風力発電の今と電力自由化後のこれから

電力自由化により私たち消費者は、電力会社の選択の幅が広がりますが、風力発電は商業施設などで使うことは出来るのでしょうか?
風力発電を使う場合のメリットやデメリットは何でしょうか?
ここでは風力発電について、色々とご紹介していきます。
風力発電のメリットとデメリットとは
メリット
風力発電のメリットは、なんといっても風が吹けば発電できるという点でしょう。
建設時のことを考えなければ、発電しても二酸化炭素を発生させず、原子力発電のように放射能汚染の危険もありません。
発電するのに風以外は一切必要とせず、冷却する必要もありません。
風があり発電設備を建設する一定の場所があれば、どこにでも風力発電は建設でき、山の中でも海上にも建設が可能です。
そして日本のように、一年中風の吹くような場所が多いところにも適しています。
デメリット
デメリットとしては、クリーンなエネルギーの反面、火力発電や原子力発電に比べると、その発電量は少ない事です。
現在の風力発電の風車では、どのような強さの風を受けても風車の回転を制御できないので、発電は風任せとなります。
そして風さえあれば発電は出来ますが、逆に台風のように風が強いと、風車のブレードたタービンが耐えられず壊れるので、強い風では発電できず、一定の風量の中でしか発電が出来ません。
商業用として使うなら現在は、プロペラ型の風力発電となりますが、プロペラ型は発電するときに騒音が大きく、人の少ないところに建設することとなり場所を選びます。
また風車自体に鳥が巻き込まれる危険がある、地震や落雷や台風があれば、風車が倒れる危険も考慮しなければいけません。
風力発電が普及していく為の2つの課題
電力自由化によって、新規参入会社も電気小売業に乗り出すようになり、これまで以上に電気の需要は高まることでしょう。
自由に電力を販売できるようになったことにより、風力発電は商業施設として使われるようになるのでしょうか?
一つの可能性として、今まで地域で限定的に使われてきた電気も、各電気販売会社が、それぞれの送電網を繋げて大きなエリアとすることで、風力発電も火力や水力や原子力発電と同じように、商業用発電として本格的に使うことは可能になります。
ただし風力発電を使うにはいくつか問題点があります。
発電量を調節出来ない
風力発電の発電は風任せとなり、風が強ければ多くの電気を発電出来ますが、風が弱くなると発電量は少なくなります。
また台風などの強風では、現在の風力発電の設備は使えません。
現在の電力会社では、消費者の需要と発電する供給する電力は同じにしており、これを同時同量と言い、これを無視すると大停電が起こってしまいます。
このために、発電設備として使うなら、発電量を調節出来る設備でないと、商業用として使う事は難しくなります。
建設場所の問題
風力発電を商業用として使うなら、発電出力から見てプロペラ型が使われることとなりますが、プロペラ型は転倒やブレードの落下の危険と、発電時の騒音の問題があります。
このため風があればどこにでも設置して良いというわけではなく、風がよく吹くような場所であり、なおかつ人がいないような場所でないと、上記のような危険や騒音があるために設置できません。
都心部などに建設すれば、騒音で多くの住民から苦情が出るでしょう。
また風があれば山などにも建設は可能ですが、この場合は山の木々を切り開いて建設することとなり、山の景観を壊してしまいます。
これらの事から風力発電反対派も存在します。
ヨーロッパでは風力発電の普及が進んであり、それに対し日本では風力発電の普及はあまり進んでいません。
それは、やはり細長く平野が少ないという日本独自の地形の問題があるでしょう。
また日本の風は、地形が複雑なので一方から吹くような風ではなく、乱流になっており、それも風力発電の普及の妨げになっています。
どちらかと言えば、日本で風力発電が使えるような場所は限られており、日本では不向きな発電方法かもしれません。
ただし、まだ風力発電は発展途上であり、商業的に使われてもいないので、今後開発が進むと、日本向けの風力発電の方法が登場し、日本でも一気に普及する日がくるかもしれません。風力発電には様々な期待がかかっている事は間違いありません。
風力発電の仕組み
風力発電は、みなさん一度は実際に動いているところを見たことがあるでしょう。
街中などに風車が立っているのを見ることも出来ます。
風力発電の仕組みは風車に風を送るとその風車が回るのと同じように、風車で自然風を受けて風車を回し、その回転によって中心に取付けられたタービンを回して発電します。
風さえあれば電気を作ることが出来るので、二酸化炭素を発生させることなくクリーンなエネルギーとして注目されています。
しかしながら現在の技術では、風車の回転を制御することが出来ないなどの問題もあります。
風力発電の種類
風力発電の種類は、その風車の形でいくつか種類があり、主に使われているのは下記の3つです。
プロペラ型風車
最も普及している風力発電の型であり、飛行機のプロペラのように、3枚の羽で左右からの風を受けて発電します。
風力発電の中でも一番発電効率が良く大型化もしやすく、そのために大容量の電気を作りたい場合などにもよく利用されます。
ただし、発電するときの騒音は大きい事がデメリットです。
サボニウス型風車
円筒形の形をしている風車であり、見た目は風力発電という感じはしないでしょう。
発電しても静かであり、弱い風力でも発電できるというメリットがあります。
ただし発電効力は悪いので、商業用よりは小規模な施設などで使われています。
ダリウス型風車
横から見ると弓のような形をしている風力発電であり、建設コストが低く風の向きも選ばずに発電できます。
強風でも騒音があまり出ないために、都心部などでも使えます。
ただしこちらも発電効率は悪いので、小規模な施設用などに使われます。
日本の風力発電所
郡山布引高原風力発電所
猪苗代湖の南にある標高1,000m以上の高い場所にあり、日本で最大級の風力発電所です。
発電出力は65,980kWとなっており、2,000kWの風力発電が32基あります。
年間で一般家庭約35,000世帯分の約12,500万kWhを発電します。
さらきとまないウィンドファーム
日本最北端にある風力発電所です。
北海道稚内市にあり、発電出力は14,850kWです。
1,650kWの風車が9基あります。
苫前ウィンビラ発電所
大規模風力発電の先駆けとしていち早く2000年に誕生した風力発電所です。
北海道苫前町にあり、発電出力は30,600kWです。
1,650kWの風車が14基と1,500kWの風車が5基あります。
仁賀保高原風力発電所
秋田県にかほ市にある風力発電所であり、標高500mの鳥海山のふもとにあります。
鳥海山の景色と調和するように配慮し建設されました。
発電出力は24,750kWであり、1,650kWの風車が15基あります。
南大隅ウィンドファーム
九州最南端にある風力発電所であり、鹿児島県南大隅町にあります。
発電出力は26,000kWであり、1,300kWの風車が20基あります。
阿蘇にしはらウィンドファーム
熊本県西原村にある風力発電所であり、九州では観光地ともなっており、夏や秋は景色がとても良いです。
発電出力は17,500kWであり、1,750kWの風車が10基あります。
日本の風力発電所の一部をご紹介しました。
これらの風力発電所は、その地域の牧場などに電気が供給されており、送電網を通して一般家庭などにも送られています。