家のタイプにより電力会社を選ぶことが節電につながる?!

「電力自由化」により、地域ごとに限られた電力会社が発電、送配電、そして小売までを行ってきた流れが大きく変わります。これまで電気を独占してきた10社の電力会社以外にも、発電部門・小売部門においては新規企業が参入可能になりました。
経済産業大臣と、この「電力自由化」に伴い新設された「電力取引監視等委員会」の厳しい審査をクリアした新電力会社は、多くのプランを用意し、消費者へ訴えかけています。その昔、通信の自由化が始まった時、市場がこれほど拡大し、インターネットが普及するなど、大多数の人が想像していませんでした。
電力会社が選べることで、電力市場はこれから活性化します。私たち消費者は、情報があふれる中で、正しい知識をもつ必要があります。まず、家のタイプにより、選べるプランが変わることをご存知でしょうか?。「我が家はどれを選べばいいかわからない」という方のために、家のタイプに応じた電力会社の選び方を見ていきましょう。
家が持ち家(電気とガスを使用)の場合
東京ガスや、大阪ガス、西部ガスなど、ガス会社も電力小売りに参入しており、電力とガスのセットでの割引も行っています。さらに、(株)ミツウロコや、レモンガス(株)などのLPガス(プロパンガス)会社も参入しています。他にも、携帯電話会社や、ガソリン会社、コンビニなどの様々な企業から選ぶことができます。
生活に密着したサービスを軸に電力会社を選ぶのもよし、環境にやさしい再生可能エネルギーの会社がいいなど、地域によって会社を選ぶことが可能です。その際重要なのは、家庭のライフスタイルに合わせたプランの選択です。
家族の人数が多く、生活時間帯がバラバラな家庭ほど、光熱費はかかります。電気とガスの両方の支払いを組み合わせて、支払いをコンパクトにするなど、定期的に見直すことで節約効果は増します。
よりお得に、環境にやさしく電気を利用できるようになると期待されているのが、「スマートメーター」です。「スマートメーター」
は、2024年までに全家庭に導入が決まっている、電力量計です。これを使用することにより、使用電力量がデータとして目で確認できるようになります。
ガスと電気を併用している家庭は、今まで2つの基本料金が必要になっていました。しかし、これからは、ガス会社のプランを利用すると、「ガスと電気のセットで5%OFF」「ガスとセットで年間6000円割引」といったものもあり、支払いの一本化で家計管理もしやすくなります。
家が持ち家でオール電化(太陽光発電なし)の場合
オール電化の家は、電力会社が時間帯割引料金を作っていたので、安く利用することができました。しかし、「電力自由化」後はお得感はあまり感じられない結果となりました。現在の料金プランのままにしておくことはできるので、様子を見ておく方がよいでしょう。
そもそも、オール電化の設定を作っている電力会社があまりないことが驚きです。現時点で、はっきりと「オール電化プラン」として打ち出しているのは、九州を供給エリアとしているナンワエナジーの、「スタンダードオール電化」です。
自社グループの太陽光発電所などから調達している、再生可能エネルギーで急成長している企業なのでチェックしておきましょう。
これからの、新電力会社のプランの動きを見て判断することをおすすめします。
家が持ち家で太陽光発電がある場合
「電力自由化」で太陽光発電を利用している人にとって大きく変わることは、今までの固定の電力会社ではなく、より高く買ってもらえる企業に、電力を販売することが可能です。これまでは、固定価格買取制度があり、固定優遇価格で電力会社が買い取ることを国が約束していました。
「電力自由化」後は、この制度で「保証されている価格プラス1円」というプレミアム価格で買い取りをしてくれる新しい電力会社が現れています。これは、少しでもお得に電気を売りたいと思っている人には朗報ですね。
その際、余剰電力の売電先を新しい電力会社に変更した場合でも、夜間や雨などで太陽光発電できない場合はどうなるのでしょうか?
発電できないときは、電力を買うことが可能です。買電先は、現時点では地域の電力会社のままです。まとめると、売電先は新電力会社でより高く販売でき、買電は地域の電力会社で変わらず、従来と同じプランを使用できるということです。
もしも、今から太陽光発電を利用するのであれば、売電収入を期待するよりも、「太陽光発電でいかに生活をしていくか」を考える方をおすすめします。その場合、太陽光発電と蓄電池をおすすめします。
余った電気を販売した利益を求めるのではなく、自分で使用する電気は自分の家で作ることが、家庭のお財布にも、環境にもやさしいといえますね。
さらに、オール電化の方には、「HEMS」の利用もおすすめします。まず、電気やガスなどの使用量をモニターで「見える化」します。これは、どういうことかと説明すると、電化製品のそれぞれの電力使用量が、「冷蔵庫14.2%・証明13.4%・テレビ8.9%・・・」といったようなデータとして見ることが可能です。
「見える化」することにより、電気の使用状況を明確に把握することができます。さらに、太陽光発電や蓄電池、エアコン、照明器具、など様々な家電機器を「自動制御」することも可能です。例えば、「HEMS」とスマホをリンクさせてあれば、消し忘れたエアコンを外から消したり、外出先からお風呂のお湯はりができたりします。まだまだ、たくさんのメリットがあるので、暮らしがどんどん便利になりますよ。
家がマンションで「一括受託契約」の場合
「一括受託契約」とは、マンションの管理組合が電力会社とまとめて契約していることを言います。マンションで使用されるのは、「高圧一括受電契約」です。
これは、共有部分の電気料金をおさえるために利用されます。マンション内のそれぞれの家庭には、低圧に変圧され、電気が届きます。この場合、個別に電力会社を契約することはできません。
マンションの管理組合によっては「高圧一括受電契約」に変更するといったことを求めることも今後あるかもしれません。そういった場合、自分の家庭にメリットがあるのか考える必要があります。
家がマンションやアパートで「個別契約」の場合
マンションやアパートに住んでいても、電力会社を個別に選ぶことが可能です。インターネットの契約はそれぞれ違いますよね。回線会社も違えば、光や、ADSLなどの接続方法もちがいます。それと、同じようなイメージで考えましょう。
持ち家の人と同じような契約になります。各家庭の使用頻度にあった、電力会社のプランを利用しましょう。その場合、気をつけなければならないのが契約期間です。
引っ越しなどにより、契約期間の満了前の解約では違約金が発生する場合があります。契約を引き続き利用できる場所への引っ越しならば、そのまま利用するのも一つの手です。
しかし、引っ越し先に、今利用している電力会社のサービスが受けられないことがあります。その場合、「引っ越しによる解約では、違約金がかからない」と明記されているプランもあるので確認して下さい。
一人暮らしや夫婦のみで、昼間は家にいないような場合は、電力プランも少ないもので良いでしょう。今まで利用していた既存の電力会社よりも、お得でポイントも貯まるプランもあります。
さらに携帯会社が運営している電力会社の場合、セットで料金が年間で5000円ほど安くなることもあります。ネットからでも契約することができるので、チャレンジすることをおすすめします。
家が自営業で店舗がある場合
自宅とは別に店舗がある場合は、それぞれの電力会社と契約することが可能です。店舗の内容にもよりますが、昼間使用する電力が多い場合などそのスタイルにあった電力プランを選びましょう。
そして、電球をLEDに変更したり、エアコンの設定温度を工夫したり、電気料金の節約を行うなどの工夫を行うきっかけにもなります。
そこで、便利になってくるのが「スマートメーター」です。「スマートメーター」を利用することで、どのように電気代が変化しているかがよく理解できるようになります。そこでプランを考えたりすることが、節電を意識することにもつながります。
家が離島や過疎地にある場合
離島や遠隔地は、新電力が参入しにくい状況にあるので、「電力自由化」のメリットは受けにくいと思ってよいでしょう。まず、自分の地域で新電力会社がサービスを行っているのかを調べましょう。
既存の電力会社しか選べなくても、今まで通り電気を使用できるので、問題はなにもおこりません。新電力が利用できないから料金が上がるということもないのです。
実は、離島の電気料金は、本土の電気料金と同じ水準に保つために、全国民が負担しています。一般送電会社が「離島供給約款」にもとづき、離島だからという区別がないように工夫されているのです。
離島の電力は石油火力発電所に依存しています。石油が高騰し、環境問題を考えると、再生可能エネルギーを導入で得られるメリットは多いと考えられます。
しかし、島内の電力需要は多くはないので、電力会社の送配電に接続できる量が限られるので、現実にはまだ時間がかかると思われます。
問題としてあげられるのは、再生可能エネルギーは、気象条件により変動し、電力供給が不安定になってしまうことです。
九州電力は奄美大島など4つの島で、蓄電池を使い、太陽光と風力発電による出力変動を抑制する実験を行っています。離島で再生可能エネルギーが地産地消できるようになると、火力依存の現状を脱却できると期待されています。
あなたのお住まいの環境に適したプランを見つけてください
「電力自由化」
のシステムがわからないといって、毛嫌いするのではなく、持ち家や、マンションなど自分の住まいのタイプにより得られるメリットを最大に活かしましょう。
新電力会社は、それぞれの特色を活かして、販売地域を広げ、顧客獲得へ乗り出しています。そして、消費者は、何らかの形で恩恵を受けることができるようになっています。
電力は生活において必要不可欠なものです。自分のライフスタイルに合わせたプランを選ぶことでお得になることはもちろん、節電やくらしを便利にして行くことにつながります。