JXエネルギーの「ENEOSでんき」と東燃ゼネラル石油の「myでんき」が経営統合!!

「ENEOSでんき」と「myでんき」の経営統合と聞いても、単なる新電力の会社の合併としか思えず、もう一つピンとくるものがありませんが、これが「JXエネルギー」と「東燃ゼネラル石油」の統合のことだと分かれば、その響きは大きく異なってきます。
なぜなら、ことの重大性がよく理解できるからです。つまり、JXエネルギーと東燃ゼネラル石油はいずれも日本の石油業界を代表するビッグ企業であり、この二つが統合するとなると、石油業界に大きな影響を与えるからです。
JXエネルギーと東燃ゼネラルの二つ企業の統合がなぜ石油業界に大きな影響を与えるかを知るためには、まず2社について会社の内容を知る必要があります。
以下が、その概要になります。
JXエネルギーとは?
JXエネルギー株式会社は、石油製品の精製や販売などを行う石油元売として、グループ全体の年間売上高が9兆円を越える石油業界での日本最大手の企業であり、世界でも第8位の規模を誇っています。
東燃ゼネラルとは?
東燃ゼネラル石油株式会社は石油製品の精製、販売、および石油化学製品の製造、販売を主に行う企業です。売上高は、グループ全体で2兆円以上に達するビッグ企業です。
JXと東燃の経営統合で売上高11兆円の巨大企業が誕生する。
いかがでしょうか、上記でご紹介した2社の内容を知り、今回の経営統合の意味がよく分かったのではないでしょうか。つまりこの2社の統合により、来春には「JXTGホールディングス」という名前の売上高11兆円という超ビッグ企業が誕生することになるのです。それだけではなく、この統合によりガソリン販売シェアの50%以上を獲得することになるのです。
これでお分かりのように「ENEOSでんき」と「myでんき」の統合は、単なる二つの新電力の合併ではなく、日本を代表する二つの巨大石油企業の結びつきなのです。これで今回の統合の背景がよく理解できたと思いますが、ここからは今回の主役である「ENEOSでんき」と「myでんき」について書いていくことにします。
ENEOSでんきはどんな新電力なのか?
ENEOSでんきは数多くある新電力の一つですが、会社名ではなくJXエネルギー株式会社が提供する家庭用電気のブランド名です。家庭に供給する電力は、JXエネルギーが保有している自社の発電所でつくられるものです。JXエネルギーは今回の家庭用電力以外にも、以前から事業所用電力を供給してきたこともあって、元から自社の発電所を所有しています。
ENEOSでんきの電気代割引は?
ENEOSでんきには、「にねんとく2」という電気代の割引制度があります。これはENEOSの電気を2年間利用を約束すると、スタート時から最大24ヶ月間電気代が割引になるオプションです。割引額は1年~2年目が1khあたり0.20円(税込)、3年目以降が0.30円(税込)となっており、使用量が高くなるにつれて割引額は大きくなります。
⇒ENEOS電気料金プラン
Dr.おうちのエネルギーというユニークなサービス
ENEOSでんきには、電気料金の割引の他にもユニークなサービスがあります。それは「Dr.おうちのエネルギー」と名づけられたもので、ENEOSでんきが認定したエネルギー診断士がご家庭のエネルギーの使い方を無料で診断するサービスです。これに関する詳しい情報は、ネットのDr.おうちのエネルギーのサイトを見れば分かります。
ENEOSでんきの供給エリアは?
ENEOSでんきの供給エリアは以下の通りです。
供給対象エリア |
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栃木県 |
群馬県 |
埼玉県 |
千葉県 |
神奈川県 |
山梨県 |
静岡県(富士山以東) 「注」離島は対象外 |
myでんきはどんな新電力?
ENEOSでんきに対して、もう一方のmyでんきは、どのような新電気なのでしょうか。
myでんきの親元である東燃ゼネラル石油は、いまから20年前の1994年から法人向けの電力販売を行ってきました。そのノウハウを活かして、今回の電力小口自由化に際して、家庭用電力の供給を始めたのです。それに向けた最新の大型火力発電所の建設計画を、千葉県と静岡県で進めています。
myでんきの今までよりお得な料金プラン
myでんきは東燃ゼネラルの発電設備からの供給や、他社からの余剰電力の買取、それに日本卸電力取引所での買取などを通じて、自社の電力と外部調達分を効率的に組み合わせることにより、ユーザーに対して、より経済的な料金での電力提供を実現しています。
乗り換え後も今と変わらぬ安心
myでんきに切り換えても、停電などで送電が不安定になることはありません。なぜなら切り換え後も、これまでと同じ送電網が利用されるからです。したがって、品質や信頼性も以前と何ら変わることはありません。
my電気の供給エリアは?
myでんきの供給エリアは首都圏だけでなく、中部地方、関西地方にまで及ぶ以下のエリアになります。
東燃ゼネラル石油は原発3基分にも及ぶ発電所を建設中!
供給対象エリア |
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群馬県 |
栃木県 |
茨城県 |
埼玉県 |
東京都 |
山梨県 |
神奈川県 |
千葉県 |
静岡県 |
長野県 |
岐阜県 |
愛知県 |
三重県 |
福井県 |
滋賀県 |
京都府 |
兵庫県 |
大阪府 |
奈良県 |
和歌山県 |
東燃ゼネラル石油は原発3基分にも及ぶ発電所を建設中!
別項でも触れましたが、myでんきの親元である東燃ゼネラル石油は家庭用電力の安定供給に向けて、現在新しい発電所の建設に着手しています。計画によれば、関西電力と合同で千葉県市原市に原発1基分に相当する出力100万kwにも及ぶ大規模なもので、2020年の運転開始を目指しています。また静岡県に所有する油槽所の敷地内には,なんと原発2基分にも相当するという、出力200万kwのLNG燃料による効率発電所の建設を計画しています。
こちらは2021年に運転開始予定ですが、二つの発電所を併せれば、合計300万kwの原発3基分の発電量になり、新電力としては抜群の発電量をもつ電力会社になります。
⇒『電力自由化』による原子力発電と再生エネルギーの動き
東京電力より安いENEOSでんきとmyでんきの電気料金
ENEOSでんきの電気代は
電気代 | 1kwhあたりの電気単価 |
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最初の120Kwhまで | 20.76円 |
120kwh~300kwhまで | 23.26円 |
300kwh~ | 25.75円 |
となっています。
これによれば最初の120kwhまでは、ENEOSでんきのほうが東京電力より高くなりますが、それを過ぎると逆になり、ENEOSでんきのほうが安くなります。
つまり181kwhあたりで逆転しますから,1ヶ月の使用量が464kwh近くになりますと、東京電力より1000円程度安くなる計算になります。ということは、1年では12,000円もお得になります。ただ一人暮らし家庭などで、1ヶ月の電気代が200kwh以内の場合は東電の方が安くなります。こうした場合は、120kwhまでが安いmyでんきを使うと良いでしょう。
まとめ
今回経営統合を発表したENEOSでんきとmyでんきの電気料金は、東京電力より安いと言われています。新電力でありながら、こうしたことができるのは両者にバックになっているのが、「JXエネルギー」と「東燃ゼネラル石油」という日本を代表する大手石油企業だからです。こうした企業がバックにいるため、資金力が豊かで競争力があるため、料金面でも大手電力会社と闘う事ができるのです。