アイロンで素材別の最適な温度とは?

アイロンがけと聞いて最初に思うのはなんですか?
アイロンがけは楽しくて好きです!…なんて方はごく少数だと思います。
確かにアイロンかけは面倒臭いですよね。
適当にかければ返ってみっともない姿にしまいますし、かと言って綺麗にかけようとすれば時間も手間も掛かります。
いっそクリーニングにでも出せば綺麗に仕上がってきますが。当然その分だけお金が掛かってきます。
お金のある人ならそれも可能でしょうが、一般的に考えてクリーニングに出し続けるのは不可能です。
そうなってくると結果的に面倒でも自分でアイロンをかけるしかないわけです。
えーー…と思った人にアイロンがけの上級者が伝授するアイロンの掛け方を、ここでは噛み砕いて紹介しようかと思います。
どちらのアイロンでかければいいの?
まずは、スチームアイロンとドライアイロンどちらを使えば良いかを解説します。
スチールアイロン向きの衣類
- 薄手の綿製品
- セーター(形を整える為)
- スーツやスカート、制服のパンツなど(折り目を付ける為)
- ウール(しわをのばすため)
ドライアイロン向きの衣類
- 合織(ポリエステルなどの素材)
- 絹(生乾きの状態でアイロンをかける)
- 綿、麻(しわ伸ばし用)
アイロンで素材別の最適な温度とは
スチームアイロン、ドライアイロンで向き不向きの衣類素材を紹介しましたが、当然各素材毎にアイロンをかける時の温度にも注意が必要です。
衣類などには適温でアイロンをかけられるように、洗濯表示のアイロンマークのところにしっかりと表記していますので、ちゃんと確認してから素材別のアイロンを用意しましょう。
温度「高」
まず洗濯表示のアイロンマークに『高』が表示されている場合。
『高』と言う表示は最も高い温度でアイロンをかける際のものであり、その温度は180℃~210℃もの非常に熱い状態となっています。
この高温に向いている素材は麺や麻がそれに該当します。
温度「中」
次に洗濯表示のアイロンマークに『中』と表示されているものの場合は、140℃~160℃が適温だとされています。
向いている布素材はウール、絹、レーヨンとナイロン、キュプラとポリエステルなどが最適だと言えますね。
温度「低」
そして洗濯表示のアイロンマークに『低』と表示されているもの。
その場合の適正温度は80℃~120℃となっており、向いている素材はアクリル、アセレートとポリウレタンとなっています。
このように一言にアイロンかけと言っても様々な温度、かけ方などその違いはまさに千差万別と言えるでしょう。
アイロン掛けの4つのポイント
綺麗にアイロンをかけるポイントですが、中でも綺麗にアイロンをかける事が難しいとされるYシャツを見本に紹介していきます。
スチームアイロンではなく霧吹きで湿らす
まずYシャツのアイロンがけの下準備として、必ず霧吹きでYシャツを全体的に湿らせます。
スチームアイロンのスチーム機能を利用する事も出来ますが、繊維にしっかりと水分を行き渡らせるには、水の分子が小さすぎるのでやや不向きなのです。
繊維の分子同士の結合が壊れてしまう事でしわになる原因を生み出しています。
そこに熱を与える為に適度な水分を含ませて、全体の結合を一旦緩めさせ、それをアイロンの圧力で綺麗に並べ直して冷める時に壊れていた分子同士を再び結合させます。
洗濯後の脱水した状態でアイロンをかけられると思うかも知れませんが、その場合家庭用のアイロンでは熱量が足りない為、しっかりとYシャツを乾かす事が出来ません。
ちゃんと一度乾燥させてから霧吹きで濡らすようにしましょう。
アイロンがけは両手で!
アイロンをかける時は必ず両手で行いましょう。
生地全体を両手で押さえて生地にある細かいしわをしっかりと取るようにします。
これをしない場合は生地が伸びていない為、生地が緩んでしわが入りやすくなってしまう為です。
アイロンをかけている最中は、Yシャツのアイロンをかけている手と反対の方向に生地をひっぱりながらかけるようにしましょう。
また出来るだけアイロンをかけている近くの生地を引っ張らずに、遠く離れた場所を引っ張るようにする事で生地全体を伸ばし、アイロンから手を離す事でアイロンによる火傷を防止する事が出来ます。
狭い部分から順番にかける
生地が厚い部分、襟や袖口などは必ず片方だけではなく両方からアイロンをかけるように心掛けましょう。
特に襟や袖口はスーツのジャケットなどを着る時に一番に見られますので、しっかりとアイロンをかけて、「がっちりした印象」を保ちましょう。
また、シャツにアイロンをかける時の基本は狭い所からかけていく事が基本です。
かける順番として襟から肩口、袖口から袖、右前身頃(ボタンのある方になります)、後ろ身頃から今度は左前身頃(ボタンがない方です)の順番にかけていきます。
勿論生地の厚いところは片方からだけではなく、両方からしっかりとアイロンをかけておきましょう。
アイロンは直線的にかける
アイロンをかける時は曲線的にかけてはいけません。
曲線的に動かした場合しわがよりやすく、アイロンをかける時は必ず直線的にかけるようにしましょう。
その際にはアイロンの先端を少し浮かせるようにして、お尻でかけるようにするとスムーズに動かす事が出来ますし、逆に先端に力を入れるとアイロンの尖っている部分に生地が寄ってしまうので注意しましょう。
さてアイロンをかける際に用意するべきものがあります。
これは生地の素材別にアイロンをかける際に欠かせないもので、スチームアイロンとドライアイロン、どちらにも言える事ですのでしっかりと覚えておきましょう。
アイロン掛けの前に用意するもの
まず当然アイロンをかけるわけですから、元になる衣類がない事には始まりませんよね。
そして主役のアイロン、アイロンをかける際に必要なアイロン台。
また霧吹きもしわを伸ばす時に必要になりますし、一緒にアイロン用仕上げ剤も欠かせないものだと言えます。
後はアイロンを直接かけるとてかってしまう素材時用に当て布の用意も忘れてはいけません。
アイロンの前に準備、確認しておくもの
まずアイロン台をしっかり固定、安定出来る場所に設置。
次に大事なのが洗濯表示のアイロンマークを確認して、素材別に最適な温度をセットします。
洗濯表示のアイロンマークに×が付いている場合、アイロンをかける事は出来ませんので、うっかり…なんて事がないよう十分に気を付けましょう。
アイロンの種類
①ドライアイロン
ドライアイロンとは高熱の熱を押さえつける力によって布のしわを伸ばしていくアイロンです。
最近ではドライアイロンを発売していないメーカーも多く、製品としての数は決して多くはありません。
現在では大手パナソニックと東芝が生産しているようです。
②スチームアイロン
スチームアイロンとはスチームを大量に噴射し布に吹きかける事でしわを伸ばしていくタイプのアイロンです。
ドライアイロンが少なくなっており、現在ではスチームアイロンの方が主流だと言えますね。
生産しているメーカーも多くその種類は非常に豊富です。
またスチームを出す事に必要となる給水タンクも本体から外れない固定型、反対に本体から給水タンクを外せるタイプのカセット式があります。
スチームモードがあり通常の利用方法以外により強いパワーでスチームを噴射する『パワーモード』、ハンガーに衣類をかけたまま直接吹きかける『ハンガーショット』、そして霧吹きのように使用する『スプレー』など一言にスチームアイロンと言ってもいくつかのモードを要しているものも多くなっています。
③ハンディ/ハンディスチーマー
アイロン台を使わない特殊なアイロンです。
衣類をハンガーに掛けたまま使うタイプのアイロンであり、スチームの力でしわを伸ばしていく『スチーマー』タイプや、ブラシでこするようにしわを伸ばしていくタイプ、大きなクリップで挟んでいくようなタイプもあります。
④コンパクトタイプ
その名の通り小さ目のアイロンで手のひらに乗るほどです。
出張や旅行などで重宝するもので、鞄の中に入れてもかさばらずに持ち歩けるので非常に便利です。
電源の違いによるメリットとデメリット
①コード付き
アイロンには2種類の電源形式があります。
まずアイロン本体から電源コードが出ているスタンダードタイプ。
コンセントを接続しながらアイロンをかける事が出来るので、通電が途絶えず高温を維持できるのが大きな強みです。
長時間アイロンをかけられますが、アイロンの移動と一緒に動くコンセントの線が難点。
②コードレス
コードレスアイロンはクレードルと言う充電台において充電を行ってから使用するタイプのアイロンです。
コードが邪魔にならないと言うのが最大の強みで、アイロンをかけながら自由に動かす事が出来ます。
充電台に置く際も火傷などの心配がないように熱いかけ面を下に向けて置けるのもメリットと言えるでしょう。
ただし掛けている間にアイロンの温度が下がってしまうので、数分に1回は充電台に戻して再充電しなければならず、大きな面積の生地にアイロンをかけるのには不向きだと言えます。