最大50%も節約!?マンションで電力自由化を導入するには?

マンションへの自由化はすでにはじまっている?
最近、電力の自由化に関する情報をよく耳にするようになりました。2016年4月以降、家庭をはじめとする「低圧」と呼ばれる利用者は、地元以外の大手電力会社や「新電力」といった新しい電力会社から自由に電気を買えるようになります。
ところが、マンションに住んでいる人たちに対しては、すでに自由化がはじまっているのをご存じでしょうか? 数十、数百もの住戸が集まっているマンションは、1つの大きな利用者として考えることができます。全体で50kW以上の電力を必要とする利用者は「高圧」と呼ばれ、高圧部門は2005年にすでに自由化がおこなわれているのです。つまり、住んでいるマンションが50kW以上の電力を利用している場合、マンション全体で高圧の電力を「一括受電」すれば、任意の電力会社から電気を買うことができるのです。
既存マンションで需要が高まる一括受電サービス
富士経済が2015年2月に発表したデータによると、2013年度末の一括受電サービスの提供戸数は30万戸を超え、2014年度末には約1.5倍の44万戸に達したとみられています。その割合は2013年度の場合、新築マンション107,400戸に対し、既に建てられている既存のマンション202,900戸と、新築に比べて既存のほうが約2倍多くなっています。
2つに大別される料金プラン
一括受電サービスを導入する場合は、高圧で送られてくる電気を低圧に変圧しなければ使うことはできませんが、そうした変圧設備の交換作業や費用負担は電気事業者がおこなってくれます。
料金プランは「共用部削減タイプ」と「専有部削減タイプ」の2つに大別されていて、「共用部削減タイプ」は既存のマンションに提案されることが多く、「専有部削減タイプ」は新築マンションに提案されることが多くなっています。
マンションの要望によっては「共用部削減タイプ」と「専有部削減タイプ」を組み合わせたプランを提案する場合もあるものの、そうした例は少ないようです。
最大で50%も電気代を節約
さて、一番気になるのが「一括受電に切り替えれば、どのくらい電気代が安くなるか」ということです。既存のマンションへの導入が多い「共用部削減タイプ」では、なんと20%〜50%も電気代が安くなる場合があります。つまり、共用部に年間300万円の電気を使用しているマンションであれば、最大で150万円も節約できるということです。
一方、新築マンションに多い「専有部削減タイプ」の場合は、5%〜10%ほど安くなるといわれています。
なぜそれほど電気代が安くなるのかというと、高圧向けの電気料金は、低圧向けに比べて安く設定されているからです。一括受電を請け負う会社は、電気代を大幅に割り引いたり、数百万円かかる変圧設備を用意したりしても、充分に利益を上げることができるのです。
まずは管理組合で話し合いを!
一括受電に切り替えることで電気代をかなり抑えられるわけですが、一方で来年4月からスタートする電力の自由化では、「Ponta」などのポイントが付与されたり、携帯電話などとのセット割も検討さているため、そちらにメリットを感じる家庭もあると思います。
自分が住んでいるマンションは、どちらを選択すべきなのか? ぜひ一度、管理組合の議題として取り上げ、検討しておきたいところです。「各家庭で自由にしたほうがいい」という選択もあれば、「一括受電にすべき」という意見もあるでしょう。ただ、話し合いの場を持つことなく、結局4月を迎えてしまって「一括受電にしておけば安く済んだのに」といったことは避けたいものです。