電気料金のトラブル多発?ダマされないために知っておくこと

すでに始まっている電力自由化。今年はマイナンバー制度も本格的にスタートしましたが、新たな制度が始まると必ずといっていいほどトラブルも出てきます。
問題の多くは、新たな制度の認知度が低いのがトラブルの原因とされているそうです。実際に電力自由化においても、すでにトラブルが報告されています。そこで、変なトラブルに巻き込まれないように今までの事例を紹介したいと思います。
電力自由化のトラブル対策
登録小売電気事業者かをチェック
コンタクトをとってきた人物が「小売電気事業者」を名乗ってきたら、まずは本当に小売電気事業者かどうかをチェックしましょう。
資源エネルギー庁の「登録小売電気事業者一覧」を確認して、そこに社名が載っていないようであれば偽物の業者です。
販売代理店の場合は電力会社との関係性をチェック
小売電気事業者ではなく「販売代理店」の場合、登録小売電気事業者一覧を確認しても名前は載っていません。
その際には、どの電力会社の販売代理店かを確認して、契約書を見せてもらう、電力会社のホームページを確認するなどしましょう。
引っ越しの際にも要注意
電力自由化においては、引っ越しをする際にもトラブルに注意が必要です。引っ越し前に契約していた電力会社が、引っ越し先でも電力を供給していれば問題はありませんが、引っ越し先で電力を供給していない場合には、違約金なしで解約できる場合が多いです。
ただし、マンションに引っ越す場合には注意が必要です。マンションは、各住戸が個別に電力会社と契約できる場合もあれば、マンション一括で電力会社と契約する場合もあります。
後者のマンションで、これまで契約していた電力会社と異なる場合ですと、これまで契約していた電力会社が使えません。
長期契約やセット割は要注意
トラブルではありませんが、長期契約やセット割などの契約には細心の注意を払いましょう。長期契約の場合、契約期間内に解約すると違約金を請求されます。セット割の場合は、セット内容のどれか一つを解約すると全ての契約が無効となり、違約金を請求される可能性があります。契約前にその旨をしっかりチェックしましょう。
疑わしい時にはどうすればいい?
電話や訪問販売、インターネットなどでトラブルのにおいがしてきたときには、以下に連絡をしましょう。
- 国民生活センター
- 消費者ホットライン
- 電力取引監視等委員会
契約をしてしまったら?
もし契約をしてしまった場合にも、電話や訪問販売によるものであればクーリングオフが可能です。利用者が契約の書面を受け取ってから8日以内であれば、契約を無効にできます。ただし、インターネットや電力会社の店舗で契約をしてしまった場合には、クーリングオフは原則適用されません。
電力自由化のトラブル 電気料金編

「シールを貼ると電気代が安くなる?」
それは、「ブレーカーに貼ると電気代が節約できるシール」に関するトラブルです。
このトラブルは前からあったのですが、電気に敏感になる電力自由化を前にさらにトラブル件数が増えているそうです。ちなみに金額は1枚3万円から5万円程するそうです。
⇒新電力へ切り替えの場合メーター交換・ブレーカー交換は必要?
なんでも、シールを貼ることでマイナスイオンが発生して電気抵抗を抑え、電気料金も安くなるということですが、効果のほどは疑わしいとのことです。
全国の消費生活センターには、シールにまつわるトラブルが多く報告されていますので、そんなものを買うくらいなら料金プランをまじめに検討した方が確実に節電になりそうですね。
「電気代が倍になるので太陽光パネルを設置して安くしましょう?」
電力会社のスタッフと名乗る人物が、「電力自由化によって電気料金が倍になるので、それを取り戻すためにも太陽光パネルや電気温水器を設置しましょう」と言って、太陽光パネルの設置を勧めてくるトラブルも報告されているそうです。
確かに、太陽光パネルを設置すれば電気料金はお得になるでしょう。太陽光パネルや電気温水器を設置しているとお得になる料金プランも確かにあります。しかし、太陽光パネルの設置費用は数十万円単位で、電気温水器も高額です。なにより電力自由化になっても電気料金は倍になりません同時設置をする必要はありませんので即決しないことです。
「新たな電線を引かなければいけない?」
電力会社のスタッフという方から、「新しい電力会社にするためには、新しく自宅まで電線を引かなければならない」と説明があり、電線を引くための費用を請求されたというトラブルが報告されています。
2016年の電力自由化では、あくまでも「発電」部分が自由化されているだけです。
実際に電線を敷設して自宅まで電気を送り届ける「送電」部分については、従来通りに地域の電力会社が担当するので新たに電線を引く必要はありません。
地域の電力会社以外の新電力を選んだとしても、従来と同じ電線から電力の供給を受けることが可能ですハッキリした態度で断りましょう。
電力自由化のトラブル スマートメーター編
スマートメーターは買わなければならないの?
電力自由化における重要なアイテムといえば「スマートメーター」ですね。これまでは検針員が月1回行っていた作業を、通信機能搭載によって不要として、しかも30分ごとに送信してくれるのです。
電力会社のスタッフと名乗る人物から、「電力自由化に伴って、スマートメーターを購入して取り付けないといけません。」と言われて、その費用を請求されるトラブルも報告されています。
確かに、電力自由化で新電力を選ぶ際には、スマートメーターを設置しなければなりませんがスマートメーターは無料です。設置は無料で地域の電力会社が行なってくれますので、関係者と言って費用をを求められても断りましょう。
スマートメーターの設置をしてくれない
スマートメーターの詐欺も気を付けなければなりませんが、中にはこういったトラブルもあります。電力自由化で必要になるスマートメーターですが、地域によってはその設置が進んでいないというトラブルも報告されているのです。
東京電力の発表によりますと、2016年4月1日までにスマートメーターの設置が必要な約32万台に対して、同年3月21日現在で56000台しか設置されていません。
このようなスマートメーター設置の遅れの理由は、どこにあるのでしょうか。東京電力によりますと、作業員不足がその理由として挙げられています。「作業員が離職してしまった」「作業員が他の作業をしておりスマートメーターにまで手が回らない」という説明がなされております。
ここで気になるのが、4月1日から新プランで行こうとしても移行できるかどうかです。時間帯や日付に関係なく料金単価を定めている料金プランであれば、アナログの電力量計でも十分に対応可能です。
しかしアナログの電力量計では、1か月の電力使用量は分かりますが、時間帯や日ごとの電力使用量までは分かりません。よって、時間帯や日によって電力の料金単価が変わるような契約プランでは、アナログの電力量計では対応できないので移行できないことになります。
これに対して東京電力は、3月24日付のウェブサイトで掲載したメッセージで、「需要家の皆様に不利益が生じないように最大限考慮する」としており、料金の差額を地域の電力会社が負担する可能性も十分に考えられます。
電力自由化のトラブル プラン編

今までと同じプランでも手続きが必要と言われた
電力会社のスタッフと名乗る人物から、「電力自由化で料金プランを変更しない場合でも手続きが必要ですので、手続きの代行料が必要です」と言っては、手続きのための情報や代行料を要求するトラブルも確認されています。
変更がない場合には、手続きは必要ありません。電力自由化をスムーズに進めるため、2020年までは従来の料金プランも引き続き使用できるようになっています。しかもその場合も、特別な更新手続きは必要ありません。
シニア向けのお得なプランがある?
どんな詐欺においても、真っ先に狙われるのは高齢者です。電力自由化でもそれは例外ではなく、そんな高齢者をターゲットにして、「シニア向けのお得な電気料金プランがあります」と言っては、契約をさせようというトラブルが報告されています。
たしかに、バスに乗ったり食べ放題のレストランに行ったりすると、シニア料金が設定されていますので、電気料金にもシニア向けプランがあるのかと思ってしまいます。
しかし、いくら電力自由化とはいえど、現在のところシニア専用のプランを提供している電力会社はありません。事実無根ですので、絶対に契約しないようにしましょう。
しつこい検針票を見せてくださいには要注意?
電力自由化で新たな電力会社に変更するには、検針票が必要です。しかし、それにかこつけて「検針票を見せてください」と言って個人情報を盗み取る、そんなトラブルもあるようです。電力自由化で電気料金の比較や契約に必要な情報は、以下のような検針票の中でも限られた項目のみとなってます。
- 22ケタの供給地点特定番号
- 契約プランと契約アンペア
- 月の電気使用量
- 電気料金
検針票の氏名や住所、その他の情報は比較や契約の際には特に必要とされません。うかつにすべての情報を見せることは避けて、必要最小限の情報だけを提供しましょう
以上、具体的な電力自由化にまつわるトラブル内容を紹介してきましたが、紹介されていないトラブルもまだまだ出てくるかもしれません。
今後も増加が予想される電力自由化のトラブルに、どのような対策をとればいいのでしょうか。
新たに何か制度が始まると、必ずそこに便乗した詐欺やトラブルが発生します。電力自由化も格好のターゲットです。
くれぐれも、その場で契約をしたりお金を支払ったりなどということがないようにしてください。契約事は、どんな契約でも慎重に行なうべきなのですから。