ガス自由化のメリットとデメリットには何がある?

ガス自由化のメリット
電力自由化に続きガス自由化も起こることから、これらは時代の流れに沿った動きでもあります。さて新しいことを取り入れるという事は今までになかった良い点、悪い点が出てきます。ガス自由化についてメリットとデメリットを見ていきましょう。
ガス自由化のメリット① サービスの向上
各ガス小売業者同士の土俵はガス料金だけとは限りません。オプションの提供合戦が始まることが期待できます。新規参入の業者が異業種からも飛び込んでくるので、それぞれの企業のカラーを前面に出したオプションを提案してくるでしょう。ガス料金の安さだけでガス会社を選ぶのではなく各種サービスにも目を向けておく必要がありそうです。
ガス自由化のメリット② ガス管の整備が広がる
意外にも現在の都市ガスの普及率は半分にとどまっており、ガス管が通ってない世帯はプロパンガスを利用しているのが現状です。プロパンガスは都市ガスよりも若干値段が高いため、仕方が無くプロパンガスを使っているという現状にある方も多いと思います。そこで、ガス自由化が始まることによってガス管が整備され、都市ガス化する家庭が増えることが期待されています。
ガス自由化のメリット③ ガス料金が下がる
何度も出てきているようにやはりガス自由化の一番のメリットはガス料金に関する事です。今までは、電気料金と同じように総括原価主義と言って、ガス会社の利益が保証されることを前提にガス料金を決めていました。その制限が撤廃されることでガス料金が需要と供給のバランスの中に組み込まれます。つまり値下げが期待できるのです。
ガス自由化のデメリット
ガス自由化のデメリット① 都市部と地方の格差
都市部においては様々なガス会社があるため選択の幅が大きいのに対し、地方になると選べるガス会社が少ないため、今までと同様のガス会社と契約を更新せざるをえないという状況になってしまいそうです。
メリットにあった、ガス自由化はプロパンガスを都市ガスに替えるきっかけになるという期待は、このデメリットによって打ち消されてしまいます。なぜならプロパンガスを使っている世帯のほとんどは地方だからです。日本全体にガス自由化の恩恵がいきわたる様な対策を期待したいところです。
ガス自由化のデメリット② ガス料金が上がる可能性がある
メリットにおいてガス料金が下がることが期待されるというのは、各ガス会社が自社の利益を増やすためコストを減らす努力をすることに基づきます。これを企業努力といい、ガス料金を今までの法律による保護下から外すことで可能になります。
逆に考えると、保護から外れるという事は都市ガスの原料である液化天然ガスの価格が上昇した場合、その影響を直接受けるという事です。これは、自国で石油が取れない日本においては仕方が無いことです。ガス自由化後、この脅威からガス料金を守ることは誰にもできないのです。
ガス自由化のデメリット③ 安定供給への不安
もし契約した新しいガス会社が倒産したりしたら、ガスは止まってしまうのでしょうか?その心配はありません。万が一契約業者が何らかの理由でガス供給ができなくなった場合、いままでの大手のガス会社がその埋め合わせをしてくれるシステムになっています。
また、質の低いガスを提供する業者がいるかもしれないという不安もあると思いますが、ガスの質については法律によってしっかり守られているため大丈夫です。また、ガスを送り込むシステムを考えても自分の家だけに悪いガスが送られてくることはありません。なぜなら、すべてのガス会社が同じガス管を使ってガスを送るからです。
ある会社から直接家庭にガスが送られることは無く、色々な業者が作ったガスは区別なくガス管の中で混ざりあってしまうのです。そのため質の低いガスをガス管に流し込むことは許されないのです。
ガス自由化のデメリット④ 複雑な料金体系に消費者が混乱するかも…
ガス自由化で料金が引き下げになるのは大歓迎なのですが、参入してくる多くの業者は既存のガス会社と提携して新しい料金体系で市場に臨もうとしており、業者の数に応じて「セット割プラン」の数が多くなると考えられます。
業者数は大量に増えると予想されており、プラン数の多さにユーザーはどれを選べば良いのか迷ってしまい混乱を招く可能性があります。
電力自由化の次はガスの自由化
なぜガス自由化をするのか?
今までは電力と同じようにその地域に決められたガス会社に契約をして、ガスを使っていました。ガス自由化後は新規参入のガス会社と自由に契約できるようになります。つまり自由化を行う理由としてはガス料金の値下げや、サービスの向上を促すためです。この流れは電力自由化とほとんど同じで、電力やガスといったライフラインに対してどの業者に契約するべきか、私たちに選択肢が与えられます。
ガス会社の選択肢(ガス料金プラン)
ガス自由化によってガス業界への新規参入が許されると、一気に契約する業者の選択肢が広がります。もちろん色々な業者が顧客獲得のため、様々なガス料金プランを打ち出してくることが予想されます。単純にガス料金が安いところと契約するのが手っ取り早いようですが、もう少し深く考える必要がありそうです。ガス料金プランには色々なセットメニューが設定され、代表的なのが電力とガスのセットプランなどがあります。それぞれのご家庭に合わせたプランを選択することで、より効果的に節約することができそうです。
ガス管は今まで通りなの?
ガス会社の新規参入が相次ぐからと言って、新しくガス管を設置する必要はありません。ガス自由化した後も既に設置してあるガス管を通してガスを使うことが可能です。これは電力自由化でいう「送配電の自由化」にあたるところになります。実際電線やガス管は生活に欠かせないものなので、それをすべて作り直すという事は私たちの生活の停止につながります。このガス管は従来の大手ガス会社が所有するものなので、新規参入ガス業者は「託送料金」を大手ガス会社に支払うという形になります。
電力自由化の時はスマートメーター。ガス自由化はどうなる?
電力自由化の際には電気料金や電力使用の状況を新電力業者にすぐに送信できる「スマートメーター」取り付けが必要になります。このスマートメーターは業者の所有物になるので、各家庭がスマートメーターを購入する必要はありませんが、交換工事を行う必要があります。
では、ガス自由化においてはどうなるのでしょう。ガス自由化の際に電力自由化の時のようにスマートメーターに取り換える必要はありません。すなわち、新しく工事などをする必要は全くなく、ただ契約する業者を変えるだけという事になります。
日本のガス料金は海外より高い?
ガス自由化が行われた主な理由としてはガス料金の値下げがあります。実際日本のガス料金は、アメリカやイギリスなどと比べても比較的高く、ガス自由化はその高止まりしているガス料金を緩和しようという狙いがあります。
自由化してしまえば、ガス小売業者間で価格競争が起こりガス料金をある程度落ち着かせることが期待できます。日本が海外に比べてガス料金が高いのはある程度仕方が無いことで、アメリカやイギリスのように油田を持たない日本は石油を輸入に頼る事になります。日本は資源が乏しい立地にあるため耐えなければならない点でもあります。
どんな業者がガス業界に参入してくるのか?
ガス業界に新規参入するのはどんな企業でしょうか?代表的なものは電力会社です。やはり電気とガスは切っても切れない関係にあり、今までの大手の電力会社がガスを提供するという時代が来そうです。
携帯電話会社がやはり有力
「電気+ガス+携帯電話」という今までではとても想像できないような料金プランを打ち出してくる可能性があります。今までは電気料金やガス料金に対して選択肢はなく、ただ漠然と支払いを済ませていただけでしたが、そこに複雑な料金プランが組み込まれることで、支払いの仕方に工夫の余地が出てくるようになります。
ガス自由化とは何なのか、今になって導入が決定された理由やそのメリットとデメリットについてご紹介しました。電力自由化と似ている点も異なる点もありますが、いずれにしてもライフラインの面で、選択の幅を手にすることになります。その中でいかに賢く生活のために有利な選択をするかが、今後のカギになりそうです。
ガス自由化で気を付けなければいけない事
上記でも触れましたようにガス自由化は料金が下がることが期待できますから、本来は消費者にとってあり難いことなのですが、新料金の選択肢があまりにも多いため、混乱を招かないか?という疑問点があります。そうしたことも踏まえて、ここからはガス自由化で消費者は損をしないか、という観点からその注意点を述べてみます。
選択肢の多さに惑わされてはいけない
前述のようにガス自由化では既存のエネルギー会社の事業拡大と、他業界から新たに参入する会社が入り乱れて、新しい料金体系の商品が売りに出されます。それだけに大変な数の新料金プランが生まれることが予想されます。数が多ければ選択が難しくなります。ユーザーは新料金プランを選ぶに際しては冷静に考え混乱を起こさないよう注意する必要があります。
プラン内容の不透明さを見破らなければいけない
今回の自由化は、ガスだけの自由化ではなく電力自由化も含めた総合的なエネルギーの自由化です。それ故に電力会社がガスも供給でき、ガス会社が電力も供給できるようになるのです。
ということは既存の会社だけでも取扱商品が2倍になるのです。これに他業界から新しい業者が参入してくるのです。これを聴くだけでも自由化後の市場の混乱が容易に予想できます。心配なのはこの混乱に乗じて、料金や内容で透明性の怪しい商品が出回ることです。
したがって消費者は喜んでばかりではいけません。確かな選択眼で臨み、そうしたものを見破らなければいけないのです。
まとめ
今回のガス自由化に対しては、多くのユーザーが、どちらかというと料金値下げなどのメリットの方にばかり目を向けており、一方のデメリットの方には目を向けない傾向があります。しかし自由化によってあまりにも多くの新規参入企業が予想されているため、市場は少なからず混乱を招きます。それ故にユーザーもまた混乱する可能性があるのです。
その結果、料金の正しい選択ができなかったり、新商品に紛れこんだ問題のある商品を選択してしまうこともあり得るのです。この様な事のないようにメリットばかりではなく、デメリットにもしっかり目を向けなければいけません。