基本料金とは
基本料金は、電気料金プランによって決まる毎月一定の金額徴収される料金の事です。
電力会社ごとにその方式は異なりますが、アンペア制、最低料金制の2種類が主流です。
ひと月あたりの基本料金 | 料金単価(円/税込) |
---|---|
契約電流10A | 280.80 |
契約電流15A | 421.20 |
契約電流20A | 561.60 |
契約電流30A | 842.40 |
契約電流40A | 1,123.20 |
契約電流50A | 1,404.00 |
契約電流60A | 1,684.80 |
アンペア制とは、一度に家庭内(もしくは施設内)で何アンペアまで使用できるかによって基本料金が設定されている方式で、契約するアンペア数が多ければ多いほど料金は高くなります。
中部電力で契約数が多い「従量電灯B」の基本料金を例に挙げると、以下のようになります。
最低料金制とは、何アンペア使用したかは全く関係なく、基準の電気量までの使用量が一定で、それを超過した場合は従量制に従った電気料金が徴収される方式です。
基本料金の見直し
まず見直したいのが、固定で毎月必ず支払う必要がある「基本料金」です。
頻繁にブレーカーが落ちたりする場合には、契約しているアンペア数が足りないことは明らかですから見直しする必要はありませんが、そうでない場合は、家庭にある家電製品それぞれが使う電力量のうち、一度に使う可能性がある家電製品の電力量合計を算出することで、大体どれ位のアンペア数で契約すればよいかが見えてきます。
通常、家電製品の使用電気量はw(ワット)で表記されているものがほとんどですので、1w=0.01A、つまり100w=1Aで計算することができます。
なんとなくの必要アンペア数を知りたい方のために、w数の大きい家電の使用電力の目安をいくつか記載しておきます。
家電種類 | アンペア数 |
---|---|
エアコン | 6.0~7.0A |
掃除機 | 2~10A |
洗濯機 | 13A |
電子レンジ | 15A |
IHクッキングヒーター(100V) | 14A |
オール電化の家庭なんかでは、これらを全て同時に使う事や、それ以上にドライヤーや湯沸かし器を使用する事も考えられますよね。
電気料金プランが10A刻みで契約する会社もあるなかで、家電製品の電力消費量が意外と多いなと感じたのではないでしょうか。
しかし、一度に使用する電気量を考えていては、きりがないと思いますので重要なのは日常で毎日使う電気量を想定することが一番です。
一時的に多くの電気を使用する場面があったとしても、その際にどうしてもその時につける必要のある家電を選択して使うようにすれば、契約するアンペア数を減らすことが出来ます。
電力会社によりますが、契約アンペア数によっては基本料金が1000円以上変わることもありますので、しっかりと必要なアンペア数を把握し、基本の電気料金プランを決めることが大切ですね。
⇒電力自由化と契約アンペア数について
電力使用量料金とは
電力使用量料金とは、使用した電気量によって料金が上がっていく電気料金(従量制料金)の事で、こちらも料金プランにより異なります。
従量制の電気料金の場合、電気の使用量が何kWhかによって1kWhあたりの電気料金が変動します。
電気代を節約して安くなるのは、この電力使用量料金が安くなるためです。
具体的な例を挙げて説明しますと、ある電力会社の従量制電気料金プランが下記のように設定されているとします。
電気使用量 | 電気料金 |
---|---|
1~150kWh | 20円/kWh |
150~300kWh | 25円/kWh |
300kWh~ | 30円/kWh |
この場合、一か月間に500kWhの電気を使用したとすると、電力使用量料金の計算は以下の通りです。
150kWh×20円+150kWh(300kWh-150kWh)×25円+200kWh (500kWh-300 kWh)×30円 = 12,750円
ふつう、何かサービスや商品はたくさん購入すればするほど単価が安くなるものですが、従量制の電気料金はその逆に、使えば使うほど単位当たりの電気料金が上がる仕組みになっています。
つまり、電気料金は電気の使用量を減らせば減らすほど、単価も合計料金も安くできるという事ですね。
燃料費調整額とは
燃料調整額とは、電力会社が毎月使用する燃料費によって料金が上下する金額で、電気料金には、燃料費調整単価に使用量をかけたものが反映されます。
燃料費調整単価の算出方法は複雑なため、ここでは割愛いたしますが、燃料費調整単価について簡単に説明いたしますと、電力会社が毎月電気を作るのに必要な燃料(原油、天然ガス、石炭など)の変動する価格にあわせて毎月変わる料金のことです。
この料金は、従量制電気料金を採用したプランであっても、電気量にかかわらず単価は一定で加算されます。(基準となる燃料費よりも安かった場合には、そのぶん料金が差し引かれることもあります)
電気料金を見直して賢い消費者になろう
電気料金は、毎日必ずかかってくる固定費用であるにも関わらず、その料金の仕組みや、従量制電気料金という言葉を今回初めて知った、という方も多くいらっしゃると思います。
これからの電気料金は、電力自由化に伴い、消費者にとって多くのメリットがあるプランやそれらを提供する電力会社が多く登場しますが、その中で自分にピッタリの電気料金プランを選択するためには、まず電気料金の現状を「知る」事が非常に大切になってきます。
毎月支払っている電気代はどのように決まっているのか、これを知ることでどうすれば電気代を安くすることが出来るのかを理解しやすくなります。
電力会社によって提供するサービス等は違いますが、それぞれに「消費者に対してメリット」があります。
しかし、自分に適したプランを選ばないと「それは逆にデメリットとなってしまう」こともあるのです。
それを避け、メリットを十分に活かすためには「家庭の電気事情を知ることがとても大切」です。
電気料金に対する正しい知識を持っていれば、新しいサービスや会社が出てきたときにも素早く柔軟に対応し、「賢い選択」をすることが可能になってきますので、従量制電気料金についてしっかりと理解し、これからの選択に役立てて下さいね。