電気自動車の価格を4社徹底比較「充電時間 VS 走行距離」どちらを見る?

電気自動車と聞くと、あなたはどんなイメージを重い浮かべるでしょうか?
未来的、価格が高そうなどといったものを連想するかもしれませんが、それは前時代的な捉え方です。なぜなら電気自動車は未来世界の乗り物ではなく、既に多くの有名メーカーから売り出されています。そして意外に感じるでしょうが、電気自動車の価格は必ずしも高いものばかりではありません。
とはいえ、ガソリン車と同じように電気自動車の場合も、常に安いものが至高というわけではないのも事実です。そこで電気自動車を選ぶポイントに加え、価格、充電時間、走行距離などの面から、各メーカーの電気自動車を徹底比較してみました。
電気自動車=高いという考えは古すぎる
冒頭でも触れましたが、電気自動車と聞くと、価格が高いと連想しがちですが、それは過去の話です。というのも電気自動車のバッテリーに使われているリチウムイオン電池の価格が下落傾向にあるからです。また国や地方公共団体から出される補助金も見逃せません。補助金を加味すれば、電気自動車は必ずしも高いものではなくなるでしょう。
電気自動車に適用される補助金は2種類ある! 車種別の金額はいくら?
決め手は価格? 充電時間? 走行距離?
各メーカーの電気自動車を比較する前に、まずは電気自動車を選ぶ上でのポイントをご紹介します。電気自動車は普通の自動車とは異なり、電気の力で動きます。そのため自宅や外部にある充電スタンドから充電を行う必要があるわけですが、いざ購入すると、この充電時間が意外とネックになってきます。
というのも自宅で充電する場合、充電完了まで4~8時間ほどかかります。外出先に急速充電スタンドがあれば30分で充電が完了しますが、それでもガソリン車の給油と比べると非常に時間がかかります。そのため、充電時間に関しては1時間でも早く完了した方が良いというわけです。
急速充電について詳しく知りたい方はこちら
電気自動車が短時間で充電できる! 急速充電器の価格や性能について
また充電にある程度の時間がかかるとなれば、当然走行距離も重要になってきます。走行距離が長ければ、小まめに充電する手間を省けることはもちろんのこと、長距離の走行も可能になってきます。ただ電気自動車は元々の走行距離がガソリン車よりも低く、充電スタンドの数はガソリンスタンドよりも少ないです。そのためガソリン車を運転する時よりも、バッテリーの減り具合に注意しなければなりません。
とはいえ充電スタンドは年々増えており、都心などでは充電スタンドに困ることは早々ないでしょう。ただ地方等ではまだまだ数が少ないため、地方在住の方は一度、自分の家の近くに充電スタンドがあるか、確認した方が良いでしょう。
日産といえばリーフ
ここからは各メーカー毎に出している電気自動車の解説になります。まず初めに紹介するメーカーは日産です。日産といえば、日本の電気自動車業界をリードしているといっても過言ではないほど有名な企業です。また初めに紹介する「リーフ」は日本だけでなく、世界的にも売れているため、電気自動車の定番ともいえる車体です。
日産リーフの特徴
- 価格:312万2280円~
- 補助金適用価格:279万2280円~
- 一充電走行距離:280km
- 普通充電時間:11時間
- 急速充電時間:30分
※記載の内容は2016年12月時点に調査した情報となります
こちらの日産リーフのデータは、2015年にマイナーチェンジされた車体です。大容量30kWhのバッテリーを搭載したため、走行距離が280kmに伸びています。単純な値段ならば、2010年に発売されたモデルの方が30~40万円ほど安いですが、やはり走行距離が大幅に伸びている点や、バッテリー増量にもかかわらず、急速充電時間が2010年モデルと同等というメリットは無視できません。
また日産が開発したITシステムにより、専用のアプリから日産リーフをリモート操作可能、全国にある日産の店舗で、体験会を実施しているという点も魅力的です。
電気自動車ってこんなにスゴイ! 日産リーフオーナーの口コミをご紹介
収納力が魅力的な日産のe-NV200
日産のe-NV200の特徴
- 価格:374万1120円(バンGX5人乗の場合)~
- 補助金適用価格:347万7120円(バンGX5人乗の場合)~
- 一充電走行距離:190km
- 普通充電時間:8時間
- 急速充電時間:30分
※記載の内容は2016年12月時点に調査した情報となります
日産のe-NV200は、走行距離ではリーフに劣っていますが、それでも広大な収納スペースという、他にはない魅力を持っています。荷物を置いたり、多人数を乗せたりと、幅広い用途がありますね。
手軽に乗り回せる三菱のi-MiEV
三菱のi-MiEVの特徴
- 価格:M 226万1520円~/X 283万8240円~
- 補助金適用価格:M 214万6520円~/X 266万2240円~
- 一充電走行距離:M 120km/X 172km
- 普通充電時間:M 4.5時間/X 7時間
- 急速充電時間:M 15分/X 30分
※記載の内容は2016年12月時点に調査した情報となります
三菱は上の方で紹介した日産と同じく、日本企業の中では特に電気自動車に注力しています。三菱の電気自動車の代表格であるi-MiEVは、i-MiEV X とi-MiEV Mの二種類のタイプに分かれています。
日産のリーフに比べれば、どちらも性能は劣っていると感じるかもしれませんが、こちらの方が価格面では安く、特に急速充電時間がMモデルなら15分というのは大きいです。三菱の調査によれば、一般的なドライバーの1日の走行距離は40km未満のため、ドライブが趣味でなければ、低価格のi-MiEV Mで問題ないでしょう。
マイナーチェンジで高い走行距離を獲得したBMWのi3
BMWのi3の特徴
- 価格:499万円~
- 補助金適用価格:462万5000円~
- 一充電走行距離:390km
- 普通充電時間:12~13時間
- 急速充電時間:45分
※記載の内容は2016年12月時点に調査した情報となります
メーカーがBMWというだけはあり、これまで紹介してきた電気自動車に比べると高額です。しかしBMWのi3には、その価格に見合っただけの性能があります。充電が完了するまでの時間はかかりますが、その分走行距離は390kmもあり、オプションのレンジ・エクステンダーを装備すれば、さらに伸びます。
また0-100km/hの加速をわずか7.3秒以内とうたっているだけあり、機動力や加速力などの運転性能も見逃せません。
圧倒的スピード。テスラのモデルS
最後に紹介する企業は、テスラになります。テスラといえば電気自動車を持っている方なら、知らない人はいないのではないかというくらい有名なメーカーです。特に下の方で紹介したモデルSは、これまでに紹介してきた電気自動車の中でも、最高クラスのスペックです。
※下記のデータは、テスラのモデルSのバッテリー容量を60kWhにした場合です。
テスラのモデルSの特徴
- 価格:820万0000円~(60kWh)
- 補助金適用価格:765万9200円~
- 一充電走行距離:408km
- 普通充電時間:11時間
- 急速充電時間:45分(テスラ車専用の充電器「スーパーチャージャー」使用時)
※記載の内容は2016年12月時点に調査した情報となります
まず820万という高額な値段に目が行きますが、バッテリー容量が60kWhのため、これが一番安いモデルです。最高時速210km、オートパイロット搭載など技術の進歩を感じる性能ですね。さらにテスラのモデルSでは、バッテリー容量をいつでもアップグレード、つまり追加購入できます。
バッテリー容量を100kWhにアップグレードすることにより、走行距離613km、最高時速250km、さらに2.7秒で時速100kmまで加速と、並みのガソリン車なら真っ青のスペックに変貌します。価格面では手を出しづらいですが、電気自動車にスピードを求めるならば、テスラのモデルSは最有力候補になるでしょう。
電気自動車界に革命? テスラのモデル3
テスラのモデル3の特徴
- 価格:390万0000円~(予定)
- 一充電走行距離:345km(予定)
※記載の内容は2016年12月時点に調査した情報となります
こちら未発売のため、完全に正確な数値とは断言はできませんが、テスラが発表したもののため、それほど差異はないかと思われます。
テスラが低価格路線というのも驚きですが、なんといっても目を引くのは390万円という低価格で、走行距離345kmという点です。さらに6秒以下で100kmまで加速、段階的に自動運転機能を追加とされており、テスラならではの魅力にあふれています。発売は2017年とのことですので、ほしい方は今の内に予約しておいた方が良いかもしれません。
テスラの電気自動車は価格が高い? モデルS等の性能を徹底比較
トヨタの電気自動車は?
日本で自動車メーカーといえば、トヨタの名が真っ先に挙がるため、紹介がないことに違和感を感じる方も多いはずです。しかしトヨタは電気自動車の開発に、それほど力を入れていませんでした。一応2012年にテスラと共同開発したeQという車体がありますが、販売台数は限定100台しかありません。
ただトヨタは先日、電気自動車の開発を担う”社内ベンチャー組織”の発足を公表しました。そのためトヨタ産の電気自動車も近い内に出てくるかもしれませんね。
追記:トヨタには小型電気自動車「i-ROAD」があります!
まだ試乗テストの段階で、正式に市場には出回っていませんが、トヨタには小型電気自動車「i-ROAD」があります。これまで紹介してきた電気自動車とは大きく異なり、最大2人乗りで、バイクのような車体が特徴です。
ただバイクと比較すると雨に濡れる心配はなく、カーブや斜面も車が自動でバランスをとります。さらに全幅870mmの超小型サイズのため、駐車スペースも通常の車の半分ほどで済み、道路幅が狭い道でもすんなりと走行できます。
デメリットとしては、1回の充電での走行距離が50kmしかないという点です。トヨタでは街中のコンセントをシェアする「SMILE LOCK」という取り組みにより、充電環境の改善を行っているとのことです。充電環境をどこまで整備できるか気になるところではありますね。
SMILE LOCKとは?
SMILE LOCKとは新たに充電設備を設置するのではなく、街にあふれているコンセントを活用することで、i-ROADの充電環境を整備するという次世代デバイスです。コンセントをIoT化、さらに専用のアプリを通して、利用者の情報や利用状況を記録するため、充電した人が使った分だけ料金を支払うというシステムを実現しています。
三人乗りのi-TRILも発表
またトヨタは最近、i-ROADの三人乗り版である「i-TRIL」も発表しました。実際に購入できるのは当分先となるでしょうが、フォルムからして非常に未来的なため、こちらも今後に期待できそうです。
追記:トヨタの本気はこれから
2017年の4月に、トヨタは中国市場に電気自動車を投入すると発表しました。ただあくまでも発表段階であり、本格的に量産するのは2020年を予定しているとのことです。また現状では完全なEV(電気自動車)ではありませんが、トヨタはPHV(プラグインハイブリッド自動車)を2018年に現地で販売し、FCV(燃料電池自動車)の実証実験も10月からスタートするとのことです。
PHV(プラグインハイブリッド自動車)とは
PHVは、ガソリンとモーターを動力源としたハイブリッドカーに、電気自動車の特徴である外部からの充電機能を追加したものです。ガソリンも動力源としているため、例えバッテリーが切れたとしてもガソリンさえ残っていれば、走行できます。PHVの有名どころでは、トヨタのプリウスです。CMなどもバンバンやっていますので、車に詳しくない人でも、聞いたことくらいはあるほどです。
FCV(燃料電池自動車)とは
FCVは水素を燃料として走行しているため、電気自動車とはまた別のエコカーです。有名どころでは、トヨタのMIRAI(ミライ)や、ホンダのクラリティ FUEL CELLがあります。
実は高額。電気自動車の電気代を抑えるには
ここまで各メーカーの電気自動車を解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
実際に最新の電気自動車を比較してみると、予想以上に価格が安いことに驚いたという人も多いのではないでしょうか? しかし電気自動車を購入する際に気を付けたいのは電気代の存在です。
電気自動車にかかる電気代はいくら?
ガソリンと比べると電気の方がお得ではありますが、それでも電気自動車を購入することで、日々の電気代は高騰することでしょう。そのため可能ならば、これまでよりも電気代を安く済ませたいものです。
そこでおすすめしたいのが、今話題となっている電力会社・もしくは契約プランの変更です。
PHV・電気自動車の電気料金に割引!2017年の東京電力新プランが狙うものは
個人で電力会社を変更するのは抵抗があるかもしれません。しかし個人で電力会社を変更できるようになってから、まだ1年ほどしか経っていません。そのため電気自動車と同じく、今後急激にブームが起こる可能性があります。電力会社を見直すことで、確実に電気代を削減できるため、電気自動車を購入するついでに、電力会社も切り替えてみてはいかがでしょうか?
電気自動車を購入するなら、電力会社の見直しをしないと損!
夜中に電気自動車の充電をする方は、電力会社や契約プランの見直しをするのは必須です。最近では東京電力が、電気自動車を保有する方に向けたプランを発表しました。
また東京電力の新プラン以外にも、格安料金プランの新電力会社に乗り換えるという手もあります。まずはどのくらい電気代を削減できるのか、診断してみましょう!