電力自由化に伴う新電力のガイドライン・ルール②
電力の自由化によって電力会社間の競争が盛んになり、新しいサービスが生まれたり電気料金が下がったりすることはうれしいことです。しかしそのためには、公平公正な環境が整備されていなくてはなりません。
政府は「需要家保護」や「公正な電力取引環境の整備」の観点から、電力会社のどのような行為が妥当で、どのような行為が問題かを、指針として定めています。気になる指針も多くありますので、具体的にみてみましょう。
電気料金の設定方法に関する事項
1)需要家が料金水準の適切性を判断しやすいよう、「当社が毎月末に請求する額」や「時価とする」など、電気料金の算出方法を明確に定めないことは電気事業法上「問題のある行為」(業務改善命令等の対象となる可能性のある行為)
2)①料金請求の根拠となる使用電力量(kWh)等の情報を需要家に示すこと ②一般家庭をはじめとする「低圧」需要向けの定型的なメニューを「標準メニュー」として公表することは、すべての小売電気事業者にとって「望ましい行為」
停電に関する問い合わせへの対応
停電に関する問い合わせは小売電気事業者が情報提供をおこなうことが適当として、次のような位置づけが検討されています。
1) 送配電要因であることが明らかな停電への対応
送電線の切断など、送配電要因で停電していることが明らかな場合には、送配電事業者がホームページ等を通じて提供する情報を用い、小売電気事業者が需要家への問い合わせに対応することが望ましい
2) 原因不明の停電への対応
小売電気事業者がブレーカーの操作方法の案内等、停電の状況に応じて適切な助言をおこないます。それでも解決しない場合、原因を特定するには送配電事業者や電気工事店に連絡を取る必要があることから、適切な連絡先を紹介することなどが電気事業法上「望ましい行為」。
一方、需要家の相談に乗らない、送配電事業者の連絡先を需要家に伝えないなど、小売電気事業者が問い合わせに応じないことは電気事業法上「問題のある行為」。
不当な情報提供に関する事項
「当社の電気は停電しにくい」など、誤解を招く情報提供で自社のサービスに誘導しようとすることは、すべての小売電気事業者にとって電気事業法上「問題のある行為」。
小売電気事業者が契約解除の申込を受けた際の本人確認について
小売電気事業者が契約解除の申込を受けた際には、適切な方法によって本人確認すべきであり、これを怠った結果、需要家本人の意に沿わない解約手続をおこなうことは、需要家の利益を阻害するものであり、すべての小売電気事業者にとって電気事業法上「問題のある行為」。
小売電気事業者の発意による契約解除時の手続について
小売供給契約の解除において、たとえば以下のような適切な対応を怠ることは、すべての小売電気事業者にとって電気事業法上「問題のある行為」。
1) 小売供給契約解除をおこなう15日程度前までに需要家に解除日を明示して解除予告通知をおこなうこと
2) 解除予告通知の際に、無契約となった場合には電気の供給が止まることや、最終保障供給(経過措置期間中は特定小売供給)を申し込む方法があることを説明すること
3) 小売契約解除に伴う託送契約の解除をおこなう10日程度前までに、小売契約の解除を理由とすることを明示したうえで、一般送配電事業者に託送契約の解除の連絡をおこなうこと
このように、ガイドラインではさまざまなケースについて詳細に指針を定め、自由化後もわたしたちが安心して電気が使えるよう審議しています。まだ協議段階ではあるものの、今後の動きに注目したいものです。