電気料金にボルトってどう関係あるの?

V(ボルト)と電気料金の関係とは?
よく、電気に関する単語として「V(ボルト)」というものを耳にすることがありますよね。
このV(ボルト)というのは、電気を押し出す力、つまり電圧の事を指しています。
電圧(ボルト)が大きくなればなるほど、よりパワーの大きな家電を動かせるようになります。
家庭では、一般的には100Vの電圧に対応していますが、最近のパワフルタイプの家電(オーブンレンジ、エアコンなど)の中には、200Vに対応しているタイプも多く出てきています。
今回は、そのV(ボルト)と電気料金の関係について、用語の説明などを交えながらご説明いたします。
100Vと200Vの電圧の違いはどう電気料金に反映される?
一般の家庭でよく使用される家電は100Vの電圧のものが多いですが、中には先述の通り200Vの電圧に対応している家電もあります。
そこで気になるのが、100V、200Vと電圧が高くなると電気料金にどう反映されるのか?というところです。
100Vと200Vの家電での電気料金の違い
結論から申し上げますと、100Vの電圧と200Vの電圧とでは、家電の仕事量(電力使用量)が同じであれば電気料金の差はほとんどありません。
単純に電圧が2倍になるのであれば、電気料金も2倍になると考えがちですが、実はそうではありません。
電圧が2倍になるという事は、つまり電気のパワーも2倍になるという事です。
例として、IHクッキングヒーターを挙げて考えてみましょう。
100Vの電圧で温める場合と、200Vの電圧で温める場合、200Vの方がパワー2倍で温められますので、理論上は半分くらいの時間で温められます。
倍の電圧を使用していても、使用時間が半分であればその分の電力使用量は変わらないので、実質は電気料金が同じということになります。
V(ボルト)の電気代の計算方法
V(ボルト)が大きくなっても、実際の電気の仕事量が変わらなければ電気料金は変わらない、とご説明しましたが、次はもう少し電気料金の計算方法について掘り下げて具体的にお話しします。
まず、基本的な電気料金の計算式は、基本料金 + 電力使用量料金 + (燃料調整費など) という式で表されます。
このうち、電気料金に大きく影響を与えるのは「電力使用量料金」で、これは家庭で電力を使用した量に応じて決められる料金であり、電力をたくさん使えば使うほど単価も上がり高額になっていきます。
電力使用量料金を計算するのに使用される電気量の単位は、kWh(キロワットアワー)です。
k(キロ)というのは、1,000という意味ですので、kWh = 1,000Whとなります。
Whは、電力(W)と使用時間(h)をかけたもので、
1Wh = 1W × 1hです。
電化製品によく表示されている「W(ワット)」という単位は、ここに関係しています。
Wは、W(電力) =電圧(V)×電流(A)×力率 ですので、
A(電流) × 力率 = Bと表現すると、
Wh = V(ボルト)× B(電流×力率) × h(使用時間)
つまり、同じ使用時間である場合、電力の使用量はV(ボルト)に比例し、V(ボルト)が大きくなればなるほど、電気使用量がUPしてしまうので、単純にV(ボルト)が上がった場合は電気料金が高くなるように見えますね。
しかし、先述のように、V(ボルト)が大きければ大きいほど、IHクッキングヒーターのような機械ではパワーが大きくなり、その分使用時間(h)が小さくなります。
つまり、V(ボルト)が2倍になっても、h(使用時間)が半分になれば、全体の電力使用量は変化しないので、電気料金には影響がないと言えるのです。
しかも、100Vのエアコンを200Vのエアコンに替え使用時間を全く同じにした場合には、単純に消費する電力量が増えるので、それに応じて電気料金も加算されますからご注意くださいね。
ワット(W)とボルトアンペア(VA)の違いとは?
電気代を計算するとき、WやkWh以外にも、kVA(キロボルトアンペア)という単位を目にすることがあります。
W(ワット)は、電気の大きさを示す単位ということは説明しましたが、kVA(=1,000VA)も電気の大きさを示す単位です。
両社の違いを簡単に言葉で解説すると、以下の様になります。
意味 | |
---|---|
W(ワット) | 有効電力。実際に家電の機能の部分に使われる電力のこと |
VA(ボルトアンペア) | 皮相電力。家電全体を動かすのに使用される電力のこと |
これだけでは分かりにくいので、オーブンレンジで例えると、実際に食品を温める部分の機能に使われるのがW(有効電力)で、オーブンレンジ全体を動かすのに使用される電力を皮相電力VA(皮相電力)です。
W(ワット)は、VA(皮相電力)に力率をかけた値で、ここでいう力率というのは皮相電力のうち、どの程度が有効電力として機能するかを表す値で、
力率 = W ÷ VA
という式で表現できます。つまり、電磁調理器のような有効電力=皮相電力となる家電は、力率=1 となります。
皮相電力で電気料金がどう変わるのか?
皮相電力が大きく、有効電力が小さい家電を使用するときと、皮相電力と有効電力が同じ家電を使用するとき、電気料金の違いはどうなるでしょうか。
皮相電力が1000VAで有効電力が500Wの家電と、皮相電力が500VAで有効電力も500W(この場合、力率=1と考えるので500W=500VA)の家電では、意外かもしれませんが、実際に家電の働きに利用される電力部分(W)が同じ値なので、電気料金は同じです。
あくまでも、実際に電気料金に反映されるのは有効電力(W)部分のみなので、皮相電力(VA)は電気料金に直接関係がないということですね。
電気料金とV(ボルト)は切っても切れない関係
電気料金とV(ボルト)とは、切っても切れない密接な関係があります。
一見、Vが大きい家電を使用すると電気料金が大きくなってしまうように感じますが、実際はそうでないという事も意外な事実だったのではないでしょうか。
普段では気にも留めないようなことでも、電気料金とボルトの関係を学ぶことで、家電選びにも新しい考え方が出来るようになります。
今までは、電気料金が高そうだから…と200Vのエアコンを敬遠していた方も、これからはトータルのコストを考えて、選択肢の一つとして考えてみて下さいね。
V(ボルト)と電気料金の関係だけではなく、しっかりと電気について知ることで、これまでよりもより良い選択をしていくことが出来ますよ。