2017年からの東京電力の新事業計画と電力自由化への影響
東京電力の福島原発における事故の影響は東日本大震災から今なお続いており、東京電力はもちろんですが原発導入を推進した国も難しい運営状況となっています。
東京電力の処理も国に頼らざるを得ない事情は明白で、東京電力が独自で状況改善を進められないのが現在の実情です。ここでは、東京電力改革の具体化ともされる2017年の新事業計画について触れていきます。
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2017年からの新事業計画と東京電力改革との兼ね合いは?

2017年に着手される東京電力の新事業計画ですが、いわゆる「新々特総」と呼ばれるものになります。
現在の東京電力は公的資金、つまり国の税金による支援を受けて体質改善が進められており、コストパフォーマンスを発揮するために本来の計画内容をより発展させたのが新事業計画です。
ここでは、この新事業計画の基本を説明しながら、2017年に策定された東京電力改革との兼ね合いなども交えて詳しく見ていきましょう。
2017年からの新事業計画は東京電力改革の具体化を示す
東京電力の2017年度からの新事業計画は、基本的には2016年策定の東京電力改革の具体案と位置付けられています。
東京電力の状況改善に関しては、2012年の最初の事業計画の認可から2014年の新しい事業計画認可を含め、これらの計画に従って進められてきました。しかし、現在の改善状況はかなり期待外れだといえるでしょう。
このような事情もあって、さらに2017年に新・新事業計画が認可され、これが「新々総特」と呼ばれるものになります。
東京電力が「非連続」による経営改善を進めることで、日本全体が安定した電力供給が維持できるように世界標準レベルの生産性をも達成できる電力会社を目指す、といった内容です。
新事業計画のテーマである「非連続」とはどのような意味?
「非連続」というキーワードは、一体どのような意味合いを以て使われているのでしょうか?
東京電力が使ういわゆる「非連続」とは、それまで築き上げたものを前提にしないことを意味していて、本来触りたくなかった部分にまで触れて改善して事業を進めていくことを想定しています。
先にも述べたような大手電力会社における旧態依然の体制、これを壊さなければ国民の不信を一向に拭えないと国も東京電力も判断したという訳です。もともと、東京電力は守るべきものは守りたい「連続」での改善を進めてきたのですが、それが一向に効果を得ないどころか、それまでの事業計画も現在破たんした形です。
東京電力は後戻りできない状況となっており、最新事業計画のテーマとして「非連続」を用いているのです。
東電改革によって新事業計画が策定された背景にあるものは?

東京電力が新事業計画を作成しなければならなかったのは、上の東京電力改革の事情以外にもさらに切実で深刻な問題が存在しているからでしょう。ここでは、それらの事情を詳しく説明していきます。
賠償額と廃炉費用の大きさに東京電力が耐えられない事情
東京電力は、2011年の東日本大震災に対する賠償と廃炉に関する負担があります。これらの費用に関しては、国が東京電力を国有化して以来、自己負担のできない彼らに対し一貫して公的資金投入で面倒を見ているのです。
しかし、賠償額も廃炉にかかる費用も日本の行政でよくあるつり上げ方式よって増額が見込まれており、2016年現在でも少なくとも6兆円ほどの公的資金が投入済であるのにも関わらずさらに増えていくことが確実視されています。
2016年策定の東京電力改革は、国がこのままずるずると東京電力に無条件で公的資金支援を続けるのは、国民の目からも難しいと判断したことによるものです。支援を受ける東京電力は焦りによって改革内容を元に新事業計画を作り出したとも言えるでしょう。
2017年からの新事業計画実行による電力自由化への影響は?

国は震災以来、大手電力会社による電力の独占を小売りにおいても自由化に踏み切りました。新事業計画による電力自由化への影響を詳しく見ていきましょう。
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送電部門分離が進められることによって自由化もスムーズに
東京電力は電力自由化を推し進めるために、自社の送配電部門をすでに中立化しています。つまり、本来発電と売電と一体化していた送配電を自社経営から分離した形となったのです。
これにより、電力自由化によって新参入してきた「新電力」は送配電網の活用がより一層スムーズに進みやすくなるのは必至です。2020年までに東京電力以外の9つの大手電力会社も追随して送配電部門を経営分離することになるでしょう。
しかし、このことは一般的に見れば大手電力会社にとっても収益性が下がるのは当然ですので、その先陣を切った東京電力の立場からすればまさに避けたかった「非連続」による経営改革になります。
⇒電力自由化による大手電力会社の今後の戦略
それでも、2015年に東京電力が送配電網を分離せざるを得ず、2016年に正式に経営改革に踏み切らなければならなかったのにはもう1つ大きな事情があります。
自由化の加速と同時に新電力にも費用負担を転嫁する狙い
実は国は電力自由化を進めながらも、東京電力を同時に存続させるための策を実行する計画も持っています。
新電力によって進む小売自由化の中に、本来東京電力が負担するべき賠償額や廃炉にかかる費用などを国民が負担する電気代に転嫁しようとする目論見を持っているのです。
これを進めるためには送配電網の分離を東京電力だけでなく、ほかの大手の電力会社においてもスピーディに進めなければなりません。つまり、電力自由化の加速は東京電力の負担軽減を達成するために避けられない対策となっています。
実際のところ、国民への電気代としての転嫁方式は、国民から何らかの税金によって財源を確保する方式と何ら変わりがありません。
東京電力が新事業計画を進めていく上での障害や足かせは?

事業計画を策定して1度見直しをしても未だに改善効果が出せてない東京電力に対して、今回の新事業計画は本当に成功するのかという意見があります。ここからは、当の東京電力が新事業計画を進めていくための障害や足かせなどについてもチェックしてきましょう。
経営陣が腰を据えて非連続の改革が可能かという国民の疑念
今回、東京電力は一応「非連続」による聖域のない経営改革を宣言したわけですが、最近のシャープや東芝などの大手企業を見ても非連続による改革はできっこないという厳しい見方を持つ方も多いです。
東京電力の新事業計画の実効性についても疑念を持つ国民はかなり多いはずで、まずそれを払しょくできるような実行力が東京電力の経営陣には求められます。
ただ、初期策定から4年ほどを経ても改善できていない状況を見ても、その疑念を払しょくするのは並大抵の努力では不可能だと言えるでしょう。
特に、国が東京電力を使って国民からさらに負担増を迫る方式が明らかな中では、計画自体をスムーズに達成ができても国民からの信頼を勝ち取るのは難しいのかもしれません。
万が一賠償額や廃炉費用が賄えない時の対応策のなさ
新事業計画を進めていく上でもっと大きい足かせとなるのが、このような計画を実行しても賠償額や廃炉費用が賄えないという事態に陥るリスクがあり、またそれに対する策が現在存在しないということです。
日本ではかつて消費税を中心に様々な理由の下に数々の増税がなされてきましたが、本来の用途に財源を使わないどころか、現在でも財源が足りないと政府が言い続けることも珍しくありません。
つまり、東京電力における電気代への転嫁もこれと同じ問題を孕んでおり、今回の電力自由化による方式によってでも賠償額などが万が一確保できない場合は、今後の新しい事業計画が形がい化してしまうことは必至になります。
この日本特有の体質は、東京電力改革においても大きな障害となっていくことでしょう。
電力会社切り替えや東京電力の料金プラン見直しで電気代の節約を
東京電力にはこれまでの旧態依然とした経営体制から国民の疑念も高まっており、今回の新事業計画にも厳しい目が向けられています。2016年からの電力自由化により、電力会社を切り替える方も増えています。
電力会社の切り替えは、簡単な手続きで大幅な電気料金削減が出来る場合もありメリットが大きいです。また、東京電力など主要電力会社の中でもプランを変更するだけで大幅に電気料金を削減出来ることも。
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