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電力自由化

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『電力自由化』海外各国の先行事例

いよいよ日本でも電力の自由化が始まりました。とは言ってもどうやって契約するのかどうやって選ぶのか、イメージできない方も多いのではないでしょうか。海外では、すで電力の自由化が行われている国がいくつもあります。そんな自由化先進国の事例から今後の日本に参考になる点を探していきたいと思います。

海外:イギリス編

“世界でいち早く電力自由化に取り組んだ国はイギリスでした。”

電力事業を自由化し、市場の競争原理を導入しようという動きが世界的に広がったのは、いち早く導入を実施したイギリスの影響が大きいといわれています。四半世紀以上前からですから、かなり進んでいたことになりますね。

不況脱却のための自由化の始まり

イギリスの電力自由化の始まりは、1988年に発表された電力民営化白書です。「英国病」とも言われた不景気で、経済的な苦しみの中で誕生したサッチャー政権は、この政策を経済政策の柱とし、消費者の負担をやわらげ不況から抜け出そうとしました。



そして1989年に電気法が施行され、電力業界の分割民営化が正式に決まりました。1990年には、国営の発送電局が3つの発電会社と1つの送電会社に分割民営化され、同じように12の地区にあった国営配電局も民営化され、配電会社になりました。さらに新規参入する会社が50社程ありました。



要するに電気をつくること、送ること、売ることを分けて新しい会社にも参入させたという事です。

試行錯誤の上に

電力は、当初発電されたすべての電力を強制的にプール市場(卸電力市場)に集め、それを販売していくという強制プール制というシステムで取引されていました。しかし、この仕組みでは公平な市場と価格低下が達成できず、プール市場は廃止されます。



そして2002年に、競争的と効率的取引が可能なNETAと呼ばれる個別相対取引システムへと移行し、2005年にはBETTAへと発展しました。大手企業が市場操作できる環境から、だんだんと公正で競争できる形に改善していったということです。



大口需要家から始まった小売市場の自由化も1999年には家庭用を含めた全面的な自由化が実施されて、各社は企業買収やグループ化を含めて熾烈な顧客獲得競争が始まり、ガスと電力のセット販売も数多くみられるようになりました。そして、ようやく個人にも恩恵がもたらされるようになったわけです。



新電力取引制度のNETA の導入が発表された1998年から2002年までに電力の卸売価格は40%下落しましたが、その後しばらく上昇に転じています。イギリスの発電用燃料シェアの大部分を占める天然ガス価格の値上がりが、卸売価格上昇に転じた要因として挙げられます。



他にも、二酸化炭素削減や再生可能エネルギー導入による発電コストなどの「環境コスト」の増加も指摘されています。

電力会社乗り換えは当たり前?

イギリスでは、買い物をしたついでに電力の契約をして、そこでスーパーのクーポン券をもらうなんて事も当たり前で、1割の人が毎年契約電力会社を変更するそうです。まるで新聞の購読契約みたいですが、日本でもそんな状況が今後起きるのでしょうか。

海外:アメリカ編

“アメリカでの電力自由化は各州ごとに行われました”

アメリカでは、1992年に成立したエネルギー政策法によって電力卸売市場が実質的に自由化されました。安い電気料金が経済の活性化に必要との判断がされてきたからです。やはり、自由国家アメリカらしいという感じですね。



1996年には連邦エネルギー規制委員会(FERC)により、まずは送電線を所有しない発電事業者の市場参入を認め、さらには送電線の開放(自由化)も義務化、そして消費者がどの地域のどの電力会社からでも電気を購入できる自由化を導入しました。



一方で、電力小売市場の自由化は州単位で実施されています。1997年に一部自由化を実施したロードアイランド州から始まり、1996年から2000年にかけてアメリカの50州のうち24の州とワシントンDCで小売自由化の導入が決定しました。



その後、各州での自由化の動きは停滞し、現在では、15の州とワシントンDCが全面自由化を行っています。なぜ自由化は停滞したのでしょうか。

カリフォルニアの大停電


“カリフォルニア州の大停電は電力自由化が原因”

原因となったのが、「カリフォルニア電力危機」です。1998年に電力自由化を導入していたカリフォルニア州で、2000年夏から2001年にかけて停電が頻発する事態がおきました。



原因は、電力需要の拡大と天然ガス価格の上昇、猛暑の影響による電力卸売価格の急上昇などにより、電力会社が十分な電力を確保できず必要な電力を消費者に供給できなくなったことです。

電力会社は発電事業者から電力が高価でも買わざるを得ず、それに対して上昇分を消費者に価格転嫁することができませんでした。そのため電力会社の経営は悪化する一方で、発電事業者は回収不能を恐れて電力会社へ電力を売り渋るようになりました。



その結果として、電力会社は大規模な輪番停電を行う事態に陥りました。まさに悪循環です。



このカリフォルニア州での電力危機には、市場原理への過度の依存によるミスも指摘されました。需要と供給のバランスによって価格がリアルタイムで変わっていくことや、それにより卸売価格と小売価格の逆ザヤが発生することなどです。自由ということはこういう事態も起こしかねないということですね。



また市場原理による低価格競争は、電力供給の質の低下を招く恐れがあります。過剰な競争のなかではどの電力会社も余分な発電設備を持たなくなり、トラブルや自然災害の発生の際などでもバックアップを引き受ける存在がいなくなるからです。このあたりも将来的には自由化の心配な点です。



カリフォルニア州とは対照的に、2002年から自由化が実施されているテキサス州では成功しています。アメリカで最も電力消費量が多い州として知られるテキサス州では、家庭部門以外の新規参入シェアは80%近く、家庭部門でも50%を超えており、他州に比べて際立って大きい割合となっています。市場における公正な競争が小売自由化の成功の原因です。

電力自由化は社会の方向性の選択

一方で、電力自由化は、自分自身で求める社会の方向性を選べる機会になると考える人もいます。「どの会社にするか」とは「どの電源(石油、石炭、風力、水力など)による電力にするか」を選択することができるからです。現状ではやや割高でもあえて石油や石炭系ではなく、再生可能エネルギーのグリーン電力を選ぶ人も増えています。



再生可能エネルギー推進の具体目標としましては、2020年に小売電力の33%を再生可能エネルギーから調達することや、2017年までに194万kWの太陽光発電を導入することが掲げられています。



アメリカ環境保護庁(EPA)は、グリーン電力の推進に貢献した企業を「グリーン電力リーダーシップ賞」として毎年表彰しており、グリーン電力に関わる企業を増やしていくことで温室効果ガスの削減、さらに新たな雇用創出にもつなげようとしています。

海外:フランス編

“フランスの電力自由化は段階的に実施されました。”

フランスでは2000年と早くから電力自由化法が制定されましたが、実質的にはEUの規定により1999年2月から段階的に電力自由化が実施されました。そして2007年7月に家庭用を含むすべての需要家の全面自由化が実現しました。

元国営企業が独占状態

現在でも、2004年まで国有会社だったフランス電力(EDF)が大きなシェアを占めており、一般家庭をみれば別会社の電力を利用している人は8%(2013年)と少数派です。その理由は、政府がフランス電力を引き続き強い管理下に置いていたことがあげられます。



フランスの電気料金には、政府によって本来発電などにかかる費用を回収できる水準で設定される「規制料金」と、市場競争による「市場料金」があります。そして規制料金が長く市場料金よりも割安な状態だったため、新規参入事業者の需要を阻んできました。



欧州委員会は、規制料金を廃止して小売市場での競争を健全化するように求め続けていました。他のEU諸国からみたら当然ですよね。



新規参入企業ですが、他国の事例のように、別業界の大手企業(例:ガス会社や、携帯キャリア、スーパーなど)の参入はなく、従来の旧国営企業が提供できないようなサービスを工夫する先進的な会社が参入しています。 どの国でも元国営企業は頭が固いようです。



フランス電力は、海外でも積極的に事業展開を行っています。海外での競争力を確保するため、政府が後押ししてフランス国内での体制を盤石にしておこうという思惑があることは否定できません。これは間違いないでしょう。



2009年、政府は大型需要家への規制料金を2016年以降に廃止すると発表しました。また、2025年までフランス電力による原子力発電電力量の一部を新規事業者に売却する制度が開始しました。ようやく本当の意味での自由化がはじまりそうです。

フランスは電力に先進的

フランスは電力に対して先進的な点があります。パリでは大気汚染軽減のために、電気自動車の公営のワンウェイ型カーシェアリングがあったり、街の駐車場にて無料で充電できたり、バスの代わりにトラム(路面電車)を導入したりしています。今後は一般家庭でも電力自由化の恩恵は増えていくでしょう。

海外:ドイツ編

“ドイツでの電力自由化は”

ドイツでは、1998年に新しいエネルギー事業法が施行され、電力の全面自由化が実施されました。自由化後、100社を超える新規事業者が生ましたが、既存の大手電力会社の対抗策により新規事業者の倒産が相次ぎ、結局大手電力会社による寡占化が進みました。



発電市場では、大手の4大事業者が自由化前の5割から、一時期8割のシェアを占める事態となりましたが、これでは全く逆効果です。最近では、再エネ事業者の増大、脱原子力の影響などで2012年には4割台まで低下しています。

地方の電力事情

ドイツならではの電力事情としてシュタットベルケがあります。シュタットベルケとは、地方自治体が出資する水道や交通、ガス、電力事業などのインフラサービス企業です。



配電線や熱配管インフラ活用が可能 という事業環境の下で、地元に密着したサービスを提供や地域雇用の創出など、消費者の安心感と信頼感を勝ち取ったことにより、現在では電力市場において高いシェアを持っています。



自由化のあと、電気料金は、一時は産業用で2~3割低下しました。しかし、近年は燃料価格の上昇、再エネ買取コストの増大等で、料金水準は上昇しています。EU統計局資料によると、ドイツの電気料金水準はいまだにEUで最も高い部類に入ります。これは世界的にもよく話題になりますよね。



新規参入者を募るはずであったドイツの電力自由化は、ある面では失敗であったといえるでしょう。しかし、当初は苦戦するであろうと言われていたシュタットベルケの活躍は地方における成功例として参考になるのではないでしょうか。

自然エネルギーへの努力

ちなみにドイツは、2022年までに国内にある17基の原子力発電所をすべて停止することを決定しました。省エネルギーの推進とともに、2025年までに40~45%の電力を自然エネルギーで供給するという目標を掲げています。このジャンルは、まさに世界の最先端を行っている部門ですね。

海外:北欧編

“北欧でいち早く電力自由化に取り組んだ国はノルウェーでした。”

北欧4か国の電力自由化は、まずノルウェーから始まりました。1991年から経済競争によって電気料金を安くするため、電気事業の再編と電力市場の自由化を開始、発電や配電を分離した形で会社化し、小売も自由化しました。また、公正な価格を維持するための電力取引所も開設しました。

国際電力市場が実現

次いで1996年スウェーデンが電力自由化を行う際、同時にノルウェーと電力市場と統合し、国際電力取引所(ノルド・プール)が開設されました。その後、1998年フィンランドと1997年~2000年デンマークが相次いで加入し、北欧4か国をまたがる電力市場が実現しました。

北欧諸国の供給構造の特徴

  • 大きなシェアの発電事業者はなく、市場が共有化されている
  • 送電会社は、発電部門と切り離され、ほぼ独占的に運用の責任を持っている
  • 多数の地方公営配電事業者が小売りを行っている

発電や売電では取引契約の自由を認める一方で、送電と配電分野では送電会社は国家独占に、配電会社は地域独占という仕組みになっています。このように自由競争が発生する発電や充電分野と競争が働かない送電と配電分野を切り離すことで、供給の安定化を生んでいます。



この4か国は、国ごとに発電方法や電力水準に違いがあります。ノルウェーは水力、デンマークは火力、スウェーデンとフィンランドは火力や原子力,水力と異なった供給構造を持っており、それをうまく利用する形での安定供給を維持しています。とても、工夫されていますね。



このように北欧4か国は、国ごと違うに発電方法や電力水準を送電網の国際連携をとって電気の安定的供給や価格の安定を実現しており、欧州の電力自由化のモデルとなっています。



電力自由化のパイオニアとしてのイギリス、アメリカでの停電騒動と自由化の停滞、フランスの閉鎖主義、ドイツの地域密着、北欧での国際協力など、電力自由化の動きは各国の事情でさまざまなようです。価格面での劇的な改善、というよりは、自由化後の安定供給の維持がまだ最重要課題といった段階のように感じます。



今後は、昨年の「パリ協定」で採択された地球温暖化対策もより厳しくなっていくと思われ、各国とも「再生可能エネルギー」での発電が今後の焦点になっていくと思われます。

日本は電力の安定供給に重点を置いているので安心!

「海外の電力自由化は1つも成功していないから日本も失敗する」と悲観的な見方も多いようですが、他の国々の反省点を大いに活かすのが日本のやり方です。停電を防ぐために送配電部門は自由化しない、小売事業者同士の競争を健全にするために分社化を進めるといった大きな違いが日本の自由化には存在します。

このやり方がどのような未来を迎えるのか?消費者も積極的に参加して、電力自由化を活性化することが何よりも大切ですね。

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