電気の売り惜しみで国内が停電になる可能性アリ

経済産業省と公正取引委員会は平成28年3月7日、電力自由化のタイミングで電気の売り惜しみに対する行為を阻止する目的で「適正な電力取引についての指針」を発表しました。
問題行為については、電気事業法や独占禁止法に基づき行政処分をするとしています。
政府は、大手電力会社から電気を購入する仕組みを改革するために電力自由化に切り替えましたが、新電力が増えないように電気の売り惜しみをして競争を妨げる行為があってはいけません。
- どうして電気の売り惜しみ行為が勃発するの?
- 誰が電気の売り惜しみをするの?
せっかく電力自由化になり、私たちが利用する電気の購入先が決められると思っても私たちが知らないところで阻止する働きがあれば、新電力が増えるどころか減ることにもなりかねません。
また電気の売り惜しみが理由で、電気料金が今までよりも高額になることも予想されます。
今回は、電気の売り惜しみ行為の裏事情について気になる情報をまとめました。
電気の売り惜しみとはどういうことか?
電気の売り惜しみとは、簡単にいえば卸電力市場などで電気の価格をつり上げる行為です。
電気を売りたくない理由があるため電気の売り惜しみ行為をするのです。
電気の売り手は、大手電力会社です。
今後、その電気を購入できるのが卸電力取引所です。
その電気卸売価格が意図的につり上げられる行為を電気の売り惜しみといいます。
新電力参入を試みる中小事業者らが、電気を販売できないようにする行為そのものを電気の売り惜しみといいます。
電気の売り惜しみは大手電力会社がかなめ
電気が小売りされるのを嫌がるのは、大手電力会社です。
電気は、大量に貯めることができません。
大手電力会社が供給を絞り電気が足りなくなれば、価格は簡単につり上がります。
しかし、大手電力会社は発電量が莫大なため、当然、夜中などの電力使用量のピーク以外の時間帯は特に余剰の電力を持っています。
余剰の電力とは、発電して余った電力です。
特に夜間は余剰の電力が余りやすく、それらの余剰の電力を卸電力取引所に供給すれば利益になることは確実です。
しかし余剰電力を安値で供給すると新電力が安い電気を購入でき、新電力が安い電気を売ることで利益を生むことにつながります。
そうなれば、私たち消費者は大手電力会社から電気を購入するよりも安い電気を購入した新電力から電気を購入するようになり、大手電力会社離れになりかねません。
それは、大手電力会社にしてみれば面白くありません。
だから、電気の売り惜しみが発生しやすくなります。
消費者が新電力と少しでも契約しないように余剰の電力の安値を意図的につり上げる、または、余った電気があって電気を供給しないのです。
このような行為を経済産業省では行政処分する方針です。
また、大手電力会社に経済産業省は、電力会社大手に対し、卸供給する数値目標を課しました。
内容は新しく参入した新電力参入会社の1割の供給量です。
電気の売り惜しみ行為で新電力が電気を購入できず、運営ができないことがないよう政府が環境作りをして日本の電力自由化が発展するようにしています。
電気の売り惜しみによる米国カリフォルニア州の例
米国カリフォルニア州の例では、1996年の電力自由化により1988年に小売り化されました。
のちに大手電力会社と新電力会社が分離されるようになり、結果的に小売販売が凍結され地域の電力会社が倒産しました。
なぜなら、原価率が上昇し大手電力会社が経営不振に陥ってしまったのです。
そして、2000年に天然ガスの価格が上昇し、同時に電力卸売価格も上昇しました。
その頃は電力会社の設備も不十分で、利益を上昇させるために卸売り価格をつり上げるために電気の売り惜しみをしたのです。
結果的に供給を抑え長期契約で電気が高値になりました。
すると余剰電力も自然に減少し、経営不振になり大手電力会社3社のパシフィック・ガス&エレクトリック社が破綻しました。
発電会社は、余剰電力を販売した相手の地域電力会社が倒産することで支払いができなくなることを恐れ、売り惜しみをするようにもなりました。
その結果、州政府が地域電力会社に卸電力を販売するようになりました。
電力自由化は、方向性を踏み間違えると政府の負担額も増え国が負担せざるを得なくなるため、必ずしも電力自由化で国の景気が上がるわけではありません。
大手電力会社と新規参入企業が新電力で利益を上げるというのは、大手電力会社と新電力とのバランスが大切です。
そのためには、政府の指導が不可欠です。
海外の事例からしても、最善の環境を作らないと電力自由化は景気回復にはなりません。
電気の売り惜しみがなく公正な電力の取引がおこなわれるように、日本の今後も政府の力が試されることになるでしょう。
売り惜しみぜずに公正な販売価格が理想
電力自由化で電気が安くなるのは、私たち消費者にとってうれしいことですが景気の悪化にならないのか不安に思う方もいるでしょう。
電力自由化で電気料金が安くなるのは良いことです。
新電力は余剰電力がないと経営ができないため、大手電力会社のコスト削減になる余剰電力がポイントです。
売り惜しみのない公正な価格で供給できれば供給のバランスがとれることになります。
電気の供給が新規電力会社に電気の売り惜しみが発生しないように規制機関することで、エネルギーを無駄にすることなくお互いが利益を生みます。
また無駄なエネルギーをなくすことで、二酸化炭素削減や地球エコロジーにもつながります。
各家庭での待機電力をなくす、エアコンの温度設定など無駄な電力の排除も大切ですが大手電力会社の余剰電力の規模は莫大なものです。
- 余剰電力の有効活用
- 電気の売り惜しみのない供給バランス
この2つが電力自由化を成功させる大切なポイントになります。
消費者が電気を選ぶ時代に
電力自由化で私たちが電気を選ぶ理由は、安さだけではありません。
自ら選ぶ理由には、電気の素材でもある電源の構成に興味を抱く方も多いでしょう。
原発を再稼働させるのには反対意見や太陽光に応援したいなど、電気を選ぶ時代になるということは電力会社それぞれが経営不振にならないように全面的改正が必要になります。
電気の代替えは、ありません。
ためることができない電気は、簡単に価格を上昇されやすく電気の売り惜しみが発生しかねません。
電力自由化になった時代だからこそ、電気の売り惜しみがなく、私たち消費者が満足でき、電力会社が、お互い利益を生み出せる環境になってほしいものです。
電力市場の裏側には、仕組みなど私たちの知らない部分がたくさんありました。
でも、電気や安さや素材など多くの魅力を理解して電力会社を選びたいものです。
電力会社の選定は難しいという場合は、タイナビスイッチのシミュレーションをご利用ください。