電力自由化の問題点を徹底検証!

2016年4月から電力自由化がスタートしました。
電力自由化に伴う調査によると、実に日本の約4割の人が「情報収集中」との結果が意識調査で明らかにされました。
実際、テレビのニュースやCMで電力自由化が始まるという事実は日本市民に伝わっている状態です。
しかし、細かい手続き、流れ、どれだけ安くなるの?
など日本市民全員の頭の中に「?」が残り、現状としては自分達でTV、ネット、雑誌などで事前に情報収集を行っている状態だと言えます。
そこで今回は電力自由化で起こりうる問題点を徹底検証したいと思います。
電力自由化の問題点
スマートメーターに関する問題点
スマートメーターは電力自由化になくてはならないアイテムです。スマートメーターには30分ごとに電力量を計測し、それを自動で送信する機能があります。
例えば、東京電力の「従量電灯B」という基本的な料金プランがあるのですが、引き続きこのような従来の料金プランを利用するのであれば、必ずしもスマートメーターの設置は必要ありません。従来の電力量計が有効期限を迎えたら、スマートメーターに交換すればいいのです。
ただし、地域の電力会社の新プランや新電力のプランに変更をする際には、スマートメーターを設置しなければなりません。
<スマートメーターの設置が遅れている>
東京電力グループの「東京電力パワーグリッド」によりますと、スマートメーターの設置が予定よりもだいぶ遅れているようです。発表によれば、仕事を辞めたり他の仕事が忙しくてスマートメーターを設置する職員が不足したりしているのが、スマートメーター設置が遅れている理由とのこと。
<スマートメーターの設置遅れの対策>
こればかりは自分でスマートメーターを設置するわけにもいきません。スマートメーターの設置を待たなければならないのですが、新プランへの変更を希望したにもかかわらず、スマートメーターの設置が3月中に終わらない件数がかなりの数に上っています。
そこで心配になるのが「4月から自分が選んだ新電力の料金プランに移行できるのか」ということ。これに関して既存の電力会社からははっきりとした答えはありません。季節や時間帯に関係なく、電気の単価が同じ料金プランであれば大した問題ではありません。
問題なのは季節や時間帯によって電気の単価が変わる料金プランです。従来の電力量計は1か月の電力量は把握できますが、季節や時間帯による使用量の変化を知ることはできません。それができるのはスマートメーターだけです。
東京電力パワーグリッドでは「補償を検討している」ということなので、このトラブルに関しては待ちましょう。ということでスマートメーターの設置に関しては利用者がどうすることもできないことになります。
解約に関する問題点
電力自由化が始まって間もないのにもう解約のトラブルがとも思うでしょうが、実際に解約に関するトラブルはあるようです。
<長期契約の解約に関するトラブル>
電力自由化によって多くの新規参入組があります。中には「長期契約をしてくれれば電気料金を安くする」といった甘い言葉で勧誘してくる業者もいるでしょう。契約はしたものの、しばらくして他に魅力的な業者を見つけたので解約をしたいと思っても、契約解除のための違約金を請求する業者がいます。
違約金を支払うのは仕方ないにしても、契約している電力会社が参加していないエリアに引っ越す場合には違約金は発生しないケースがほとんどです。
これは注意しておけば防げるトラブルですね。
セット割の解約に関する問題点
新規参入組の中でも、特に携帯電話やケーブルテレビなどの通信事業者に多いのですが、電気と一緒に何かを契約するとセット割が適用されて、通常よりお得な電気料金になる場合があります。
セット割も電力自由化の恩恵で、電気+ガス、電気+インターネットの他、電気+水道、電気+ウォーターサーバー+ガス+インターネットといったセット内容の業者もあります。
セット割でよくあるトラブルが「セット内容の一部だけ解約したいという場合に違約金を請求される」トラブルです。これも契約書にしっかりと書いてあることが多いので、違約金を支払わないというのは難しいでしょう。
なのでこれは注意しておけば防げるトラブルです。
2年契約の時と同様、契約しているセット内容が提供されていないエリアに引っ越す場合には、違約金は発生しないケースがほとんどです。
引っ越しに関する問題点
電力自由化後に誕生した電力会社で、全国に電力を供給している会社はほとんどありません。特に、電気料金がもともと安い北陸、広いネットワークを必要とする北海道、離島にまで電力を供給しなければならない沖縄は、電力自由化後も新規参入があまりありません。
ほとんどの電力会社では自分の会社が電気を供給していないエリアに引っ越す人に対しては、違約金を求めません。しかし、電力の供給をしているエリアにもかかわらず、これまでの電力会社が使えないケースもあります。
それは、マンションに引っ越す場合です。
<高圧一括受電>
マンションの管理者も、できるだけ電気料金を安くすれば、それが入居者へのアピールポイントになります。そのためマンションの管理者などは、「高圧一括受電」の契約を結ぶことがあります。
高圧一括受電を採用しているマンションに引っ越しした場合、住んでいる人それぞれが好きに電力会社を選べないことが多いです。マンションの管理者が高圧一括受電の契約をした電力会社を引っ越した人は使わなければなりません。
この場合、引っ越し前に使っていた電力会社とは解約しなければなりませんので、違約金が発生する可能性もあります。引っ越すマンションが高圧一括受電なのかどうか、あらかじめマンションの管理組合などに聞いておくといいでしょう。
ということで、これも注意しておけば防げるトラブルと言えます。
電力自由化後に起こるトラブル
電力自由化後に起こるトラブルを考えてみましょう。
現在、使用している電気料金より安いプランの会社に変更するのか?
お得な別途サービスを用意している会社に変更するのか?
変更の仕方、理由、きっかけは様々だと思いますが、一番気をつけないといけない事があります。
一度電力会社を変更したら2年ぐらいは変更出来ない可能性がある。
電力を変更する際に既存の大手電力会社、そして新電力会社は必ず「縛り」を設けております。
「縛り」の内容は各会社様々ですが、ほとんどの会社が一度契約すると1~2年は変更できないようなプランを用意しています。
つまり、2016年4月から電力自由化が始まり、ぱっといいなと思った新電力会社に切り替えを行った場合、それから2年間ぐらい電力会社を変えられなくなる可能性が高いです。
電力自由化はまだ始まってもいない状態ですが、始まる前からこれだけ各電力会社による攻防が始まっております。
後から次々とお得な内容、お得なプランが導入される可能性が非常に高いです。
ですので、一番いいのは2016年の4月にいきなり電力会社を切り替えずに、数か月様子を見る事をオススメします。
スタートダッシュで新たに契約する会社を間違えれば、それから2年は電力会社を変えられない可能性があります。
まずは、情報を収集し、タイナビスイッチなどの電力比較サイトをじっくり覗くことをオススメします。
現在、焦ったら損する状態です。
また、電力会社の切り替えの際は必ず「クーリングオフ」が付いているかの確認をしましょう。
電力会社側としてはクーリングオフはしてもらいたくない事項なので契約の際に説明がないかもしれません。
そういう場合は必ず自分から積極的にクーリングオフについて確認しましょう!
電力自由化による問題点を世界の事例から学ぶ
次に電力自由化による問題点を検証したいと思います。
初めて行うものには何事にも問題点が浮上します。
そこで、前回取り上げた電力自由化の海外事例を徹底検証! を基にすでに電力自由化を行っている、ヨーロッパ、イギリス、北欧、ドイツ、フランス、アメリカで起こった問題点を事例に取り上げ、今後日本で起こるであろう問題点を検証してみましょう。
ヨーロッパの問題点
ヨーロッパは早い所だと90年代初頭から電力自由化を始めています。
国により様々な問題点がありますので、そこはイギリス、北欧、ドイツ、フランスで個別に取り上げましょう。
日本とヨーロッパにおける電力自由化で大きく違う点はズバリ環境です。
日本は島国なので自国で電力を賄わないといけません。
しかし、ヨーロッパは国と国が隣り合わせなのでスペイン、イタリア、スイス、オーストリア、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、オランダ、ベルギー、フランスと、国をまたいで繋がり電力を供給、連携を行っています。
この違いが日本とヨーロッパにおける大きな違いと言えます。
そしてヨーロッパと比べた際、自国で電力を賄い、他国に電力の輸入、輸出が出来ない点が問題点として浮上します。
イギリスの問題点
イギリスの電力自由化は一般的に失敗したというイメージが強いです。
それを証明するかのように、すでにイギリスのエネルギー政策は電子力発電に力を入れております。
失敗した一番の原因にあげられるのが「強制プール制」の採用になります。
強制プール制とは発電した電力を強制的にプール市場に集めるという制度でした。
しかし、この制度は公正な市場ではなく、結果で気に電力の価格は下がらず高騰してしまったのです。
結局2002には廃止されてしまい、2005年からは新たにBETTAという制度にイギリスは移行しております。
電力自由化におけるイギリスの問題点を参考に日本で成功させるには
公正な市場作りが必要不可欠と言えます。
現在、日本の電力自由化に対し、第三者の立場で公正な市場を管理する体制は整っていません
それにより何が起こるか?
イギリスの失敗例を参考にすれば火を見るより結果は明らかです。
まずは第三者による公正な市場のジャッジ。こちらの導入が今後、日本の電力自由化における問題点の解決策に繋がると言えます。
北欧の問題点
北欧は電力自由化をいち早く取り入れたノルウェーが代表に上げられます。
実は日本の電力自由化は海外事例として北欧の考えを参照にしていると言われています。
そんなノルウェーで起こった問題点が、供給者変更にあたり約4000円の手数料と年4回までの回数制限が存在したという点です。
そして供給者変更の手続きに1か月以上かかるという事。
されに変更後に発電会社と供給会社から別々に請求書が送付されるという問題が発生しました。
正直な話、日本の電力自由化でも以上の3点は多いに起こりうる問題です。
ノルウェーはこれらの解決策として「電力市場の1本化」そして「規制当局を1つに融合する」この2つの計画を進めております。
日本も以上の問題が起こる前に是非この2つを進める必要があると言えます。
ドイツの問題点
ドイツは1998年に電力自由化を進めております。
そして100社を超える新電力会社が参入しました。
この点は日本も全く同じ事が起こっております。
しかし、ドイツでは大手電力会社の対抗策により、新電力会社は相次いで倒産してしまいました。
何故、ドイツで新電力会社が受け入れなかったのか?
日本とドイツの違いを上げる際にもっとも重要となる点ですが、ドイツには「シュタットベルケ」と呼ばれる独自の地元の電力会社が900ほどすでに存在していたという事です。
シュタットベルケは電力、水道、交通、ガス供給、電力事業などの個人、民間では手続き出来ないようなインフラ設備や運営を行う為の公的事業団体です。
ドイツではシュタットベルケが地域雇用の創出、さらに地域資源の活用などを通し、地域貢献、市民支持を強く獲得していました。
なので、新電力会社の入り込む隙がなかったと言えます。
日本にもシュタットベルケのような公的事業団体があればものすごく便利ですね。
このような公的事業団体が存在しない日本では新電力会社の参入は比較的容易に進むと言えます。
それゆえ、どの新電力会社を信用するかの判断が問題点として挙げられます。
フランスの問題点
現在、フランスはイギリス同様に電子力発電をエネルギー政策指針法の軸に置いております。
フランスの問題点は電力自由化が複雑だった点だと言えます。
供給先変更の際に自由化の権利が必要とされ、自由化の権利を持っていない需要家に対しては規約料金が適用されました。
このような複雑な仕組みが原因で大口需要家への規約料金は廃止されましたが、家庭用は継続されています。
フランスの電力自由化の問題点は複雑な制度によるところが大きいです。
日本ではこのような問題が起こらないように複雑にしない点が上げられます。
アメリカの問題点
アメリカは州に電力自由化の小売市場の判断を委ねている為、州によって電力自由化の導入時期、内容、結果が違います。
唯一成功した例として挙げられているのがテキサス州で、新電力会社の参入、小売事業側は比較的成功したと言われていますが、市民側からすると結論電気料金が上がってしまいました。
他の州の状況は電気料金が上がり、送電システムの管理、計画的更新に問題が発生し、全米を巻き込んで大停電が起こってしまいました。
以上の問題点は日本でも起こりうる問題で
送電システムの管理、計画的更新をしっかり進めなければ日本全土で大停電が起こる可能性が高いです。
各国の電力自由化のまとめ
今回、ヨーロッパ、イギリス、北欧、ドイツ、フランス、アメリカを事例に出しましたが、各国に言える点として、どの国も電力自由化における問題点を抱えているという事です。
そして、これから日本で行われる電力自由化でも以上の問題点が発生しうるという事です。
同じような問題が起こらないように先手先手で手を打たなければなりません。
電力自由化の問題点のまとめ
今までご説明してきたように電力自由化による問題点として大きく上げられるのは下記2点になりますが、
・電力自由化による問題点
・電力自由化後に起こるトラブル
もうひとつ忘れてはいけないのが、
・電力自由化による詐欺です。
こちらで電力自由化で問題になっている詐欺について徹底的に解説していますので、是非ご覧になって下さい。
⇒電力自由化詐欺に騙されない3つのポイントとは?
電力自由化は問題点もトラブルも、解決しなければいけない事でいっぱいです。
しかし、本来はサービスを受ける側の私達にメリットが大きいものである事は間違いありません。
問題点も、メリットも両方受け止めて電力自由化というチャンスをものにしたいですね。
電力会社を切り替えるならタイナビスイッチへ!
電力自由化には必ずしもメリットばかりではなく、電力会社を切り替える際は慎重に候補を選定しなければなりません。とはいえ電力自由化に参戦した電力会社は100社以上もあり、比較するのは困難を極めます。そのため電力会社を一括比較できるサイトの利用は必須です。まずはどんな電力会社があるのか、診断してみましょう。