攻めのガス会社VS守りの電力会社!勝者はどちらに?
電力自由化が叫ばれている昨今、ガス会社の参入が目立つと感じる方も多いと思います。
それは、昔から続くガス会社と電力会社との因縁の対決が続いているからなんです。
CMで勢力的に広告しているのは東京ガスと大阪ガスです。
高圧電力自由化では東京ガスが東京電力から1割弱のシェアを奪いました。
- 低圧自由化が始まる今、どれ程のシェアを奪えるのか?
- 翌年に控えているガス自由化では一転、今度は電力会社が攻めてくる!
昔からの因縁の対決は今、大きな局面を迎えています。
電力会社とガス会社の関係は「永遠のライバル」
電気とガス、あなたの中で重要度の高いのはどちらでしょうか?
多くの方が「電気」と答えるでしょう。
しかし、この立場が逆転している時代もありました。
1870年頃から日本で最初のガス会社が設立され、ガス灯が光源の提供が一般的だった国内にガス供給事業が始まり人々の暮らしの中で光を供給してきました。
それから10年が経過した時、白熱灯が市場に表れ、電気という代替技術が参入してきました。
電気は安全、無臭、安定、コストという大きな4点で優れており、ガスは劣勢に立たされました。
それから20年後1900年に入り、光源ではなく熱源としてガス会社は進み、電力会社は後発組として電気ストーブを販売しましたが熱源競争ではガス会社が勝利しました。
しかし、明治以降人々の暮らしの中の光源はやはり電力であり、東北大震災で電気が使えなかった方々も体験された様に、今や日本で電気はなくてはならない存在となっています。
このようなエネルギーの変化を経て、エネルギー利用の住み分けが生まれました。
法律の整備もされ、電気事業とガス事業の区別化や、電気事業者とガス事業者は他の事業を営むことが禁止された法律もできました。
今後も電力会社とガス会社の戦いは続きますが、そもそもどういった観点で2業種は争っているのでしょうか?
一軒当たりのエネルギーの取り合い
ここからわかる事が一軒当たりの光熱費の取り合いという図式です。
「住宅内で使用されるエネルギーを何とか双方のエネルギーに切り替えてほしい。」
各家電でも給湯システムでも一軒当たりかた取れる割合を多くしたいとしのぎを削ってきました。
数年前までは熱源である「お湯を沸かす」という仕事はガスの仕事だったように思います。
しかし、オール電化、エコキュートなどが全国で販売され始めて、お家の中でのガスの使用量は減り、逆に電気を多く使用する様になりました。
そこへ今回の電力自由化という非常に大きな変化が起こったのです。
今まで10割のシェアを誇っていた一般家庭の電気は、新電力の参入によってシェア取り合戦に突入していきます。
おさらい。電力自由化とは?
簡単にお伝えすると2016年4月より電力小売りが誰でも自由に出来る様になります。
今までは地域の決められた主要電力会社からしか電気を購入出来ませんでしたが、これからは新たに参入する電力会社からも電力を購入することができます。
この電力自由化をガス会社が放置しておくわけがありません。
奪われた家庭内消費エネルギーを取り戻すべく、満を持して電力自由化に臨もうとしています。
電力自由化のメリットは?
電力自由化による一番多きなメリットは電力購入の幅が広くなることです。
各業種がセット販売など自社に有利なお得プランを打ち出し様々なサービスを用意し、今までの支払いが合計で安くなったりと様々です。
もともと電力自由化は段階を追って実施されてきました。
はじめは特別高圧契約の自由化です。
これは大規模な工場などの電力を大量に消費する施設など向けでした。
その後高圧に分類される契約も電力自由化がなされました。
これは中規模の工場向けで行われました。
ここで新電力は1割のシェアを主要電力会社から勝ち取りました。
最後に家庭やコンビニなど低圧に分類される電力自由化が行われます。
これが全面電力自由化ということです。
セット販売などのサービスもすでに企画されています。
例えば夏の昼間は電気代が高く、その他の時間帯は安くなるなどのサービスも考えられます。
これにより省エネも期待され、環境に考慮した電気の使い方をする人や企業も増えてくると期待されています。
今後予想される展開としては料金面での比較はもちろんですが、環境に優しい方を選ぶという奥様方が増えています。
環境面に配慮するサービスがあればもっといいでしょう。
ガス会社は十数年前の危機を感じている
この様に、国内に電力自由化が進めば、電気料金が安いプランに変更する家庭、または、携帯電話と電気をセットにする事でお得になるセット割によって、多くの家庭が電力会社やプランを勢力的に切り替えていきます。
電力自由化先進国であるイギリスでは、国内全体の2割〜3割の家庭が契約先を変更しています。
今までガスを使っていた家庭が丸々電力会社のお客さんになってしまうことは無いにせよ、1軒当たりのガス消費量は減り、ガス会社が打撃を受ける図式は目に見えています。
そこで、ガス自由化がスタートする2017年4月に先駆けて、ガスとのセット割りで何とか1軒当たりの消費エネルギーを自社に囲い込みたいという狙いがあります。
東京ガス救仁郷(くにごう)豊副社長は昨年の株主総会で一人の株主より「電力販売首都圏需要の1割を目指す」という目標に対しての実現性を聞かれ、
「都市ガス事業で培ってきた1100万件の顧客との絆を、東京ガスの営業部隊と地域密着でやっているライフバル(地域サービス窓口)体制が相まって深めていきたい。簡単な目標ではないが、全力で取り組む」
と話しました。
電力自由化、翌年に控えるガス自由化、激闘はまだまだ続いて行きそうです。
新電力の最有力は永遠のライバルガス会社か
やはり新電力の最有力勝者はガス会社と予想している人も多いはずです。
まずは最有力候補のガス会社のセット販売が目を引きます。
最有力候補の理由は知名度と、燃料調達能力が他の他種の企業と比べて段違いに多い事です。
電源も十分で、顧客の安心感も郡を抜いており購入しやすいと感じる方も多いです。
中でも東京ガスは最有力
既に2001年にスタートしている高圧大口需要に対して供給してきた15年の実績があり出資するエネットは新電力の中で44.1%のシェアを占めています。
東京ガスは他社との共同施設も含めると首都圏に4箇所の火力発電所を所有しています。下記グラフを見ても一目瞭然で2011年から比べて販売量は1.5倍にも伸びている。
東京ガスの「ずっともプラン」
すでに東京ガスでは2016年の電力自由化に伴い新しいプランを打ち出しています。
それが東京ガスの「ずっともプラン」です。
これは電力とガスと他のサービスを併用したプランになっています。
CMも実施していて、キャプテン翼の作者の高橋陽一先生も参加しています。
ここは最大手のガス会社です。今まで日本の中心的な役割で、今後もその役割をになおうと考えています。
ガス会社の中でもいち早くCMを作り2016年元旦からテレビで公開されています。
電力市場を本気で狙っている事が容易に想像出来ます。
その他新電力勢も負けてはいない!!
他種の企業を見たときに同じ知名度で考えると携帯電話会社にも強みがあります。
現在ほとんどの人が持っている携帯電話。
ソフトバンク、au、ドコモの三社が圧倒的なシェア率を誇っています。
例えばソフトバンクは電力自由化に伴い、東京電力と提携し新たなセット販売のサービスを展開しています。
auは関西電力と提携し、ケーブルテレビの受信料やインターネット使用回線の料金をセット販売にして売り出そうとしている状況です。
商社も参入を決めているところもあり、それぞれの利点をいかしたサービスを提供しようと画策しています。
家電メーカーの東芝、パナソニック、ソニーも電力自由化に伴い参入を発表しています。
家電メーカーの強みは自然エネルギーのセット販売を推していて、環境にも優しいエネルギー補給を検討しています。
セット販売はそれぞれのジャンルの企業がこぞって競っています。
これにより価格競争が起きて、電力自由化の競争に拍車をかけています。
電力自由化の実施で新たな企業が参入することにより市場の活性化も期待されています。
既存電力会社が圧倒的有利の中、後発組のガス会社や携帯電話会社、家電メーカー又は中小企業がまともに戦おうとすれば、自然と自分たちの土俵に少しでも関わらせていく方法が良い、またはそれしか方法がないとも言えるでしょう。
ガス会社同士ももちろん競争!!
現在の日本では、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスが三大企業になっています。
ガス事業の7割のシェアを誇っています。
今まではこの三社が何もしなくても大企業として成り立ってきていました。
しかし、2016年の電力自由化を皮切りにその牙城が崩されて行くことになっていきます。
大企業ならではのサービスが出来る反面、競合他社に顧客や先ほどお伝えした一件あたりの光熱費を奪われることもあるでしょう。
今後はガス自由化を控えています。
電力自由化で三者間に差が出来ると、1年後のガス自由化では更に出遅れる形となる為、ガス会社同士の戦いも見逃せません。
ガス会社はセット割で勝負!!
ガス会社は電気料金を勝手に設定出来ないという側面を持っている為、価格以外でも顧客を惹きつけなければいけません。
地元密着であるとか、ガスとのセット割がそれに当たります。
また2016年の電力自由化に伴い、他種の企業も電力販売に乗り出しています。
しかし、ガス会社の参入は2016年の電力自由化と違い、2017年とタイムラグがあります。
ガス事業者の心配点としては、電力とセット販売を画策しているのに、2017年にスタートするので新規の顧客数が取れないことを懸念しています。
他の電力会社や新規参入の企業に顧客を取られてしまっていては、ガス自由化の際まともな防御が出来ない事を意味します。
具体的なプランは?
東京ガスはガスト電気のセット割りで、基本料金を270円割引1ヶ月の電力使用量が300kWを超える場合は東京電力よりも安くなる計算です。
更に、インターネット回線とのセット割も検討しており、更に安い電気料金プランを打ち出す準備もある事が予想されています。
反撃!!電力会社もガス自由化に参戦!
電力会社も攻撃されてばかりではありません。
2017年4月のガス自由化の際には東京電力や主要電力会社が、火力発電用に調達している天然ガスを流用する予定でいます。
また東京電力はソフトバンクと提携し顧客囲い込みを狙っています。
また、原発が再稼働すればコストも安くなり電力自由化でも優位に立てるのです。
現在ガス会社が電力市場に乗り込んでいるように、電力会社も今から着々と事業を進めています。
セット販売競争は更に激化
いきなり業種は変わりますが、例えばローソンの提供する「まちエネ」。
こちらは料金自体はあまり変わりませんが、電気料金1000円に対してPontaポイントが10ポイントつきます。
しかも月ごとに新作商品のクーポンなどもあるそうで、ローソンユーザーにはお得なサービスになっています。
ソフトバンクやauも電力とセットに電気料金を割り引くサービスやインターネットの回線の利用料の割り引きなどの展開もされてきます。
特に注目なのがガスと電気のセット販売です。
ガスも2017年には小売の自由化が予定されており、ガスと電気のライフラインでのセット販売はとてもスムーズな印象が受けられます。
電力自由化の勝者敗者の分かれ目はこの「セット割」と言ってもいいかもしれません。
今後のセット販売について
東京ガスは2015年3月期決算で過去最高の経常利益1,681億円を記録しました。
そして満を持して電力自由化へで「攻めの体勢」で参戦しました。
消費者として期待する事は価格やセット割などの付加価値サービス、そして重要な事は安心ではないでしょうか。
電力会社、ガス会社が日々厳しい激闘を行っているおかげで、我々は安心で優良なサービスが受けられるのです。
どちらにも勝利して欲しいのはやまやまですが、消費者である私達はどちらかを選択しなくてはなりません。
それは、1年後のガス自由化の際も同様です。
タイナビスイッチではご自宅に合った最高のプランをシュミレーション出来ます。
是非試して見て下さい。
⇒タイナビスイッチで簡単診断はこちら
東京電力VS東京ガス……勝つのは!?
東京ガスの契約数は既に50万件を超え、今後も着々と契約数を増やしていくことでしょう。しかし2017年にはガス自由化も始まります。東京電気が東京ガスからシェアを奪おうと、必死になってガスを販売してくるかもしれません。最終的にどちらの企業が勝つのかは何ともいえませんが、どちらのプランがお得かは、電気料金の診断サイトで調べることができますよ?