バイオマス発電とは? 電力自由化後の3つの課題

発電というとその主流は日本では水力発電、火力発電、原子力発電となり、電力会社はこれらの発電設備を使用して、家庭や企業に電気を供給しています。
しかし発電方法はその他にも、風力発電や太陽光発電などもあり、クリーンなエネルギーとして注目されています。
そのような中でクリーンエネルギーとして注目されているのが、バイオマス発電です。
バイオマス発電という名前を聞いたことはあっても、その実態は一般の方にはあまり知られていません。
どのような特徴があり、どこで発電されているのか、そして、電力自由化とどの様な関係があるのかを詳しく解説していきます。
バイオマス発電とは?
バイオマス発電とは、英語のbioとmassを掛け合わせたことばであり、bioが生物資源、massが量を表わします。
バイオマス発電では、資源を燃焼してもCO2排出量増減に影響がないカーボンニュートラルという観点があります。
カーボンニュートラルとは、植物を燃焼しCO2の排出があっても成長過程の中で光合成によりCO2を吸収することでCO2の量が相殺される炭素循環的な発想です。
つまりは、生物資源を燃料とした発電方法であり、その燃料とは木材資源、下水汚泥、家畜糞尿、食品の残飯など化石燃料以外の有機物のことを言います。
具体的な燃料は、木材を切ったときの切りカスや小枝、家畜の糞、食品加工時に出た残飯などです。
ガス化した燃料や資源を燃焼させることでタービンを回して、発電機を動かすことによって発電します。
石炭や石油も有機物ですが形成されるまでに長い歳月を要するため、再生可能な資源とはみなしません。
バイオマス発電の種類

バイオマス発電ではタービンを回しますが、タービンを回すためにエネルギーを発生させないといけません。
その種類によってバイオマス発電の種類が違い全部で3つあります。
直接燃料方式
バイオマス燃料を直接燃やして、蒸気タービンを回す方式です。
木くずや可燃性のゴミ、精製された廃油などを燃やして、水を加熱してタービンに送る水蒸気を発生させ、蒸気タービンを回します。
熱分解ガス化方式
バイオマス燃料を熱処理でガス化して、タービンを回す方式です。
木くずや可燃性ゴミなどを温め発酵、ガスを発生させ発生したガスでタービンを回します。
生物化学的ガス化方式
家畜の糞や下水汚泥を発酵させてガスを発生させて、そのガスでタービンを回す方式です。
電力自由化後のバイオマス発電の課題とは
電力自由化 が始まり、発電事業へ新規参入会社が続々と出てきています。
その中で再生エネルギーを使用する企業も出てくる可能性があり、バイオマス発電によって電力を供給する会社もあるかもしれません。
また、消費者もバイオマス発電で発電した電力を使用したいと考えれば、発電設備の建設も進むかもしれません。
バイオマスは、CO2排出がなく環境に優しいエネルギーですが導入や維持コストが高いために普及が遅れています。
電力自由化でバイオマス発電は、発電所として稼働できるのでしょうか?
発電量の問題
バイオマス発電を発電所として安定して運用していくには、発電に使用する燃料の安定供給が欠かせません。太陽光発電や風力発電は太陽光や風力の強さに左右される部分がありますが、バイオマス発電だと燃料を確保できれば安定した発電は可能です。
発電所として稼働させるには、家庭や企業の電力の需要と同じだけの電力を供給しなければならず、これを同時同量と言い、使う電力と発電する電力を同じにすることです。
どちらかが多かったり少なかったりすれば、大規模な停電を引き起こしてしまいます。
バイオマス発電だと、発電に使う燃料さえ確保すれば安定供給は可能ですが、もしも需要が多くなったときにそれに応えられるだけの燃料を確保できるかが問題です。
周辺環境の問題
もしもバイオマス発電での供給エリアに電気を送ったとしても、発電できる電力が余れば、供給エリア以外への送電も可能になります。
そして、余剰電力を他の地域に売ったりして細かい調節が可能となると、再生エネルギー受け入れが広がるかもしれません。
小規模なバイオマス発電設備の場合は、これとは逆にその地域のみやその施設のみという形で電力供給を行うことも可能であり、すでに一部の地域では自社内でバイオマス発電所を作り、使う電力を賄っているところもあります。
ただしバイオマス発電所はどこにでも建設すれば、すぐにクリーンエネルギーが作り出せるというわけではありません。
まだ改良の余地あり
平成24年7月からスタートした再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)によりバイオマス発電の設備が増加しています。
これからも新電力で積極的に活用されていけば、バイオマスの発電量は増えていくことが予測されています。
しかし、バイオマスはとても種類が多く、資源によっては発電コストが高い問題があります。
熱として活用するのは容易ですが、発電としては量産の効率的な方法、技術革新などまだまだ改良の余地が残されています。
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3つのバランシンググループで新電力会社の弱点を補う

新電力会社が電力不足により規定の3倍近い金額(インバランス料金)を東電などの一般電気事業者に支払うことを解消するためにバランシンググループがあります。
インバランス料金が減ることで新電力の負担も軽くなり消費者は安く電気を使用することができます。
更にバランシンググループが直接販売できるようになると、電力市場が活発になると思われます。
バランシンググループには、3つの会社が存在します。
新電力会社でグループを作り団結する
新電力グループの中で代表会社を選任しグループ会社一団となって、一括で送配電会社との交渉を行います。電力供給不足が起きた場合もグループ会社内で電力を補完しあいインバランス料金での支払いを避けるようにしています。
バランシング会社で代表会社の負担を軽減
新電力会社内での事務処理代行や、グループを組織するためのサポートを行う会社です。
これにより代表会社の負担を減らすことができます。
送配電会社で電気事業を担う
新電力会社の電気を消費者に送電する他、送配電料金処理や契約などを行っています。
実際のバイオマス発電設備
現在、日本にあるバイオマス発電設備は、石炭などを併用したハイブリッド方式のところが多く、バイオマス燃料のみで発電してる設備はごく一部です。
日本にある発電設備は、以下のような場所があります。
エフオン日田(出力12,000kW)
http://www.ef-on.co.jp/
木材生産地の大分県日田市にある設備です。
木を切ったときに出る木材チップを使用しており、木材チップのみならず樹皮も燃料に使用しています。
くずまき高原牧場 畜ふんバイオマスシステム(出力37kW)
http://www.town.kuzumaki.iwate.jp/
くずまき高原牧場にある設備です。
牧場内の牛の糞を燃料としており、そこから発生するメタンガスでタービンを回して発電しています。
北部汚泥資源化センター(出力ガスエンジン920kW×4基、1,100kW1基)
http://www.city.yokohama.lg.jp/
横浜市にある発電設備です。下水処理の汚泥処理の過程で発生する消化ガスを使用しガスエンジンで発電、所内の電力の70%を賄っています。エンジンから生じる熱は消化タンクの加熱などに用いています。
コープこうべ 廃棄物処理施設(出力60kW)
http://chofu-energykyou.jp/
コープこうべの食品工場で出る豆腐や麺やパンの生ゴミと、汚水処理場から出る汚泥を使用しメタンガスを発生させ、タービンを回して発電しています。
川崎バイオマス発電株式会社(発電規模33,000kW)
http://www.kawasaki-biomass.jp/
発電所に隣接したジャパンバイオエナジー㈱で木材をチップ化した廃材と購入した木製チップを使用して、約38,000世帯が1年間使用する電力を発電しています。
まとめ
電力自由化により参入するとなると、そのコストと利益を考えて運用しなければなりません。
バイオマス燃料を調達するのにコストがかかりすぎたり、燃料が遠くから運ばれてくれば運搬費用が高くなり利益にならない可能性もあります。
このようなことを考えると、どこからバイオマス燃料を調達するかで、どこに発電所を建設できるかが決まってきます。
バイオマス発電所では、燃料を購入して発電している設備もありますが、これも同じく利益になるかどうかを考えて運用していくことになるでしょう。
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