今さら聞けない、電力の自由化とは?

電力自由化がいよいよスタート!
最近よく耳にするようになった電力小売の全面自由化。今まで一般家庭は地元の大手電力会社からしか電気を買えませんでしたが、2016年4月以降は地元以外の大手電力会社はもとより、「新電力(PPS)」と呼ばれる新しい電力会社からも自由に電気を買えるようになります。今回はそんな電力自由化や新電力について、おさらいしてみましょう。
自由化の経緯って?
これまで日本では、国が電気料金を規制する代わりに、地元の大手電力会社による独占的な電気の販売が認められてきました。その甲斐あって電気料金が高騰することなく、しかも安定的に電力の供給を受けていたのです。そしてそのことは、戦後の日本経済を支えるうえでもとても有益でした。
しかし、イギリスやノルウェー、ドイツやフランスといった国々は、90年代から00年代にかけて次々と電力の自由化を実施。日本はそうした国々に比較して電気料金が高いこと、さらには電気事業におけるコストの高さが浮き彫りになっていきました。
そこで2000年には「特別高圧」と呼ばれる大口利用者への電力供給が自由化され、2004年、2005年には「高圧」と、徐々にその対象が拡大。そして来年、いよいよ「低圧」と呼ばれる一般家庭などの利用者に対しても、自由化が実施されることになるのです。
自由化にはどんなメリットがあるの?
国は電力の自由化によって、送配電網などの資源を公平に利用できるようにしたり、競争原理を働かせたりすることで、電気をもっと安定的に、かつ安価に供給させたいと考えています。つまり自由化によって、電気料金が今よりも安くなる可能性が高まるというわけです。
8兆円ともいわれる「低圧」市場の開放により、電気関連事業者はもちろん、ガス会社、家電メーカー、通信会社、住宅メーカーなどなど、多種多彩な業種が電力事業への参入を明らかにしています。
各社は「ガスとのセット割」「携帯電話とのセット割」といった、自社サービスとのセットでの料金プランを打ち出そうとしています。それによって、電気料金の値下げが図られるようになるはずです。
また、「Ponta」「楽天スーパーポイント」「WAON」といった、各種ポイントサービスと電力会社との提携も発表されていて、これからは電気の利用でもポイントを貯めることができそうです。
それ以外にも、電力自由化に際してはこれまでの機械式メーターに替わり、「スマートメーター」という、通信機能を備えたメーターが順次取り付けられることになっています。このスマートメーターを利用すれば、30分ごとに電気の使用量が把握できる「電力の見える化」が可能になります。
このように、電力の自由化では電気料金の低価格化や各種ポイントの獲得、電力の見える化など、さまざまなメリットが期待できそうです。
電力の切り替えは無料で簡単!
新たな電力会社への申し込みは、2016年1月から受け付けスタート。WEBや電話から、簡単に申し込めるようになるだろうといわれています。また、切り替えに要する費用は無料で、新しい電力会社への切り替えは停電することなく実施されることにもなっています。
いろいろなメリットが期待でき、しかも手軽に切り替えることができる電力の自由化。ぜひ積極的に電力会社の切り替えを検討してみてはいかがでしょう?ただ、現在もサービスの見直しや企業同士の提携などが活発におこなわれているため、最新の情報を入手することをお薦めします。