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シンガポールは2018年に電力完全自由化へ

シンガポールは2018年に電力完全自由化へ

電力自由化へ踏み出したシンガポール

アジア圏で経済の中心的な役割を担うシンガポールは、日本よりも少し遅れて、2018年後半に完全な電力自由化へ移行します。
シンガポールと聞くと、日本人の一般的な感覚ではあまり電力に関して先をいっているイメージがないかもしれませんが、実はASEAN諸国と比較すると、電力事情は抜群の安定感を誇っています。
どの位安定供給が出来ているかというと、日本では東京電力エリアの停電が1軒につき平均4分間/年あるのに対し、シンガポールでは1軒につき1分未満/年という、実に日本の1/4以下に抑えられているという実績があります。
今回は、そんなシンガポールの電力自由化についてフォーカスしていきたいと思います。

実は、シンガポールは既に一部自由化を行っていた

“シンガポール一部自由化”

2018年の後半より電力自由化が完全になるシンガポールですが、実は一部では日本よりも早く、既に自由化が始まっていました。
もともと、他の電力自由化が進んでいる国と同じく、シンガポールも電力事業は国が行っていました。
1965年より電気水道局(PUB: Public Utilities Board)という公的機関がその電気事業を管理・規制していましたが、1995年にはその独占的な経営状況を廃し、競争を生み出すために事業を分割しました。
電力事業は、発電会社3つ(Tuas Power、Power Senoco、Power Seraya)、送・配電会社1つ(Power Grid)、電力販売会社1つ(Power Supply)が、更にPower Senoco、Power Seraya、Power Grid、Power Supplyの4つの会社の持ち株会社であるSingapore Powerも設立されました。
その後、2000年にさらに規制緩和が行われ一部電力自由化が進みましたが、2016年現在でも、需要家のうち、ひと月に2MWh以上電力を使用する大口の顧客に対する市場の自由化が認められているだけの状況が続いています。
2MWhというのは、2,000kWhと同じ意味で、日本における一般家庭の平均電力使用量が2014年時点で439.2kWhということを考えると、一般家庭の実に5倍程度もの電力を使用している需要家のみ、という限定された市場が開かれているという事がわかります。
その自由化の範囲を、一気に一般家庭レベルまで拡大し、全面的に電力自由化を認めようというのが、2018年に行われる完全電力自由化です。
つまり、一見やや遅れてスタートしたかに見えるシンガポールの電力自由化ですが、日本が2016年4月より一斉スタートさせるのに対し、なんと16年も早く世界の電力自由化の流れに乗っていたということになります。

シンガポールのエネルギー事情の今

“シンガポールのエネルギー事情”

既に部分的に電力自由化が開始されているシンガポールは、2018年に東アジアで初めての電力完全自由化した国となるなど、アジア圏ではエネルギー市場の中心的ポジションを担っています。
現在電気事業に関わっている国の機関はエネルギー市場監督庁(EMA)ですが、この機関の規制のもと、発電部門14社、送配電部門それぞれ1社、電力小売り部門9社が存在し、その9社が現在電力自由化の進んでいる層に対して激しい競争を行っており、開かれている市場に対する電力自由化はほぼ成功していると言えます。
また、電力自由化が進んでいない一般家庭を中心とした2MWh以下の需要家は、EMAが認可した電気料金でSPサービス社(Singapore Powerの子会社であり、送電部門を独占)より購入しています。
シンガポールでは、過去には石油による火力発電が国内の発電施設の100%を占めていましたが、国内には資源が無く、その燃料のほぼ100%を輸入に頼らなくてはならない状況でした。
現在では、シンガポールの電力はほとんどを天然液化ガス(LNG)からの火力発電が占めており、残りは石油による火力発電、再生可能エネルギーなどです。
現在のシンガポールが特に推進している電力政策としては大きく分けて2つあります。

1.供給の安定性を追求

天然ガスを利用した火力発電事業をより安定させるべく、LNGターミナルを2013年から操業開始し、2017年には4基目が完成するなど、将来の電力需要の増加を見越し着々と準備が進んでいます。
また、シンガポール政府は2007年にクリーンエネルギー産業を促進する目的で政策を策定、予算として総額3億5,000万シンガポールドルを設定し、国内外の電力企業の力も借りながら、再生可能エネルギーの安定的利用を目指しています。

2.エネルギー供給源の多様化を促進

エネルギー供給源として過去にはほとんど石油による火力発電で賄っていたシンガポールですが、電力の供給元である一次エネルギーを1種類のみに絞っているのは、世界情勢によっては燃料の価格や供給量が大幅に左右される可能性があるため、現在天然液化ガスだけではなく再生可能エネルギーの導入にも力を入れています。

シンガポールの電力市場の今後

“シンガポールの電力市場”

シンガポールは電力自由化が全面的に2018年より行われますが、それにより一般家庭を含む多くの需要家が電力の市場から電気料金プランやサービスのうち、最も自分たちに適切だと思うものを選べるようになります。
専門家によると、米国の電力自由化が成功している州などのように、今後は一般の家庭で使用する電気料金は5~15%低減する可能性があると予測されています。
先述の通りシンガポール政府は電力の供給源の多様化を進めるためにLNGや再生可能エネルギーの導入を行っています。
LNGを国として推進している背景には、コジェネレーション(火力発電などの際に生じる排熱を利用し、動力や温熱、冷熱を取り出すことで同じ燃料からより多くのエネルギーが利用できるように効率を良くすること)などに最適な燃料と位置付けており、環境問題へも同時に取り組めるという事があります。
エネルギーを効率化することは、エネルギーの供給源の多くをLNGに頼っているシンガポールにとって非常に重要であり、効率化に向けた具体的な目標設定や、制度の充実にも注力しています。
また、LNGを促進するとともに、石油に対する依存をさらに低くしようと、火力発電への利用を控えるだけではなく、自動車の購入価格を高く設定し、保有台数を制限したり、自動車での通行料金を徴収したりすることでその利用自体を制限するなどの取り組みも行っています。
さらに、電力市場を安定させるべく、燃料費のコストも抑えていく必要があり、長期的に見て有効な「再生可能エネルギー」に投資をするなど、電力自由化が本格化しようとしている今でも、シンガポールの電力事情には課題が多く残っています。

シンガポールでも注目される、デマンドレスポンス

“デマンドレスポンス”

電力自由化に向けて国全体が動いていく中で、今需要家から注目されているのがデマンドレスポンスです。
簡単に解説いたしますと、デマンドレスポンスとは、電力のピーク時や燃料の高騰により電力の供給を安定的にすることが難しい場合に、需要家側が電力の使用を抑え、それに応じて報酬やサービスを受ける仕組みの事を言います。
シンガポールではこのシステムが2015年より導入され、一部の日本企業もこれに関わっています。
電力供給の一次エネルギーのほとんどを輸入に頼っているシンガポールでは、エネルギーの使用をできるだけ抑えることが必要です。
そこで、一般家庭を含む需要家に対しデマンドレスポンスサービスの提供を行い、電力の単価が上昇している時に積極的に省エネに取り組んでもらうことで、電力価格の上昇に歯止めをかける、というのが政府としてのねらいです。
削減できたコストは需要家へ還元されるので、国としても需要家としてもうれしいサービスとなっています。

電力完全自由化へ向かうシンガポールと日本

電力の供給が安定しており、電力関係の事業や政策にも力を入れているシンガポールですが、「発電のための燃料をほとんど輸入に頼っている」ことや、「デマンドレスポンスを導入し、ピークカットを試みている」ことなど、日本の電力事情にとても似ている部分もあります。
アジア諸国の中でも、段階的とはいえ先駆けて電力自由化を進め成功を収めているシンガポールの今後の動向や現在の政策などは、日本も学ぶべきところが多くあります。
その一例として、今後日本も同じく「再生可能エネルギー」により注力し、国外に頼りすぎない電力市場を作っていく努力をしなくてはなりません。
日本では2016年4月より電力自由化がスタートしますが、これまでのシンガポールの自由化の経緯から有用な部分は取り入れ、これからの日本のより良い電力市場に向けて、電力自由化がスタートしてからも、アジアの電力自由化の先駆者であるシンガポールの動向から学び続ける姿勢が重要となってくるでしょう。

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