電力会社の乗り換えをスムーズにするスイッチングとは?

電力自由化までの簡単な流れ
今年の8月3日から、小売事業をおこなう電力会社の、事前登録の受付がスタートします。これまで、新電力は資源エネルギー庁に届け出るだけでよかったのですが、今後は東京電力、九州電力などの大手電力会社も含め、どの電気事業者も小売をおこなう場合には登録をしなくてはならなくなりました。
そして2016年1月からは登録を済ませた小売事業者と、わたしたち需要家が契約を結べるようになり、いよいよ2016年4月1日から新電力を含めた新たな電力会社からの電力供給がはじまることになります。
電力会社の切り替え手続はどうなる?
電力自由化にあたり、現在契約している電力会社A社から、より安いサービスメニューを提供しているB社に切り替えるとします。そこで気になるのは、それまでの電力会社との契約解除や、新たな電力会社との契約、そして実際の電力供給の切り替えがどのようにおこなわれるかということです。
たとえば携帯電話会社を乗り換えようとする場合、わたしたちはまずA社との契約を解除しにショップへ行き、それからB社と契約を結ぶために改めてショップへ行くことになります。A社、B社、2店舗に出向く必要がありますし、わずかながらであっても乗り換えの手続中は携帯がつながらないことになります。
電気も契約手続中、使えないのであれば不便ですし、どこかのショップへ行かなければならないのであれば、それもまた億劫です。
「スイッチング支援システム」で乗り換えが円滑に
2015年4月、「電力広域的運営推進機関」(広域機関)という機関が設立されました。この広域機関の大きな役割は2つあります。これまで、電気の需要と供給のバランスを全国レベルで調整できる組織はありませんでしたが、広域機関はそうした調整のための権限が付与され、日本中の電気の需給バランスを保つ役割を果たすことが1つ。
そしてもう1つが、別の小売事業者へ契約を切り替えるときの「スイッチング」を支援する役割です。
広域機関によるスイッチング支援を「スイッチング支援システム」と呼び、このシステムによって需要家は新しい小売事業者と契約する際には、送配電事業者との「託送契約」や従来の小売事業者との契約解除などを、自動的におこなってもらうことができるのです。
スイッチングの詳しい流れ
スイッチングの流れについてもう少し詳しくみてみましょう。そもそも広域機関には、発電事業者、送配電事業者、小売電気事業者と、電気事業者すべてが加盟していて、各事業者の情報が共有される仕組みになっています。
そんな広域機関が運営するスイッチング支援システムは、送配電事業者側のシステムと連携して、需要家情報を検索する「共通情報検索機能」と、小売電気事業者がスイッチング手続きをおこなう際、託送契約手続きを一元的かつシームレスにおこなえる「託送異動業務機能」を備えています。
小売事業者は需要家から申し込みを受けた時点で、送配電事業者が保有する需要家情報をスイッチング支援システムから取得。次に、需要家へ電力を送り届けるための「託送供給」の変更を送配電事業者に依頼します。
それと同時に、需要家が従来の小売事業者に契約解除を申し込むと、その小売事業者からも送配電事業者に対して託送供給の変更連絡が送られます。
こうした一連の手続きをスイッチング支援システムが一元的に処理することによって、どの小売事業者と送配電事業者の組み合わせでも、同じように円滑にスイッチングの手続きができるというわけです。