「HEMS」の特徴と「スマートメーター」の設置手順

HEMSはスマートメーターと違い義務じゃない?
HEMSとは、「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム」の略です。略を聞いても、ピンと来ない方も多いでしょう。HEMSは簡単にいうと、家のありとあらゆる電気製品をネットワークでつなぎ、その使用状況などを監視するシステムのことです。
エアコンや冷蔵庫、テレビといった家電製品はもちろんのこと、エネファームや太陽光発電システムといったシステム、さらには電気自動車までをHEMSでは対象としています。
電気製品が選手だとすれば、HEMSはそれを束ねる監督といった感じでしょうか。
電力自由化には欠かせないスマートメーターとHEMSですが、スマートメーターが必ず導入しなければならないのに対して、HEMSは義務ではありません。「義務でないなら導入しなくてもいいか」と考える方も多いでしょうが、導入して損はないシステムです。
HEMS導入のメリット
電力消費がみえるので簡単節電
電力自由化でHEMSが注目を集めている理由、それはやはり電気の「見える化」にあるでしょう。スマートメーターは30分ごとの電気使用を自動的に送信します。これだけでもすごいことですが、送信されるのはあくまでも家全体の電気使用量です。
しかしHEMSであればその30分間にどの部屋の電気使用が多いか、どの電気製品が動いていたかまで把握できるんですね。無駄に使っていた電力を、ひと目で確認できるので節電に役立ちます。
部屋の外から家電をコントロールできる
夏の炎天下の中を歩いて帰ってきたとき、帰宅しても戸締りしてあるのでそこは外以上の灼熱地獄ですよね。帰宅後すぐにエアコンのスイッチを入れたとしても、涼しくなるまでには時間がかかります。
そんなとき、家にHEMSが導入してあれば、外からでもスマートフォンなどで家のエアコンのスイッチを入れることができるので、部屋に入れば快適な温度になってます。
外出した時に「あれ、エアコン消したかな?」とふと思って家に一度戻ったなんて経験ありませんか。HEMSがあれば、消し忘れを確認するために帰宅する必要はありません。
遠隔操作は、スイッチオンだけでなくオフももちろん可能です。
エコに貢献できる
電力自由化の将来的な可能性「デマンドレスポンス」は前述しましたが、それに先立ってHEMSではピーク時の電力を抑えることができます。
HEMSが使える電力量を自分で判断して、家中の電気を使いすぎているという判断をした場合には電力を自動で制御します。
特にエアコンは多くの電力を消費する家電ですので、HEMSによるコントロールは大いに効果があります。
例えば、暑いときにはエアコンの付け始め30分の設定温度を20度にして、そのあとは28度に変更するといった細かい省エネ運転も、HEMSならば自動でやってくれます。
「見える化」によるエネルギーの可視化
HEMSを提供している会社には、専用アプリを提供しているところも多く、そのアプリの「見える化」は一歩進んでいます。日、週、月、年単位での電気使用量をスマートフォンやタブレット端末でチェックでき、HEMSのアプリでは分岐回路ごとの電力使用量まで細かく分かり、それが過去の平均と比べてどうなのか比較もできます。
今や多くの家庭で導入されている空気清浄機ですが、空気は目に見えないだけに本当に空気がきれいになっているか分かりませんよね。分からないからいつもより強力に空気清浄機を動かしては、いくら電力自由化でお得なプランを選んでも、電気料金がかさんでしまいます。
HEMSを導入していればお部屋ごとの空気の状態までモニターで確認できます。例えばパナソニックでは、お部屋ごとの温度や湿度はもちろんのこと、ハウスダストやにおい、そしてPM2.5を5段階評価してくれます。まさしく空気までも「見える化」です。
エアコンや冷蔵庫、テレビなどの家電製品の使用量はもちろんですが、エネファームの発電量や太陽光発電の発電量も見えます。
さらに、パルス発信機能の付いたガスメーターや水量計をつけていれば、電力自由化とは関係ないようなガスや水道の使用量まで分かるというのです。「HEMS」1つつで全てのエネルギーが把握できるようになりそうです。
「デマンドレスポンス」によって割引の可能性がある
HEMSやスマートメーターは、送信するだけではなく情報を受信することもできます。夏の猛暑の時期は、どうしても日中の電気使用量が多くなり、それを放置しておけば停電の可能性も否定できません。
そこで電気事業者では、この時間帯のエアコン消費を抑えてほしいと要望(デマンド)します。それを受け取ったHEMSやスマートメーターでは、エアコンの電気消費を抑えるように応える(レスポンス)のです。
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ただしこれだけでは利用者にメリットがありませんので、要望を受ける代わりに電気料金を安くするといった料金プランも、電力自由化の将来的にはあり得る話です。
HEMSが電気を上手にコントロール
電力自由化でせっかく安い料金プランを選んでも、電気の無駄遣いをしては電力自由化の魅力も半減してしまいます。かといって自分で電気使用をコントロールするのは難しい、そんなときにはHEMSにコントロールしてもらいましょう。
スマートメーターの設置手順は簡単!
スマートメーターの「スマート」は、決して「ほっそりとした」という意味ではありません。スマートフォンのスマート同じく、「賢い」という意味です。
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これまで家庭の電気使用量を測定するためには、検針員が月に1度訪れて、外に設置されている電力量計を見て測定をしていました。
電力自由化によって設置されるスマートメーターには通信機能が備わっており、30分ごとに電力の使用状況を自動的に送信してくれます。
電力会社を選ぶ
まずは切り替える予定の電力会社を選びましょう。
スマートメーターの導入のしかたですが、多くの方は電力自由化を契機に従来の電力量計からスマートメーターに切り替えると思います。
しかし、場合によってはこれまでのプランの方がお得なケースもあります。この場合でも、スマートメーターに切り替えることは可能です。
新たな電力会社と契約をする
どの会社にするのかを決めたら、その電力会社と契約をしましょう。
そうなると、「これまでの電力会社に解約手続きをしなければならない」とお思いでしょうが、その必要はありません。
スマートメーターの設置手続きをする
新たな電力会社と契約しただけでは、すぐに新たな電気は使えません。お住いの家にスマートメーターが導入されていなければ、スマートメーターを設置しなければなりません。
この手続きは契約後に自動的に進みますし、電力自由化とはいえ、スマートメーターの費用も地域の電力会社がしてくれるので、利用者が特別何かを負担することはありません。
スマートメーターの設置日時が知らされる
電力自由化前後は、特にスマートメーターの設置依頼が殺到するので、通常よりも期間はかかります。ただし、スマートメーターが設置できなくても、新たに契約した電力会社に切り替わるので、安心してください。
スマートメーターを設置する
指定された日時に、電力会社もしくはその協力会社のスタッフが来て、スマートメーターへの交換をします。所要時間は30分もかかりません。
新築住宅はHEMS搭載のスマートハウス、ひいては電力を外部から調達しない「ゼロエネルギー住宅」に向かっています。
もちろん中古住宅でも、HWMSを導入することはできますので、電力自由化を契機に導入を検討してはいかがでしょうか。